市役所職員の中途採用試験!採用方法・競争倍率など徹底調査

市役所の中途採用は超難関 それ誤解です!

現在働いていて市役所職員を転職先にしたいと考えた場合、どのような方法があるのでしょうか。市役所職員の採用試験には、「大卒程度」や「高卒程度」など、新卒・第二新卒にあたる枠とは別に「民間経験者枠」などの種別があり、中途採用が行われています。

「噂では、中途採用は何百倍もあるらしい、希望が見えない」というお声をお問合せいただくことが増えたのですが、インパクトある内容に振り回される必要はありません。皆さん十分に受かる可能性はあります。

今回は中途採用試験について、採用条件や実際の競争倍率、受験資格などを解説します。噂の真相にも触れていますので、最後まで読めば対策方法が見えてくるでしょう。

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中途採用のルート

分岐した線路

中途採用には大きく分けて2種類があり「民間企業経験者枠」と「氷河期世代採用枠」があります。なお経験年数が少ない30歳以下の方は、通常の大卒程度の試験でも受験が可能です。これは、受験資格が新卒や第二新卒に限定されていないためです。

民間企業経験者枠

「民間企業経験者枠」では、年齢の上限を定年直前の59歳までと設定している自治体も増え、実質的には年齢の上限がないケースが多いです。ただし民間企業など社会人経験の活用を期待されていることから民間企業経験者枠には「何年何月何日までに生まれた人」など年齢の下限が設定されています。

また民間企業などでの一定年数以上の勤務経験なども設定されています。名称は「民間企業経験者枠」となっていますが、公務員や団体職員などでの勤務経験も対象です。

転職を繰り返している場合は、ひとつの企業での勤務年数のみ計算に入れるなど、市役所によって条件が異なりますので、注意が必要です。

氷河期世代採用枠

「氷河期世代採用枠」も中途採用の一種ですが、生年月日を一定の範囲に限って採用しているものです。かつてバブル経済崩壊後に日本で就職氷河期が訪れ、ちょうど大学卒業の時期と当たった世代は正社員への就職が難しく、今も非正規雇用で働いている方もいます。 そこで、国や地方公共団体などが率先して正規雇用を進めるため、氷河期世代に限定した採用を行っています。

就職氷河期の定義があいまいなため、市役所により生まれ年の範囲は異なり同じ市町村で「民間企業経験者枠」と併願できないことがあります。また、すべての市役所で募集しているわけではないため注意が必要です。

ここまでのポイントまとめ①
民間企業経験者枠は、年齢上限なし!社会人経験を活かせる!
30歳以下の方は大卒程度試験で挑戦可能!若手の転職にも対応!
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競争倍率はどれぐらい?

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市役所で中途採用が行われていることはわかりましたが、実際に採用試験の競争倍率はどれぐらいなのか見ていきましょう。

「競争率100倍以上」の誤解

冒頭でもお伝えした通り、「公務員の中途採用は、競争倍率が何百倍もあるのでかなり難しい」という声があがることがありますが、これは、かつて大きな話題となったニュースと関係しているかもしれません。

兵庫県宝塚市が2019年8月に就職氷河期世代を対象とした正規職員を募集したところ、定員の600倍もの応募が殺到したことがあります。一部の事務職の応募条件を1974年4月2日から1984年4月1日までに生まれた方、当時36〜45歳で高卒以上の人としていました。

8月19日から10日間ほど募集したところ、3名の募集に対し、全国からなんと1,816人の応募がありました。新卒時点で正社員になれなかった方は、景気が回復してもなかなか正社員になりにくく、公務員の正規職員に対するニーズはかなり高いといえます。しかし、これは極端な例であり、実際にはもっと倍率が低いことを知っておきましょう。

また事務職以外の技術職については、スキルを必要とするために応募できる人が限られているからか、倍率はさらに低くなります。

主な市の競争倍率

下記に主な市役所の採用試験に関する競争倍率について、民間企業経験者枠と氷河期世代採用枠に分けてまとめてみました。

市町村名試験区分年度申込者数合格者数倍率
札幌市社会人経験者の部 一般事務(行政コース)令和3年度7191742.3
名古屋市職務経験者採用試験 行政A令和3年度4672816.7
京都市民間企業等職務経験者 一般事務職令和3年度5103713.8
東京都武蔵村山市一般事務令和2年度127149.1
兵庫県三田市社会人事務職令和2年度117339.0
市町村名試験区分年度申込者数合格者数倍率
名古屋市就職氷河期世代採用試験 行政A令和3年度6551065.5
東京都武蔵村山市就職氷河期一般事務令和2年度127431.8
兵庫県三田市就職氷河期事務職令和2年度146273.0

さすがに倍率が数百倍ではないものの、ほとんどが10倍以上でやはり狭き門というイメージがあるかもしれません。しかし申込に対して実際に1次試験を受けた人は少なくなるため、実質的な倍率はもっと低くなります。

また事務職以外の技術職については、スキルが必要となるため応募できる人が限られているからか、倍率はさらに低いことも覚えておいてください。


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「中途採用」の呼び方が変わる?

新卒者や第二新卒者ではない従業員の採用について、世間一般ではよく「中途採用」という呼称が使われます。11月7日に経団連は「中途採用」ではなく「経験者採用」に呼称を改めるよう、会員企業に呼びかける方針を打ち出しました。

2023年春闘について経営側の交渉方針などを示す「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)の素案に盛り込まれています。まず2023年から経団連の会員企業向けの書類やアンケートで「経験者採用」の表記を統一予定で、会員企業にも採用活動などでの使用を推奨するそうです。

これは「中途」という言葉が与えるネガティブな印象を払拭することで、企業側・労働者の双方で中途採用に対する抵抗感を弱める目的があります。そして、スムーズに雇用の流動化を進めることで、日本経済全体の活性化につなげる狙いがあるようです。

しかし経団連が提唱した呼称が、世間一般にまで浸透するかは不明です。かつて2000年代に入ってからは、経団連は「春闘」ではなく「春季労使交渉」と呼称していますが、いまだに「春闘」という言葉は世間的に使用され続けています。

「経験者採用」という用語が定着するか否かは不明ですが、公務員の採用試験では「民間企業等経験者採用試験」などですでに使用されています。経験者採用は中途採用と同じ意味だということは押さえておきましょう。

募集している職種

双眼鏡を覗いている人、JOB SEARCH

中途採用はさまざまな職種で行われています。ここでは、市が募集している職種についてご紹介します。

市役所名職種応募締切日1次試験実施日
神戸市総合事務ほか多数2022年12月28日2023年1月12~17日
和歌山市行政職(土木職・電気職)2022年12月19日2023年1月15日
岩手県大槌町情報システムエンジニア(一般事務)2022年11月30日2022年12月11日
埼玉県春日部市作業療法士2022年12月2日2022年12月17日
愛知県東海市看護職2022年12月2日2022年12月18日

上記はごく一部であり、他にも多くの市役所で中途採用が行われています。ただし、すべての市役所が経験者採用や氷河期世代向けの採用を行っているわけではありません。また職種によっては、特化したスキルが必要となるため募集要項はよく確認しておきましょう。

ここまでのポイントまとめ③
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中途採用は必ずしも不可能ではない

今回は市役所職員の中途採用試験について、受験の要件や実際の競争倍率などについてご紹介しました。公務員の中途採用はかなり門戸が狭いイメージがありますが、さまざまな市役所で併願受験が可能で倍率も極端に高いわけではないため、合格は必ずしも不可能ではありません。

年齢やこれまでの勤務経験、受けたい市役所によって受験要件は大きく異なりますので、募集要項はよく確認しておきましょう。


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