公務員の行政系専門科目は、暗記科目です。覚えればそれだけ得点源につながる科目といえます。でも、「なじみのないお堅い言葉が多いからとっつきにくい」「暗記は苦手」という声もよく聞きます。
暗記科目といっても、ただひたすらすべての科目を丸暗記するのは非効率です。限られた時間の中で効率よく勉強するために、科目の優先順位と勉強法を把握することが合格のカギになります。
今回は、公務員の行政系専門科目ごとの内容と優先順位、勉強をはじめるタイミング、おすすめの勉強法を解説します。効果的な勉強法を知って得意科目にしてしまいましょう。
公務員試験の行政系専門科目の内容と出題傾向
公務員試験の専門択一科目である行政系専門科目は、以下の5科目から構成されています。
- 行政学
- 政治学
- 社会学
- 国際関係
- 社会政策
それぞれの科目ごとの内容や出題傾向について解説します。
行政学
政府の仕組みや動き、組織、政策など行政組織の運営方法について学ぶのが行政学です。公務員試験の行政学は、以下の5つの分野から出題されます。
- 行政の組織
- 行政の管理
- 行政の活動と統制
- 地方の行政
- 行政学の理論
出題頻度は行政の管理と行政の活動と統制の出題頻度が少し高いだけで、すべての分野の出題頻度にそれほど差はありません。よって、すべての行政学の分野をまんべんなく勉強するのが重要です。
行政学の公務員試験での出題数と形式、難易度は以下の通りです。
受験区分 | 問題数 | 出題形式 | 難易度 |
国家総合職 | 5問(40問中) | 選択 | かなり難しい |
国家一般職 | 5問(40問中) | 選択 | 難しい |
特別区 | 5問(40問中) | 選択 | 普通 |
地方上級 | 2問(40問中) | 必須 | 普通 |
市役所 | 2問(40問中) | 必須 | 普通 |
政治学
政治学とは、政治の成り立ちや構造、適切な政治運営について学ぶ学問です。以下の7分野から構成されています。
- 政治学の基礎
- 政治制度
- 政治の動態
- 政治の意識と行動
- 政治の思想
- 政治の理論
- 政治の歴史
さらに公務員試験の政治学は、以下の範囲から出題されます。
- 政治学の基礎より「リーダーシップ」
- 政治制度より「政治制度」
- 政治の動態より「政党」
- 政治の動態より「マスコミ/世論」
- 政治の理論より「デモクラシーの理論」
政治学の公務員試験での出題数と形式は以下の通りです。
受験区分 | 問題数 | 出題形式 |
国家総合職 | 10問(40問中) | 必須 |
国家一般職 | 5問(40問中) | 選択 |
国家専門職 | 3問(40問中) | 選択 |
特別区 | 5問(40問中) | 選択 |
地方上級 | 2問(40問中) | 必須 |
市役所 | 2問(40問中) | 必須 |
社会学
学者や分野などの独自の論理的視点や研究から、幅広い社会的構造を明確にするのが社会学です。以下の7つの分野より構成されています。
- 社会集団
- 都市・階級・労働
- 逸脱・文化・マスコミュニケーション
- 社会構造と社会変動
- 心理・行為・相互行為
- 社会学士と現代社会
- 社会調査
公務員試験での全体的な難易度は低いものの、すべての分野から浅く広く出題される傾向にあります。特に出題頻度が高いのが以下の分野です。
- 社会集団より「集団」
- 社会集団より「家族」
- 社会構造と社会変動より「社会変動」
- 心理・行為・相互行為より「社会心理」
- 社会学史と現代社会より「社会学史」
社会学の公務員試験での出題数と形式は以下の通りです。
受験区分 | 問題数 | 出題形式 |
国家一般職 | 5問(40問中) | 選択 |
国家専門職 | 6問(40問中) | 選択 |
特別区 | 5問(40問中) | 選択 |
国際関係
国際関係は、幅広い分野から出題される傾向にあります。代表的な出題分野は以下の通りです。
- 近代・現代における国際政治史
- 近代・現代における日本外交史
- 国際経済
- 国際機構
- 条約
- 国際関係理論
- 地域紛争
科目としての難易度が行政系専門科目の中でもっとも高いため、専門科目の場合は特別な理由がなければ国際関係を選択する必要はないでしょう。
社会政策
貧困問題などの、社会的な問題の解決を目的とした学問が社会政策です。労働経済と社会保障のふたつの分野に分けられます。地方上級試験では3問必須で出題され、ほかの試験区分では選択科目となっています。
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<市役所採用試験 合格体験談>
北海道 Y・Oさん
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行政系専門科目の優先順位や勉強するタイミング、勉強法
行政系専門科目は暗記が必須となる科目がそろっている一方、すべての科目をまんべんなく勉強する必要はありません。優先順位をつけて必要な科目を重点的に勉強するのが、公務員試験突破に有効です。行政系専門科目の国家試験対策の優先順位や勉強するタイミング、勉強法について解説します。
政治学、行政学、その他の順序で勉強する
行政系専門科目で重要視する科目の優先順位は以下の通りです。
- 政治学
- 行政学
- その他
公務員試験で対策が必要な科目は、自分が志望する公務員試験の区分によって異なります。ただし、第一志望のみではなくほかの区分も併願する人も多いでしょう。行政系専門科目のなかでは、政治学と行政学が併願しやすい科目です。ほとんどの公務員試験の職種で出題されます。
勉強する順序は、政治学を最初とするのがおすすめです。政治学は行政学や社会学と重複する部分が多いため、最初に勉強しておくことで後の科目の理解度が深まります。行政学も政治学と同じ主要科目となるため、政治学を勉強した後に優先して勉強しましょう。
社会学、国際関係、社会政策の3つは主要科目ではなく、公務員試験で出題される問題数も少ないです。自分が志望する公務員試験の区分に含まれている科目については勉強する必要がありますが、まずは政治学と行政学を重点的に対策しておきましょう。
法律系、経済系のあとに行政系の科目を勉強する
公務員試験では、行政系以外の専門科目の対策も必要です。ほかの専門科目との兼ね合いを考えた行政系専門科目を勉強する最適なタイミングは、法律系、経済系専門科目の次です。
法律系専門科目と経済系専門科目を行政系専門科目より優先させる理由は以下の通りです。
- 併願先で重なる科目が多い
- 効率よく勉強できる科目が多い
法律系と経済系専門科目は、幅広い公務員の職種で採用されています。併願先で科目が重なることが多いため、併願しやすく優先順位は高くなります。さらに、法律系と経済系専門科目は、短時間で効率よく勉強できる科目も多いです。
法律系や経済系専門科目は得点源となる科目のため、しっかりと勉強したあとが、行政系専門科目を勉強するのに適したタイミングといえるでしょう。
キーワードの暗記と過去問を併用する
行政系専門科目の主要科目である政治学と行政学、さらに職種によって必須となる社会学は、いずれも暗記中心の科目です。3つの科目に共通する有効な勉強方法が、キーワードの暗記と過去問の併用です。
まずテキストや参考書をしっかりと読み込んで、暗記するキーワードを把握します。テキストや参考書の解説から先に読んでしまって問題ありません。キーワードを暗記したら、過去問を繰り返し解いていきます。過去問では、正しい選択肢を選ぶ、間違った選択肢も活用して正しいキーワードを書き込んでいく方法が有効です。
政治学は頻出を意識しながら過去問を繰り返し解く
政治学は政治に関する広い範囲からまんべんなく出題されるため、暗記が必要な項目の量も多いです。一方、行政系以外の専門科目や教養科目のなかでも重複する部分が多く、ほかの科目での学習や得点源としても役立つでしょう。
政治学の勉強方法として有効なのが、暗記を定着させるために過去問を繰り返し解くことです。すべての範囲からまんべんなく出題されますが、出題される傾向はあります。自分の志望する職種や受験区分の過去の出題傾向を把握し、出題傾向の高い問題を意識しながら過去問を解くようにしましょう。
行政学は時事対策も忘れずに押さえる
行政学では、行政組織の実態や理論に関して幅広い分野から出題されます。政治学よりは暗記するキーワードなどは少なくなるものの、暗記中心であることは変わりません。
基礎問題や重要度の高い問題を中心に、過去問を繰り返し解いて理解を深めておきましょう。過去問の選択問題を活用し、間違った選択肢がなぜ間違いなのかを説明できるようになるのが理想です。
また行政学は行政の最新動向など時事的な問題も多く出題されます。過去問だけでなく、時事問題の対策も必要です。時事問題専門の参考書や問題集を活用し、行政学の得点に結び付けましょう。
社会学は頻出分野から勉強する
社会学は学者名や学説など暗記するキーワードが多い科目です。ただし、政治学や行政学、ほかの専門科目である思想と重複する部分が多い特徴もあります。選択で社会学を選ぶ場合は政治学や行政学を先に勉強しておき、学説の意味や理由を理解しながらキーワードを暗記しましょう。
社会学の勉強でも、過去問を繰り返し解くのが有効です。ほかの科目と異なり、社会学は頻出分野がある程度しぼられています。まずは過去の傾向から頻出分野を把握し、頻出分野を中心に勉強しましょう。
国際関係はほかの科目との兼ね合いを考えて勉強する
国際関係は範囲が広く、地理や歴史の理解と時事問題対策も必要となるため、科目としての難易度が高くなります。選択問題の場合は、国際関係ではなくほかの科目を選んだほうが効率よく勉強できるでしょう。
全問必須となる地方上級全国型を受験する場合にも、政治学や行政学、ほかの主要専門科目の方が優先度は高くなります。ほかの科目との兼ね合いを考えて勉強を進めましょう。勉強方法としては、人文科学の知識をもとに国際社会の仕組みを理解するのが有効です。
社会政策はほかの科目のあとに勉強する
社会政策も社会学や国際関係と同じ選択科目です。必須の地方上級でも出題数は3問のみとなっています。以下の科目と共通点が多いため、ほかの科目を勉強したあとに勉強するのがよいでしょう。
- 社会学
- 財政学
- 労働法
- 経営学
- 政治学
労働政策や社会保障を中心に過去問を繰り返し解いて対策をしましょう。
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公務員の行政系専門科目は優先順位が重要
行政系専門科目は暗記中心かつ範囲の広い科目なので、政治学、行政学の必須科目をまず優先的に勉強し、ほかの科目との兼ね合いを考えて選択科目対策をしましょう。暗記科目といっても、いきなり暗記するのではなく、テキストや参考書をしっかりと読み込んで、暗記するキーワードを把握し、過去問を繰り返し解いていく方法が良いでしょう。