地方公務員の職種は?仕事内容一覧や国家公務員との違いを解説

公務員の職種は、国家公務員と地方公務員に分かれています。各自治体に根ざした仕事を行うのが、地方公務員です。地方公務員には行政職から専門職まで幅広い職種があります。どんな職種があるかに加えて、自分が将来目指す職種の仕事内容を理解しておくことが重要です。今回は地方公務員の種類別の特徴と、仕事内容をご紹介します。

地方公務員とは?

地方公務員とは、都道府県や市町村などの地方自治体で働く公務員です。警察官や消防官、公立学校の教員、市役所の職員などふだんの生活に近しい職種が地方公務員には多くあります。

地方公務員は住民や自治体のために働く、公共性の高い職種が多くあるのが特徴です。一方国家公務員は日本全体を支えるための専門性の高い職種がそろっています。

国家公務員との違い

国家公務員は、以下3つの国家機関のうちいずれかで働く公務員です。

  • 行政府…1府12省庁または各出先機関など
  • 司法府…裁判所
  • 立法府…衆議院、参議院、国立国会図書館いずれかの国会

国家公務員と地方公務員の違いを比較すると、以下の通りになります。

【国家公務員の特徴】

  • 国家機関をはじめ国に属している
  • 国家公務員になるには国家公務員試験に合格する必要がある
  • 日本全体が職場のため、転勤は日本全国が対象かつ多い
  • 公務員全体の2割を占める

【地方公務員の特徴】

  • 都道府県または市町村などの地方自治体に属している
  • 地方公務員になるには、各地方自治体の公務員試験に合格する必要がある
  • 転勤は都道府県または市町村の範囲内
  • 公務員全体の8割を占める

地方公務員には3つのカテゴリがある

地方公務員は、地方公務員法の適用の有無により、「特別職」と「一般職」のふたつに分けられます。

  • 特別職…地方公務員法が適用されない。知事、市町村長、議員などが該当する
  • 一般職…地方公務員法が適用される。特別職以外の地方公務員

地方自治体の一般的な業務にあたるのは、一般職の地方公務員です。また、一般職は地方公務員試験の内容やレベルに応じて以下の3つのカテゴリに分類されています。

  • 上級…大学卒業程度
  • 中級…短大または専門学校卒業程度
  • 初級…高校卒業程度

上級地方公務員は、将来の幹部候補生です。「1種」「1類」または「大卒程度試験」と呼ばれることもあります。地方公務員試験は、大学卒業程度の難易度です。都道府県庁や東京都特別区、政令指定都市で勤務します。

中級地方公務員は、中堅幹部候補として扱われます。「2種」「2類」または「短大卒程度試験」とも呼ばれます。中級地方公務員の仕事は、一般行政の事務職、資格職、技術職などです。短大または専門学校卒業程度の試験難易度になっています。

初級地方公務員は、都道府県に採用されます。「3種」「3類または「高卒程度試験」と呼ばれることもあります。初級地方公務員のなかでも、一般行政職の地方公務員試験はとくに人気で、例年高倍率 となっています。

地方公務員試験対策に関しては、当ブログの「地方公務員試験対策に!出題科目の内容や傾向を解説」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。


地方公務員の11の種類・職種

地方公務員は、地方公務員試験の受験区分によって以下の4つに分かれています。

  • 行政職
  • 技術系
  • 公安系
  • 資格免許系

さらに区分内で仕事内容により職種が分かれ、地方公務員には合計で11種類の職種があります。それぞれの職種の特徴や仕事内容について解説します。

幅広い業務に携わる「行政職」

行政職とは、幅広い業務に携わる地方公務員です。事務を業務とすることが多いため「行政事務職」とも呼ばれています。

行政職は、おもに以下3つの職種があります。

  • 行政事務
  • 警察事務
  • 学校事務

それぞれの職種の特徴や仕事内容について解説します。

行政事務

行政事務とは、県庁、市役所、区役所、出向機関などで働く地方公務員を指します。行政全般の分野を担当するため、さまざまな業務があるのが特徴です。たとえば市役所の職員の場合は、住民課、年金課、健康保険課などさまざまな部署に配属されています。民間企業における総合職と似たポジションのため、関連性のない幅広い部署へ2~3年のペースで異動となる可能性が高いです。

役所の窓口業務や図書館などの施設職員をはじめ、地域住民と接する機会の多い職種です。仕事内容は、市民生活を支えるために行政サービスを提供するものが多くなっています。

警察事務

地方の警察本部や警察署、免許センターなどで勤務する地方公務員です。以下のような業務に携わっています。

  • 総務や経理などの事務関係の業務
  • 自動車運転免許証の発行や更新、失効などの業務
  • 遺失物届の受理や拾得物の管理
  • 犯罪情報の収集や分析
  • 警察署内の落とし物に関する業務など

警察官を事務関連の業務でサポートするのが、警察事務の仕事内容です。

学校事務

公立の小学校や中学校、高等学校、特別支援学校などで勤務する地方公務員です。政令指定都市では市に、それ以外では都道府県に採用されます。

備品の管理や会計、行事の準備など学校の運営や管理に関する事務関係の業務を行っています。公立学校で働く教員も地方公務員ですが、教員になるには教員免許が必要です。学校事務の地方公務員は、教員免許を持っていなくても採用される一方教壇には立てないため、事務に関する業務に携わります。

インフラ整備をはじめ専門的な分野を担う「技術職」

技術職とは専門的な部署に配属し、専門的な知識や技術を活用して市民の生活を支えている地方公務員です。

技術職の地方公務員の職種は、おもに以下6つに分かれています。

  • 土木職
  • 建築職
  • 電気職
  • 機械職
  • 化学職
  • 農業・農学職

それぞれの仕事内容や特徴を解説します。

土木職

各地方自治体の土木課や河川課、道路化などに配属される地方公務員です。採用される区分の名称は「総合土木」「農業土木」「土木」など、各地方自治体によって異なります。

土木職は、以下のような住民のインフラを支える仕事に携わっています。

  • 交通網や通信ネットワークの整備
  • 道路、河川、公園、上下水道などの都市計画
  • 再生可能エネルギーの開発など

建築職

建築課や営繕課、都市整備課などに配属される地方公務員です。以下のような建築物全般に関する業務を行っています。

  • 建物の検査申請
  • 建物の行政指導
  • 自治体が保有している建物の保全
  • 自治体の建設計画

おもな仕事は、建物の用途地域や高さ制限などの基準を守っているかのチェック、および自治体の建物に関する業務になります。

電気職

電気に関する専門的な技術や知識を必要とする地方公務員です。以下のような仕事で間接的に住民の暮らしを支えています。

  • 自治体の施設の管理や営繕
  • 自治体の管理する街灯の維持点検
  • ゴミ焼却施設、上下水道の施設整備などの電気系統の維持管理

機械職

建築課や環境課、清掃工場などに配属される地方公務員です。以下のような、機械に関する専門的な業務を仕事内容としています。

  • 自治体が所有する建物の設備の企画
  • 自治体が所有する建物の設備の設計
  • 自治体の建物や機械の維持や保守管理

化学職

産業廃棄物処理施設の認可に関する部署に配属され、業務を行う地方公務員が化学職です。地方公務員試験に合格して採用される以外にも、各種水道事業団や産業技術センターなどで求人が出されている場合もあります。

化学職は、以下のようなゴミや環境に関する仕事を行っています。

  • ゴミ対策の関連業務
  • 環境問題への業務
  • ゴミや環境に関する住民説明会の開催
  • リサイクルに関する業務

資源の再活用などに関する業務にも携わっているため、将来の地球環境に影響する重要な仕事を担っているといえます。

農業・農学職

農地保全課や農政局、研究機関などに配属され農業や緑化に関する業務を行うのが、農業・農学職の地方公務員です。以下のような業務を行っています。

  • 農地の保全
  • 地域の農業促進
  • 緑地などの整備や保全
  • 農地試験場などでの研究

地域の地場産業として農業を担う一方、快適な住環境整備に欠かせない緑地に関する業務にも携わっています。

地域と住民の安全と平和を守る「公安職」

犯罪や災害などから地域や住民を守り、安全を担う業務を行っている地方公務員が公安職です。おもな公安職の地方公務員には「警察官」と「消防官」があります。

警察官

強盗や殺人、詐欺などの犯罪行為に立ち向かい、地域と市民の平和を維持するための地方公務員が警察官です。すべての警察官は、国家公務員または地方公務員としての身分を保有しています。東京都の警察本部である「警視庁」、道府県警察の本部として「警察本部」に配属されるのが、地方公務員の警察官です。

警察官は、以下の施設にて業務を行っています。

  • 警察署
  • 交番
  • 派出所
  • 運転免許センター

警察官の採用試験は高卒程度より受験が可能です。一方、学科試験のほかにも体力試験などがあります。

消防官

災害から地域と市民を守る地方公務員が消防官です。火災や自然災害、事故などの救助要請に応じ、消火活動や救出、救助活動を行います。また、火災の発生を予防する活動も行っています。市町村によって採用され、地域の消防署で勤務しています。

警察官と同じく採用試験は高卒程度より受験が可能です。学科試験のほかにも、体力試験などがあります。

免許が必要なスペシャリスト「専門職」

必要な資格や免許を所持したうえで業務を行う地方公務員が専門職です。資格免許職とも呼ばれています。資格や免許が必要な地方自治体の施設に配属され、業務を行います。専門職の公務員を目指す場合、採用試験に合格する以外にも決められた期間内に必要な資格や免許を取得する必要があります。

おもな専門職には、以下の職種があります。

  • 幼稚園教諭
  • 教員
  • 保育士
  • 保健師
  • 看護師
  • 獣医師
  • 臨床検査技師
  • 診療放射線技師
  • 栄養士・食品衛生監視員

それぞれの特徴や仕事内容を解説します。

幼稚園教諭

公立幼稚園で勤務する幼稚園教諭は地方公務員です。文部科学省の管轄である幼稚園で勤務し、子どもたちへの保育とともに年齢に合わせた教育を行います。

幼稚園教諭になるためには、幼稚園教諭の国家資格を取得しなければいけません。幼稚園教諭養成課程のある学校で必要な単位を取得後、「幼稚園教諭国家試験」に合格する必要があります。

教員

公立の小学校、中学校、高等学校に勤務する教員は都道府県や市町村に属する地方公務員です。生徒や児童に教育のほか、生きていくうえで必要な社会性なども教えるやりがいのある仕事です。

教員になるには、勤務する学校の種類や教える強化に対応した教員免許が必要です。教員過程のある大学などを卒業して取得します。その後、地方自治体ごとで実施される採用候補者試験に合格する必要があります。

保育士

公立の保育園や保育所、認定こども園で勤務する保育士は地方公務員です。「公務員保育士」と呼ばれることもあります。

地方公務員の保育士になるには、各地自体の採用試験だけでなく、厚生労働省の認定する国家試験に合格する必要があります。

保健師

自治体の保健所や保健センターに勤務する保健師は、地方公務員です。地域住民の健康を守るための業務を行っています。地方公務員の保健師になるには、採用試験に合格するのに加え、国家試験に合格して保健師資格を取得する必要があります。

看護師

公立病院や保健所、保健センター、公立の保育所などで勤務する看護師は地方公務員です。看護課や看護師専門学校などで必要な過程を修了し、厚生労働省の国家試験に合格して取得する看護師免許が求められます。

獣医師

国家資格である獣医師免許が必要な職種です。地方自治体の本省庁や保健所、食肉衛生検査所、公立の動物園や水族館で勤務する獣医師は、地方公務員になります。獣医師ならではの専門的な知識が必要な施設で業務を行っています。

臨床検査技師

公立の病院や保健所、研究所、警察署など地方自治体の施設で働く臨床検査技師は地方公務員です。医師の指示にしたがって患者の検査や検体の採取などの業務を行っています。

大学などで養成課程を修了後、国家試験に合格して取得する臨床検査技師の資格が必要です。

診療放射線技師

公立の病院や保健所、研究所などで働く診療放射線技師は地方公務員です。レントゲンやMRIなど、放射線を使用した検査や機器などを取り扱う業務に携わっています。

大学などで養成課程を修了後、国家試験に合格して取得する診療放射線技師の資格が必要です。

栄養士・食品衛生監視員

栄養士や食品衛生監視員の養成課程を修了後、都道府県知事に申請し認定が必要な職種です。公立の病院や学校、保健所などで勤務しています。住民の健康促進や食品衛生管理など、栄養や食品に関する業務を行っています。

警察官採用に関する内容は、当ブログの「警察官になるには採用試験に合格する必要がある!受験資格は?」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

また、消防試験に関する内容も、当ブログの「消防士になりたい!職員採用案内をみて試験準備を始めよう」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

地方公務員は仕事内容によって幅広い職種がある

国家公務員と地方公務員の違いをふまえたうえで、地方公務員の職種別の仕事内容や特徴を解説しました。地方公務員は、地域の住民を支えるための幅広い業務を担っています。職種によって、実際に携わる仕事内容はさまざまです。また、試験の難易度や条件、求められる適正、資格の有無なども職種によって異なります。自分の適性や将来どんな仕事に関わりたいかを踏まえて、自分が憧れる、なりたい地方公務員の職業を見つけましょう。