地方公務員になるには?仕事内容や魅力、向いている人を解説

6つの職種とメリットを知り 適した選択を

地方公務員の魅力の一つは、何と言っても給料が「安定している」ということでしょう。リストラや倒産の心配もなく「一生安泰」。でも、地方公務員の魅力はそれだけではないのです。

当ブログは、地方公務員採用試験の問題集を取り扱って16年が経ちますが、「地方公務員になるには、どんな対策をすればいいのですか」というお問い合わせが増えています。「何となく良さそうだから」といったあいまいな理由で地方公務員を目指す人も少なくないですが、面接などの場で、試験官はあなたの気持ちを見破ります。そこで、今回は地方公務員の代表的な6つの職種の仕事内容と特徴、地方公務員のメリット、向いている人の特徴について、たっぷり解説します。

自分が目指す職種を見つけ、地方公務員として働く自分のイメージを描き、試験対策に挑めるよう、ぜひ参考にしてください。

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地方公務員とは?

自信を持つ男性

地方公務員は仕事内容や勤務先によって、多岐にわたる職種に分かれています。地方公務員を目指すには、まずどの職種になりたいかを踏まえるのが重要です。職種によっても、受ける地方公務員試験の区分は異なってきます。

代表的な6つの職種と特徴

地方公務員は、地方公務員法の適応の有無により「特別職」と「一般職」に分けられます。

特別職に該当するのが、以下の3つの職種です。

  • 都道府県知事
  • 市町村長
  • 地方議員

特別職に該当しない地方公務員は、すべて一般職です。一般職の地方公務員は、仕事の内容によって以下の6つの職種に分けることができます。

  1. 行政職
  2. 福祉職
  3. 心理職
  4. 技術職
  5. 公安職
  6. 専門職

それぞれの職種の特徴について、順に解説していきます。

1.行政職

行政職とは、行政全般に関する幅広い業務を行う地方公務員です。「一般行政職」「行政事務系」とも呼ばれています。

行政職は、大きく分けて以下の3つの職種があります。

  • 行政事務
  • 学校事務
  • 警察事務

行政事務は市役所や区役所、公共施設の職員として勤務しています。地域住民を支えるための行政サービスを提供することが仕事内容です。仕事内容に応じて戸籍課、保険課、福祉課などの部署に配属されます。2~3年周期でいろいろな部署を異動するのが特徴です。

学校事務は、公立学校の事務職員として勤務をします。学校の備品管理や会計などを担当しています。

警察事務は、警察署内の職員として勤務する地方公務員です。警察署内の会計や福利厚生などの業務を担当するほか、犯罪データの収集や分析、運転免許証に関する業務なども行っています。

2.福祉職

福祉職とは、おもに児童や障がい のある人、高齢者への福祉に関する業務を行う地方公務員です。大きく分けて以下の職種が該当します。

  • 健康福祉局の職員
  • 役所の福祉課の職員
  • 社会福祉施設や児童相談所の相談員(ケースワーカー)
  • 社会福祉施設や児童相談所の指導員

福祉に関する相談を受けたり、指導や調査を行ったりするのが仕事内容です。なお、福祉職の地方公務員になるには「社会福祉主事任用資格」が必要な地方自治体が多くなっています。福祉職の公務員採用試験は、都道府県や政令指定都市、特別区で実施されています。

3.心理職

心理職とは、地方公共団体に属する児童心理司 などです。人の心や気持ちに寄り添う、以下のような業務を行っています。

  • 心理面接や心理相談
  • 心理学的なサポート
  • 児童相談所のケースワーカー業務
  • 県立病院やこども家庭支援センターでの心理判定など

4.技術職

専門的な知識や技術が必要な分野で市民生活を支えているのが、技術職です。理系公務員とも呼ばれています。

技術職は、仕事内容や分野で以下の区分に分かれています。

  • 土木
  • 建築
  • 機械
  • 電気
  • 電子
  • 化学
  • 農学など

専門的な知識や技術が必要なため、大学で学んだことが活かせる業務に携われます。技術職になるには、希望する区分の公務員採用試験を受験する必要があります。採用区分や人数は自治体によって異なりますが、傾向としては土木、建築、機械、電気の区分での採用が多くなっています。

5.公安職

公安職とは、国民の平和と安全のための業務に携わる公務員です。公安職のなかでも、警察官と消防官が地方公務員に該当します。

都道府県に採用された警察官は地方公務員です。市民や地域社会の治安維持のために犯罪に立ち向かう業務を担っています。なお、警察官でも警視正以上の階級になると、所属は都道府県警察でも立場は国家公務員になります。

消防官は、市町村に採用される地方公務員です。火災や自然災害に対して、消火や救助、救出活動のほか、防火や防災のための活動も行います。勤務先は各自治体の消防署です。

6.専門職

専門職とは、地方公務員のなかでも特定の国家資格や免許が必要な職種です。「資格免許職」とも呼ばれています。

専門職には、おもに以下の職種があります。

  • 公立幼稚園教諭
  • 公立保育園・こども園の保育士
  • 公立学校の教員
  • 公立病院などの看護師や薬剤師、臨床検査技師など
  • 本庁、公立動物園や水族館の獣医師
  • 保健所や保健センターの保健師
  • 保健所や保健センターの栄養士
  • 公立図書館の司書

自治体によって採用する職種や人数が異なります。また、公務員採用試験に合格するとともに、設定された期限までに必要な免許や資格の取得が求められます。

【公務員試験サクセス】

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給料や年収

総務省発表の「令和2年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によると、地方公務員の平均月収は「36万949円」です。内訳は平均給料月額が「31万6,993円」、平均諸手当月額が「4万3,956円」となっています。なお、国家公務員の平均月収は「40万8,868円」で、地方公務員よりも4万円ほど高くなっています。

平均年収は、36万949円×12月=約433万円です。

地方公務員の給料は、属している地方公共団体や職種によっても異なります。以下に、地方公共団体や職種別の地方公務員の平均月収をまとめました。

【地方公共団体別の地方公務員の平均月収(一般行政職の場合)】

  • 都道府県…36万6,268円
  • 政令指定都市…37万9,749円
  • 市…35万7,276円
  • 町村…33万286円
  • 特別区…37万7,355円

【職種別の地方公務員の平均月収】

  • 一般行政職…36万949円
  • 技能労務職…35万1,974円
  • 高等学校教育職…41万2,285円
  • 小・中学校教育職…39万5,110円
  • 警察職…37万1,763円

主な勤務先

地方公務員の勤務先は、職種や仕事内容、配属先によって多岐に分かれます。

  • 各都道府県庁
  • 市区町村役場
  • 地方公共団体
  • 公立の学校
  • 児童相談所、児童養護施設、福祉施設
  • 保健所、保健センター
  • 病院
  • 図書館
  • 警察署、派出所、交番、免許センター
  • 消防署

異動は2~3年周期で行われる場合が多くなっています。県の職員の場合は県内、市の職員の場合は市内と、自分が属している自治体内での異動になります。

ここまでのポイントまとめ①
一般職は、行政、福祉、心理、技術、公安、専門の6つの主要職種がある。
地方公務員の平均月収は約36万円。2〜3年周期で異動がある。
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地方公務員の魅力・メリット6選

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地方公務員は、大学などの卒業後の進路や一般企業からの転職先としても候補にあがる人気の職業です。地方公務員には、以下の6つの魅力やメリットがあります。

  1. 安定して働ける
  2. 給与が年功序列制
  3. 働きやすい制度や環境が整っている
  4. 地域に貢献できる
  5. 社会的な信用が高い
  6. 幅広い仕事の選択肢がある

それぞれ解説していきます。

1.安定して働ける

地方公務員は、都道府県市町村などの地方公共団体に属して働きます。社会情勢や景気の影響を受けにくいため、失業やリストラのリスクが一般企業よりも低いのがメリットです。また地方公務員は、年金払い退職給付を受けられます。企業年金と同じく、老後の備えができるのも魅力です。職務義務違反や犯罪行為、勤務態度が著しく悪いなどの理由がなければ、一生安定して働ける職業です。

2.給料が年功序列制

地方公務員の給料は、勤務期間が長ければ長いほど上がっていく年功序列制が採用されています。安定して働ける職業であり、離職率が低いこともメリットです。ノルマなどが課されることもありません。

3.働きやすい制度や環境が整っている

地方公務員は、ワークライフバランスを実現しやすい各種休暇や制度が整っています。

  • 採用1年目から20日の有休
  • 産前産後休業
  • 育児休暇3年間
  • 育児短時間勤務
  • 介護休暇
  • ボランティア休暇

ライフスタイルに合わせた多様な働き方や、プライベートも充実できる休暇が整っているのも魅力です。近年では女性職員の積極採用や、長時間労働の是正なども行われ、より働きやすい環境が整えられるようになりました。

異動の場合も所属する自治体内のため、大きな引越しをともなう転勤が発生する可能性も少なくなっています。

4.人や地域に貢献できる

地方公務員をふくめ、公務員とは国民や住民を支える奉仕者という位置づけです。人の暮らしや生活、幸せのために働く職業のため、大きなやりがいが得られるでしょう。民間企業ではできない、人や地域に貢献できる仕事に携われるのも地方公務員の魅力です。

5.社会的な信用が高い

地方公務員や国家公務員は、社会的な信用が高い職業です。クレジットカードやローンなど、審査基準に職業がある場合の契約も通りやすいメリットがあります。安定性と社会的な信用の高さからも、結婚したい異性の職業としても上がることが多いです。

6.幅広い仕事の選択肢がある

地方公務員と一口にいっても、仕事内容や勤務先によって幅広い職種があります。採用試験を受けるときには、自分に適性のある仕事や、チャレンジしてみたい職種、働きやすい環境などを選んで受験が可能です。

  • 市町村
  • 都道府県
  • 政令指定都市
  • 東京特別区
ここまでのポイントまとめ②
地域貢献ができ、社会的信用が高く、多様な職種から選択できる。
転勤も少ないため、長期的なキャリアプランを立てやすい。
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地方公務員に向いている人の特徴は?

楽しい仕事に向かう男女

地方公務員に向いている人の特徴として、以下3つのポイントが挙げられます。

  1. 公平・公正な考え方ができる人
  2. 誠実な対応ができる人
  3. 変化に強い人

それぞれ解説していきます。

1.公平・公正な考え方ができる人

地方公務員の仕事は、地域社会や住民を支えるのが目的です。つねにどんな人や事柄に対しても、公平かつ公正な対応が求められます。

業務についても、実力やスキルが直接給料に反映されるわけではありません。勤続年数に応じた規定による給料が、平等に支払われます。私情をはさまず、つねに地域社会や住民に貢献したいという意識や気持ちを持って業務に携われる人が、地方公務員に向いています。

2.誠実な対応ができる人

国家公務員が国全体を専門的な分野で支える業務を行っているのに対して、地方公務員は地域社会や住民により密着した業務を行っています。地方公務員として働くうえでは、地域住民のニーズや悩みなどの声にしっかりと耳を傾けて、行政に活かせる対応ができる人が求められています。

どんな人に対しても公平に、かつ話はしっかりと聞く誠実な対応ができる人は、地方公務員に向いているでしょう。

3.変化に強い人

地方公務員は、2~3年の周期で異動があります。職種によっては、全く関連のない部署に異動になることも珍しくありません。新しく仕事を覚え直したり、人間関係や仕事環境がリセットされたりすることに対して、強いストレスを感じてしまう人には向いていないでしょう。一方、「いろいろな仕事が覚えられる」「新しい人と関われる」など、変化に対してポジティブな人は、地方公務員に向いているといえます。

また、地方公務員として業務を行っていると、日々多くのことが起こります。災害などの不測の事態が発生しても、地域住民を守るための行動が地方公務員には求められます。どんなことが起きても冷静な判断と行動ができる人も、地方公務員に向いています。

ここまでのポイントまとめ③
誠実な対応ができ、地域住民のニーズや悩みに耳を傾けられる人
定期的な異動や予期せぬ事態に対応できる、変化に強い人
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地方公務員は安定以外にも多くの魅力がある

地方公務員の職種別の特徴や給料、魅力やメリット、向いている人の特徴について解説しました。地方公務員のやりがいを感じ取ることができたのではないでしょうか。自分が目指したい職種が決まれば、しっかりと準備を行い、採用試験の合格を目指しましょう。

さっそく試験対策をしたいという皆さん、まずは、自分が受験する試験の内容を把握することがポイントです。以下の記事では、地方公務員試験の出題科目とその内容・傾向を具体的に解説していますので、ぜひご活用ください。


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