地方公務員を志している皆さん、試験対策は進んでいますか?合格を手に入れるには公務員試験を突破しなければなりません。「たくさんの科目があることは知っている。公務員にはなりたいけど、試験勉強は気が遠くなりそう」「たくさんの科目、いったいどんな勉強をすれば合格できるのかわからない」。当ブログにも、受験生からの不安の声が多く届いています。
まずは、試験に出る科目を把握することから始めましょう。そして、自分が目指す公務員の区分や、職種に合わせた対策をすることが合格につながります。
今回は、公務員試験の出題科目と、その傾向と対策を解説いたします。しっかり事前準備をして、効率的な対策を立ててから勉強に取り組んでください。
地方公務員の採用試験の内容は?
地方公務員採用試験の内容は、1次試験と2次試験からなります。
・1次試験(教養科目・専門科目)
・2次試験(個別面接・集団討論)
それぞれの具体的な試験内容について解説していきます。
1次試験は教養科目・専門科目がある
1次試験は教養科目と専門科目があります。教養科目と専門科目両方を実施する場合がほとんどです。教養科目のみの実施は、ごく一部の職種(国家公務員である皇宮護衛官、警察官、消防官、一部の市役所)の公務員試験に限られます。専門科目のみを実施するのは、ごく一部の自治体のみでほとんどありません。教養科目、専門科目ともに試験対策が必要です。
教養科目は一般知能(2科目)と一般知識(4科目)に分かれています。専門知識は3科目あり、受験する区分により出題される科目や数が異なるのが特徴です。
また受験する区分や職種によっては、教養科目と専門科目以外に、小論文や適性試験が行われる場合もあります。
2次試験は個別面接と集団討論がある
2次試験は人物試験として、すべての区分と職種で行われます。2次試験の内容は、個人面接と集団討論です。一部の公務員試験では、2次試験でも専門科目の試験が行われます。
【公務員試験サクセス】
<市役所採用試験・合格体験談>
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教養科目の詳細一覧
教養科目は自治体や受験する職種によって少し差がありますが、ほとんどの公務員試験で40題が出題されます。一般知能と一般知識に分かれ、以下の計6科目が出題されます。
- 数的処理
- 文章理解
- 人文科学
- 自然化学
- 社会科学
- 時事問題
それぞれの具体的な内容について解説していきます。
数的処理
数的処理は教養科目のなかでもっともウェイトが大きい科目です。全体の約4割を占めています。以下の4分野から構成されています。
- 数的推理
- 判断推理
- 空間把握
- 資料解釈
数的推理
「数的推理」は、文章を読み方程式を作って解く算数的な要素が求められます。ほかにも場合の数、確率、図形などが出題されます。
判断推理
「判断推理」では言葉や数値から正解を判断する、以下の問題が出題されます。
- 命題、対応、順序、位置などの複数の条件のなかで確実であるものを判断する問題
- 複数の人の発言を参考に、嘘を言っている人を答える嘘つき問題
- 集合や数量推理などの数値をともなう問題
空間把握
「空間把握」は図形に関する以下の問題が出題されます。
- 長さや面積を求める問題
- 図形の形状や見え方、個数を求める問題
図形の見えていない部分を判断する問題では、実際に図形部分を切る、折るなどの作業が必要です。空間把握の解答には、数的処理のなかでもテクニックが求められます。
資料解釈
「資料解釈」は、さまざまな資料を読むことで正解を求める以下の問題が出題されます。
- 大小をくらべる
- 一定の値を超えるか超えないか
実数のほか指数、増加率など幅広い資料から出題されます。種類の異なるさまざまな種類に対応できるようにしておくのが重要です。
文章理解
文章理解は、数的処理の次に出題数の多い科目です。以下の3分野から出題されます。
- 現代文
- 英文
- 古文
現代文
「現代文」では、以下の問題が出題されます。
- 長文読解
- 空間補充
- 文章の整序
ひとつの問題あたりで読み込む文章は600~1200文字程度です。出題数が多いため、長文を2~3分で正確に読み込める力が必要になります。文章に慣れる、同じ問題を繰り返し解くなどの対策をしておきましょう。
英文
「英文」は、200~500語程度の読解問題を中心に出題されます。求められる単語のレベルは、大学入試初級~中級程度です。時間内に多くの英文を読み込むことが求められるため、文章全体の流れをつかみ、正解につながる場所を読み解けるようにしましょう。
英語が苦手な人の対策としては、短い英文の読み込みをこなして基礎を固めることです。その後徐々に長文問題に取り組んでいきましょう。
古文
県庁や市役所の試験の一部では、「古文」も出題されます。高校の古文レベルの150~200文字程度の読解問題です。基本的な古語、今昔異義語、助動詞の用法などをおさえておくことが対策になります。有名な古典作品を読み込んでおくのも有効です。
人文科学
人文科学は、以下の5分野から出題されます。
- 世界史
- 日本史
- 地理
- 思想
- 文学・芸術
世界史
「世界史」はセンター試験レベルの中学~高校で学んだ内容が出題されます。歴史の大きな流れや変化をつかんでおくことが重要です。歴史的に大きな変化となる事件や出来事については、発端となる原因や背景、各国の行った対策や行動、結果も理解しておくことが求められます。
日本史
「日本史」も中学~高校で学んだ内容から、以下の問題が出題されます。
- 各時代の事件や出来事の原因と結果
- 統治制度
- 社会制度
- 文化史
- 外交
政治や社会制度など、時代を横断したテーマが多く出題されます。世界史と同じく、日本の歴史の大きな流れや変化を把握しておきましょう。
地理
「地理」は出題範囲が広く、主に以下の内容が出題されます。
- 気候、地形などの自然地理
- 農業、工業、民族、宗教、貿易などの人文地理
- 各国や地域の地誌学
地理の名前通り、「地を理解する」ことが対策になります。ただ丸暗記をするのではなく、地理について理解を深めるようにしましょう。
思想
「思想」は、以下の内容を探求するための学問です。
- 世界の構成原理
- 人はどう生きるべきか
- 望ましい社会とは何か
- 望ましい世界を構築するには
公務員試験の出題傾向としては、思想家とその思想を表した言葉を一致させ、正解を求める問題が出題されます。思想を一から理解するのではなく、過去問を解くことで対策が可能です。
文学・芸術
「文学・芸術」は、以下の広い範囲から出題されます。
- 日本文学
- 外国文学
- 美術
- 芸術
- 音楽
- 能や歌舞伎など
著者や芸術家と、著作物や作品を組み合わせて正解を求める問題が中心です。過去問を繰り返し解くことが対策になります。高校で使用した文学史や芸術の教科書を併用する、世界史や日本史の学習と一緒に進めるなどの勉強方法も有効です。
自然科学
自然科学は、以下の5分野から出題されます。
- 数学
- 物理
- 化学
- 生物
- 地学
数学
「数学」は、中学~高校レベルの基礎的な問題が出題されます。一方、数学の出題を廃止した試験種や自治体も多いです。数学そのものを重点的に勉強するのではなく、数的処理や物理、経済などほかの分野や科目と重なる部分を勉強しておくことが対策になります。
物理
「物理」では計算問題から複合問題まで、中学~高校レベルの基礎的な問題が出題されます。各単元を理解しておくことと、公式の意味、使い方、つながりを理解しつつ覚えるのが対策として有効です。
化学
「化学」は中学理科を前提に、高校レベルの化学から出題されます。出題範囲は以下の3つです。
- 理論化学
- 無機化学
- 有機化学
有機化学を出題する試験種や自治体は少ないです。理論化学、無機化学を中心に勉強しておくと、確実な得点につながります。
生物
「生物」は中学理科を前提に、高校の生物全般から出題されます。傾向としては、細胞や動物(特に人体)に関する出題が多いです。一方、植物に関する出題は少なくなっています。知識の量が得点につながるため、暗記する勉強時間をしっかり確保して試験に臨みましょう。
地学
「地学」は中学レベルの出題が多い傾向にあります。特別区では2問、その他の試験種では1問または出題なしと、試験種によって出題数や有無が異なります。自分が受験する予定の試験種の出題要綱を確認し、地学の出題はどの程度かを確認しておきましょう。
社会科学
社会科学は、以下の4分野から出題されます。
- 法律
- 政治
- 経済
- 社会
法律
「法律」は以下の3つより出題されます。
- 憲法…人権と統治について判例と条文から出題
- 基礎法学…法律の分類や解釈など
- その他の法律…司法制度改革に関する出題
「憲法」からの出題数が多くなっています。また、その他の法律では今後の民法改正についてもおさえておくようにしましょう。
政治
「政治」では、以下の問題が出題されます。
- 各国の政治制度…議院内閣制と大統領制の違いについて
- 選挙制度…日本の選挙や投票制度について
- 国際政治…国連の組織や主要な国際条約について
時事問題からの出題も多いため、日々ニュースをチェックしておくことも対策になります。
経済
「経済」は、以下の問題が出題されます。
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 財政学
- 経済史
基本的には高校の経済分野からで、一部専門科目で出題される内容もあります。時事的な要素を問われる問題もあるため、経済ニュースをチェックしておくことも重要です。
社会
「社会」は、以下の問題が出題されます。
- 社会保障
- 労働問題
- 環境問題
- 消費者問題など
日本の政策課題としても重要である、社会保障と労働問題を中心に勉強しておきましょう。範囲が広い、制度改革も多い分野のため、ニュースなどで新しい情報を仕入れておくのも重要です。なお、社会分野の勉強は論文対策にも有効です。
時事問題
時事問題は、一般知識の一部として出題されます。また、2次試験の集団討論のテーマとしても取り上げられます。ニュースを中心にいろいろなメディアから情報を仕入れておきましょう。
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専門科目の詳細一覧
専門科目は、大卒程度国家公務員と都道府県、政令市のほとんど、一部の市役所の地方公務員試験で出題されます。専門科目には、以下3つの科目があります。
- 行政事務系
- 技術系
- 人間科学系
専門科目は、受験する区分によって定められた専門科目が出題される「必須型」と、解答する専門科目または問題を選べる「選択型(科目選択型または問題選択型)」があります。必須型、選択型いずれかになるかは受験区分や自治体によって異なります。
行政事務系
行政事務系区分では、以下の専門科目が出題されます。
- 憲法
- 民法
- 行政法
- 経済原論(ミクロ経済学)
- 経済政策(マクロ経済学)
- 財政学
- 経営学
- 会計学
- 統計学
- 政治学
- 行政学
- 社会学
- 国際関係論
- 労働法
- 刑法
- 商法
憲法
憲法は、以下の2分野から半々の割合で出題されます。
- 人権…最高裁判例から
- 統治(政治システム)…憲法の条文から
民法や行政法より分量は少ないです。過去問が繰り返し出題されているため、過去問演習をしっかり勉強しておきましょう。
民法
民法は以下2分野から出題されます。
- 財産法(総則・物権・債権)から8割程度
- 家族法(親族・相続)から2割程度
条文・判例からの出題が多く、条文が1044条あるため公務員試験のなかでも難関科目といえます。基本的な条文や判例を中心に勉強をしておきましょう。
行政法
行政法は、行政に関する法律全般より以下の3分野から出題されます。
- 組織法…行政法の概念・用語、1割程度
- 作用法…条文、4割程度
- 救済法…判例の出題、5割程度
理論的な側面が強いため、苦手とする人も多いでしょう。一方、過去問をリライトした問題が多く出題される傾向にあります。過去問をしっかりこなすのが対策として有効です。
経済原論(ミクロ経済学)
ミクロ経済学は主に以下の分野から出題されます。
- 生産者理論
- 消費者理論
- 市場理論
- 貿易論
基本的な知識を問うものや計算問題がほとんどです。
経済政策(マクロ経済学)
マクロ経済学は主に以下の分野から出題されます。
- 国民経済計算(統計)
- 財市場理論
- 貨幣市場理論
- 労働市場理論
- 経済成長論
ミクロ経済学と同じく、基本的な用語の理解と計算問題の繰り返しが対策として有効です。
財政学
財政学からは主に以下の問題が出題されます。
- 国家・地方の税財政制度の内容
- 時事データに関する基本的な知識
- 財政にまつわる諸学説
- 理論に関する問題
基本的な税・財政制度や時事データ、諸学説・理論を整理、理解することが対策になります。時代背景やデータの傾向をとらえて整理すると、スムーズな理解につながります。
経営学
経営学では主に以下の問題が出題されます。
- 経営管理学説
- 経営組織論
- 経営戦略論
学習範囲を浅く広く勉強するのが有効です。研究者名と内容との対応、経営用語の意義を覚えていきましょう。
会計学
会計学では、簿記3級レベルの知識が求められます。簿記の仕訳問題や計算問題のほか、過去問の出題も多くなっています。
統計学
統計学は、データ上から数字上の規則や不規則を見つけ出す学問です。数的処理の勉強と重複する部分も多くなっています。
政治学
政治学では主に以下の分野から出題されます。
- 各国の政治制度
- 政治思想
- 政治過程(選挙、政党、利益団体)
範囲が広く覚えるべき項目も多い一方、教養科目の歴史や思想の内容と重複する部分も多いのが特徴です。効率よく暗記を進めていくのが試験対策になります。
行政学
行政学は、国や地方の行政組織の実態や理論などから出題されます。行政に関する最近の動向や変化を、時事的な観点から出題することも多いです。時事問題と合わせて対策をしておきましょう。
社会学
社会学は主に以下の問題が出題されます。
- 社会学者の学説(社会学説史)
- 社会変動
- 社会集団、家族、都市などの分野ごとの学説
- 社会調査法
政治学、行政学、思想と重複する部分も多いため、合わせて勉強するのが有効です。
国際関係論
国際関係論では主に以下の問題が出題されます。
- 近代・現代における国際政治史
- 日本外交史
- 国際経済国際機構
- 条約
- 国際関係理論
- 地域紛争
範囲が広いですが、人文科学の知識に共通する点が多いです。国内ではなく国際関係の知識を、人文科学を前提として勉強するのが有効です。
労働法
労働法は主に以下の問題が出題されます。
- 個別的労働関係
- 集団的労働関係
判例や条文から、かつ個別的労働関係からの出題が多いです。アルバイトなどで働いた経験があれば、法令のイメージをつかみやすいでしょう。
刑法
刑法は以下のふたつから半々の割合で出題されます。
- 総論:犯罪の一般的成立要件
- 各論:殺人罪などの個別の犯罪類型
判例や条文から、または理論的な問題が出題されます。範囲が広いため、判例や条文を中心に過去問を使って対策をしておきましょう。
商法
商法は主に以下の3つより出題されます。
- 商法総則
- 会社法
- 手形小切手法
なかでも、会社法からの出題が多い傾向にあります。条文が多く難易度の高い科目です。頻出している分野にしぼって勉強をするとよいでしょう。
技術系
技術系の専門科目では、主に以下の各専門分野別の科目が出題されます。
- 土木
- 建築
- 機械
- 電気
人間科学系
人間科学系の専門科目では、主に以下の分野の科目から出題されます。
- 心理学
- 社会学
- 社会福祉
- 教育学
- 社会調査
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地方公務員試験の内容を把握して対策をしよう
とにかく科目数が多いので、「やっぱり無理!」と思った方、多くの科目を受験するのは、あなただけではないのです。全ての受験生が挑むのですから、いかに他の受験生より効率の良い対策を立てるかが、一番の合格のカギとなります。見たままに囚われず、落ち着いて対策を進めましょう。
筆記試験で共通しているのは、問題集を解くことが欠かせないということ。当ブログは自治体別に特化した公務員採用試験の問題集を扱っており、合格したというお声を多数聞いております。ぜひ受験勉強に取り入れて、合格目指してがんばりましょう。
また、「市役所を受けたい」、「面接対策をしたい」と考えている方には以下の記事がおすすめです。意外と皆さん、試験勉強に夢中になりすぎて、面接対策も意識していたつもりが、結局最後に慌てて準備する、ということがあります。試験でよく出る質問内容や回答例を解説していますので、最短で面接対策したい方は、ぜひご覧ください。