新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響から、市役所の採用現場においてもオンライン化が進んでいます。このような状況の中、小規模な市役所を中心にSCOA(スコア)が導入されていることをご存じでしょうか?
「そもそもSCOAって何?」「SPIと教養試験より簡単なの?」という方のために今回は、市役所採用試験で導入されているSCOAの種類や難易度、適性検査の代表格であるSPIとの違いなどを解説します。
60分で120問に解答するSCOAとは
60分で120問に解答する適性検査「SCOA(スコア)」を、教養試験の代わりに実施する市役所が増えています。SCOAとは、SCOA総合適性検査の略称で株式会社日本経営協会総合研究所(以下、NOMA総研)によって1985年に開発された適性検査です。
知識偏重の学力評価とは対照的に「知」「情」「意」の3つの側面から個人を捉える検査として次のように構成されています。
測定項目 | 測定・評価する内容 |
知 | 基礎的な知的能力や実務遂行能力などの知的側面 |
情 | 持って生まれた気質 |
意 | 後天的に形成される性格や意欲 |
上記のように「ひとりひとりの個性を理解し、持ち味を生かす」ことを目的に開発され、多面的な評価に役立つことから市役所でも活用されています。ほかの適性検査には見られない理科や社会からも出題される検査です。
ここでは、SCOAの試験概要について見ていきましょう。
SCOAの種類
SCOAの種類は、測定領域に応じて「基礎能力」「パーソナリティ」「事務能力」の3つがあります。
「知」を測定・評価する |
「情意」を測定・評価する |
基礎能力(SCOA-A・F) |
パーソナリティ(SCOA-B) |
基礎能力(SCOA-i) | |
事務能力(SCOA-C) |
採用の現場で広く採用されているのは、素質的な知的能力と後天的な学力を測定する「SCOA-A」です。「SCOA-A」では、60分の制限時間内に120問に解答することから、会場で苦戦しないためにも対策が必要となります。
市役所だけでなく民間の採用試験でもいえることですが、知と情意を測定・評価する検査の両方が出題されるケースが多いです。たとえば「SCOA-A」と「SCOA-B」という組み合わせになります。
SCOAの受検場所
SCOAの受検場所は、主に次の3つとなります。
受検場所 | 受検方法の詳細 |
テストセンター | ・全国の提携試験会場に足を運んで、パソコンを利用して解答する ・受検者が都合の良い会場・日程を選んでSCOAの受検が可能 |
自宅 | ・自宅においてPC、タブレット、スマートフォンいずれかを準備して受検する(市役所採用試験では、自宅で受検することはほぼありません) |
指定会場 | ・紙のマークシート方式の場合によく見られる ・企業や団体が指定した会場や日程でSCOAを受検する |
この3つのうち、市役所採用試験においては提携先のテストセンターを受検会場とする自治体が多く見られます。
SCOAの難易度
SCOAの基礎能力検査の難易度は、中学校や高校で学習するレベルなので決して高くありません。従来型の市役所採用試験に向けた対策を行っていれば、SCOAの出題範囲は網羅できています。
ただし問題数の多いSCOAの基礎能力検査では解答スピードを意識する必要があり、慣れていないと苦戦する場合が多いです。スピードアップのためにも、出題形式に慣れておくことが大切です。できるだけ苦手をなくして、得意分野を迅速に解くための訓練が必要となります。
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市役所採用試験でSCOA試験を見分ける方法
「第1次試験は、教養試験(SCOA-A)のみ実施します」と採用試験案内に明記している市役所は、非常に少数です。SCOAの導入は、政令指定都市以外の小規模な市役所を中心に見られます。
採用試験の会場で見慣れない問題のパターンに初めて出くわす事態は、どんなに実力のある就活生でも避けたいものです。SCOAを見分けるポイントとして、次のような記載が挙げられます。
- 試験時間は60分120問
- 出題範囲は文書読解能力、数的能力、論理的思考能力、一般知識、基礎英語など
ただし「120問」や「基礎英語」など特定につながる記載がないケースも多く、見分けるのは簡単ではありません。NOMA総研の公式サイトでは「導入事例 採用(自治体)」が紹介されています。採用試験案内をチェックする際に参考にするのもひとつの方法です。
テストセンター形式で第1次試験を実施する市役所が多く、会場は「全国CBTテストセンター」が指定されています。このCBTテストセンターは、さまざまな試験を代行しているため、会場名だけでSCOAだと特定するのは難しいでしょう。
試験時間と出題範囲から推定し、ほかの情報ソースとも照らし合わせながら絞り込んでいくのがよい方法です。
事務能力試験を受検することも
市役所の中には基礎能力試験やパーソナリティ検査だけでなく、事務能力試験も実施するケースがあります。たとえば「2科目、約120分」という情報があれば、それはSCOAの基礎能力試験と事務能力試験かもしれません。
SCOAの事務能力検査はIQテストに似ており、その内容は以下のとおりです。
- 測定領域は「照合」「分類」「言語」「計算」「読図」「記憶」の6つ
- 検査時間は50分
120問を15分で解く公務員試験の適性試験よりも、SCOAは時間も長く検査項目も多いのが特徴です。得意不得意は誰にでもありますが、どんな領域の問題でも平常心を心がけ、諦めずに解くようにしましょう。
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SPI対策をすればSCOA対策も可能?
就活の現場で実施される適性検査においてはSPIが広く利用されており、SCOAは知らなくてもSPIであれば知っているという人も多いでしょう。中には「SPI対策をすれば、SCOA対策も兼ねられるのでは」と考える人もいるかもしれませんが、実際には難しいです。
SCOAとSPIの違い
そもそもSCOAとSPIでは、解答を導き出すために求められる能力が異なります。SCOAとSPIの違いは、次のとおりです。
SCOA | SPI | |
出題科目 | 言語、数理、論理、常識、英語 | 言語、非言語 (英語は市役所採用試験ではほぼ出題されない) |
試験時間 | 60分(上記、5尺度の場合) | 70分(ペーパーテスト方式) |
設問数 | 能力検査は120問 | 能力検査は70問 |
求められる力 | 基礎的な知識、処理能力 | 応用力 |
SPIの能力検査では主に応用力が見られており、設問から解答を導き出すまで時間がかかります。一方、SCOAの難易度は低いものの設問数が多く、処理能力の有無を見られているのが特徴です。
そこでSCOAを突破するためには、模擬試験などを利用して短時間で解答できるよう対策をしておく必要があります。
SCOA対策のポイント
市役所採用試験で導入されるSCOAの基礎能力検査は「60分で120問」を解答するため、大量の問題をどう処理していくのかがポイントです。ただし、すべて解くことは求められていないことから、みんなが解けるような簡単な問題を落とさないように心がけましょう。
得点を伸ばすという意識をもつよりは、1次試験の着実な突破を目指すことが大事です。ただし中には成績に反映させず、第1次・第2次の面接合格者向けに第3次の面接・小論文試験の参考資料としてSCOAを受検するよう指示する市役所もあります。
10日くらい前からSCOA対策問題集を繰り返し解いて、SCOAの傾向や特徴をつかみましょう。
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SCOAでは解答スピードを上げる対策が必要
SCOAで出題される問題の難易度は、従来の市役所採用試験に比べてあまり高くはありません。しかし出題数が多いのに解答時間がとても短く、苦戦する就活生は多いので注意が必要です。
志望する自治体の採用試験案内をよく読んで、SCOAと推定したら「解答スピード」に慣れるための対策をしましょう。SCOAで高得点をあげるためには、ハイスピードで解くことが重要です。