皆さん既にご存知かと思いますが、市役所採用試験の情報を調べていると、「SPI」と呼ばれる民間企業で活用される適性検査を実施する自治体が増えてきています。採用側が「相手をより深く知ること」を支援するツールとして全国的に使われているため、未経験の職務への適応のしやすさなどを判断できることから、広くSPIが導入されるようになりました。
「併願したいけど、教養試験とSPI両方あるっぽい…」「SPI対策まですると、試験対策がもっと増える…!」と心配している受験生の皆さん、ご安心ください。市役所の教養試験とSPIの対策を効率的に進める方法はあります。
そこで今回は、SPIと教養試験の共通点や違いを踏まえて、対策のポイントを解説します。
市役所試験でもSPIは使われている
近年では、市役所試験においても多くの民間企業で活用されているSPIを導入する自治体が増えています。「SPI」とは正式にはSPI3と呼ばれる適性検査のことで、リクルートが提供している採用テストです。
SPIを活用した選考方法は自治体ごとに異なりますが、1次試験でSPIのみ実施する自治体も増えているためチェックしてみてください。SPIのみを1次試験に導入している市役所は、民間企業を志望する就活生も受験しやすく、倍率が高くなる傾向にあります。
SPIの検査内容と受検方式
SPIの試験内容は「性格検査」「基礎能力検査」の2種類で構成されています。SPIは、仕事の正確性や迅速性を測ることに重点が置かれているのがポイントです。
ここでは、それぞれの検査の特徴について見ていきましょう。
SPI検査の内容 | それぞれの検査の特徴 |
性格検査 | ・行動のベースとなる性格特性を測定し、4側面18種類に分類 ・性格特性は、環境や状況に応じて変わりにくいとされる ・約300の質問に回答 |
基礎能力検査 | ・「言語分野」「非言語分野」の2種類の問題に回答する ・コミュニケーションや思考力、新しい知識・技術の習得などの仕事上のスキルのベースとなる知的能力を測定 ・基礎能力が高いと「飲み込みが早い」「ポテンシャルが高い」と表現される資質を持つ ・「英語能力検査」は、市役所試験でほぼ実施されていない。 ・外資系など実務で英語を必要とする企業の採用試験で出題される可能性もある |
SPIの受検方式は、大きく次の2種類に大別できます。
- 紙媒体のマークシート方式
- パソコンから受検する方式
パソコンから受検する場合には、パソコン操作にも慣れておく必要があるでしょう。またパソコンから受検する方式であれば、全国のテストセンター会場で受検する場合があります。
SPIの導入が市役所試験で進んでいる理由
人物重視の採用プロセスは、市役所も民間も同じです。しかし市役所の教養試験は、幅広い出題範囲に加えて試験の難易度自体が高いことから、出願へのハードルが高いことで知られています。
そのような状況下で、とくに地方の自治体が将来有望な人材を確保するために民間企業との競争に勝つのは大変でしょう。
そこでなるべく多くの学生が出願できるように、SPIを導入する市役所が増えてきました。SPIを導入した市役所へ就活生が流れてしまう懸念から、今後はSPIの導入を決める市役所がさらに増えることも予想されます。
ただし市役所の職員は、職務の根拠となる法令や専門知識を身につける必要があるため、必要な学力の有無をみる従来の教養試験がなくなることはないでしょう。そのため毎年、志望する市役所の採用情報を確認することが大切です。
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市役所の教養試験とSPIの共通点と違い
SPIと市役所の教養試験を比べると、出題される科目の学習をするうえで似ている部分が数多くあります。共通点を知っていれば、より効率よく試験対策を行えます。
共通する部分があることから、SPIより難しいとされる教養試験の対策を進める方法がおすすめです。
SPIと教養試験の共通点
市役所の教養試験では、文章理解や数的処理の問題が出題されます。一方、SPIでは国語系は「言語分野」、数学系は「非言語分野」として出題され、共通点が多いです。
具体的には、以下の表のようになっています。
SPIの出題内容 | 市役所の教養試験の出題内容 | |
国語系 | ・同意語 ・反意語 ・二語の関係 ・語句の意味 ・ことわざや慣用句 ・文中の空欄補充 ・長文読解 | ・現代文 ・英文 ・古文 |
算数系 | ・計算問題 ・情報の読み取り ・推論 ・順列・組み合わせ ・表の解釈 ・割合(料金の割引・売買・濃度) ・代金の精算 ・グラフと領域 | ・判断推理 ・数的推理 ・空間把握 ・資料解釈 |
SPIは、国語系の言語分野と算数系の非言語分野から出題されるため、一般的な市役所の教養試験と比べると対策する科目が少ないのが特徴です。たとえば法律の知識は問われません。そのためSPIを導入している市役所採用試験は、出願へのハードルが一気に下がります。
違いは1問あたりに使える解答時間や難易度
SPIと従来の教養試験においては解答時間や難易度に大きな違いがあります。ここでは詳しく違いについて見ていきましょう。
SPI | 市役所の教養試験 | |
解答時間 | ・1問あたり1分程度 ・WEBテストの場合、1問あたりの解答時間に制限あり | ・1問あたり3~3分半程度 ・5肢択一のマークシート方式で、時間内に40〜50問を解答する |
難易度 | ・市役所の教養試験よりやさしい基礎的な内容 ・解答には、正確性とスピードが求められる | ・大学入学共通テストよりもやさしい ・出題範囲は幅広く、知識力と応用力が求められる |
SPIは、市役所の教養試験と比べると基礎レベルの問題が含まれます。難易度はやさしくても、忘れている知識も多いでしょうし、短時間で正確に解答する必要があるため注意が必要です。
両方対策するなら押さえたい2つのポイント
ここではSPIと市役所の教養試験の両方を受験する人に向けて、学習のポイントをご紹介します。
市役所の教養試験対策をメインに学習する
民間企業と市役所の併願や、複数の自治体の市役所で日程的に可能であればすべてに出願をする方もいるでしょう。志望先が採用試験にSPIを導入していても「さらにSPI対策をしなくては」と気負う必要はありません。
ほかの志望先が教養試験を実施するのであれば、教養試験をメインに対策しましょう。市役所の教養試験対策をすればSPIの内容をほぼカバーできるので、新しくインプットすべき分野はありません。
しかしSPIで油断できないのは、短い解答時間と非言語分野の出題形式です。次の項目で詳細を見ていきましょう。
SPIの出題形式と短い制限時間に慣れる
市役所の教養試験の数的処理では見慣れない形式で、非言語分野が出題されることがあります。教養試験よりも難易度が低いSPIでは高得点を狙っていく必要があるため、とくに非言語分野は出題形式への慣れが大事です。
SPIは、時間をかければ正解できる基礎的なレベルの問題が出題されますが、緊張や制限時間による焦りから間違えることも多々起こりえます。そこで対策する際には、ストップウォッチで時間を測りながら、同じ問題集を繰り返し解いて仕上げていくとよいでしょう。
試験日が近づいてから、同じSPI問題集で出題形式に慣れるように準備すれば十分です。出題分野が狭いSPIでは問題の解き方にもパターンがあるため、解法を習得しましょう。
すべての問題を解き終わったら、所要時間を問題集に書き留めておき、次回の参考にします。2回目以降に解く際に、前回の所要時間より短縮することを意識して取り組めば、試験日当日も慌てずに解答できるでしょう。
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