県庁職員採用試験の二次試験では、ほとんどの場合、面接試験が行われます。特に社会人経験枠では、筆記よりも面接が重視されるため、面接が合否を決めると言っても過言ではありません。
面接対策で重要なのは、県庁職員に求められている人材がどのようなものなのかをきちんと掴むことです。これができれば、おのずと答えが導き出されます。
今回は、県庁職員採用の面接試験における想定質問や、面接が行われる意図について解説します。
面接試験はなぜ行われる?
採用面接で最も大事なのは、面接官に「この人を採用したい」と思わせることです。そのためには、面接官のニーズをつかむことが大事です。そのために、なぜ採用試験が行われているのかということからひも解いてみましょう。
県庁が欲しいと思う人材か
面接官はあなたが働く未来の姿を想像し、職員として活躍してくれそうかどうか、質問を通じて見極めています。さらに県庁職員に向いているかどうかなどの適性も測っています。そのため、ただ公務員になりたいという一方的な熱意を語った答えだと、適性などを測ることはできません。
自分には職務適性があり、県庁職員として活躍できるという部分をアピールできるような答えを返す必要があります。
行動特性を測るため
県庁職員に限らず、公務員の面接はコンピテンシー評価型という手法が取られています。これは質問に対する答えそのものが重要なのではなく、繰り返し質問することによって、答えに至った行動やその人の考えについて探るという手法です。
例えば「高校時代、部活は何をやっていたのか?」という質問に対し、「サッカー部」と答えたとします。答えに対して採点する際、スポーツだと点数が高くて違うジャンルだと低くなるわけではありません。
さらに「どんな役割を担いましたか?」と聞かれ、「キャプテンを務めました」と答えると、次は「キャプテンの経験で苦労したことは何か?」「その苦労はなぜ起きたのか?」など、深く聞き続けることによってその人の行動特性を探るのです。
そのため、「どんな役割を担いましたか?」に対して「特にありません」「苦労したことは?」に対して「苦労はありません」など、話が広がらないような答えだと行動特性の測りようがないため、答え方に注意が必要です。
面接カードの活用
面接官が質問しやすいよう、参考資料として自己紹介などをまとめた面接カードを事前に書くケースがあります。志望動機やこれまでの経験、入庁後にやってみたい仕事などを回答します。
ここでも話が広がらないような回答をしてしまったり、あまりよく知らないことを書いてさらに深追いされ墓穴を掘ってしまったりすると、マイナスの評価につながります。面接カードに書いたことはどんどん深掘りされていく、ということを意識して回答しましょう。
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面接における質問の意図
ここまで面接が行われる理由について説明しましたが、次に面接で出される質問に隠された意図についてご説明します。
公務員としての素質を見抜くため
面接カードなどを元に、まず「どのようなアルバイトを行ったのか」「学生時代、特に力を入れたことは何か」という質問が行われ、そこからさらに深掘りするような質問が続いていきます。
そこから「なぜそのアルバイトを行ったのか」「経験を通じてどのようなことを得たのか」「その経験を県庁の仕事ではどのように生かそうと考えているか」などといった質問が続きます。
これにより、あなたの性格が測られていくことになります。また、あなたの長所と短所、苦手な人との付き合い方、上司と意見が対立した場合のふるまいなど、公務員としての素質を見抜く質問も投げかけられます。
ただ、ここで誤解しがちなのが、「リーダーシップがあると印象付けるように答えなければならない」と思ってしまうことです。性格や人柄はそれぞれ違っており、他の人を引っ張っていくリーダータイプもいれば、他の人をサポートするのが向いている人、地道にコツコツ作業を遂行していく人とさまざまです。
どのタイプが良いというわけではなく、どのタイプか見抜くために、さまざまな角度から質問を投げかけているのです。
採用したい人材かどうか見極めるため
また、採用したい人材かどうかを測るために質問をしていますが、逆算すると、どのような人材を求めているのかイメージできれば、良い答えが出せるということになります。
例えば、求める人物像は「県の行政を滞りなく進めるため、社会事情や社会問題を正確に把握し、問題の解決に向けて積極的に行動でき、周りの職員と円滑にコミュニケーションを取って仕事を遂行する人」ということになります。
ただし、自分は求められている人材だとアピールするため、思ってもいないような完璧な答えを用意しても、別の質問で整合性が取れず、ボロが出てしまうと元も子もありません。あくまでも、自分が本当に思っていることをまとめておくことが重要です。
熱意を測るため
公務員志望の方は、県庁職員のみならず、さまざまな自治体の試験にかけ持ちで受験に挑戦するケースがあります。採用側からすると、「うちの県庁に受かっても、本当に来てくれるのか?」と思ってしまいます。
そのため、県が抱える問題を把握しているか、県が観光や産業で力を入れていることは何かなど、県に特化した質問をすることで、本当に志望しているのかということを図っています。県に興味がなければ、仕事に対する熱意も変わってきますので、「この人は入庁してからまじめに仕事をするのかどうか」という尺度にも使われます。
条件を確認するため
面接は、面接官が受験者を採点する場だけではなく、受験者が抱く疑問を解消する場でもあります。平均的な残業時間や土日・祝日の出勤状況、異動の条件など、受験生側が職場に求める勤務条件に対して、採用側が提示する勤務条件と合っているのかが確認できます。
面接官が説明する内容に対して了承すれば問題ありませんが、もし不安に思った部分があれば確認してみましょう。条件が合わず採用してから雇用のミスマッチが発生すれば、お互いに不幸な結果となってしまう可能性があり、それを防ぐために受験者の疑問を解消しているのです。
ネガティブ要素を明らかにするため
採用試験の目的は採用者を決めることですので、合格者を決める一方、不合格者を決めるという意味合いもあります。そのため、面接カードの中でネガティブな要素があった場合、「なぜ留年したのか」、社会人経験枠の場合は「なぜこんなに何度も転職しているのか」といった、やや意地悪な質問をされることがあります。
もし、ネガティブな要素があるようでしたら、やむを得なかった事情やプラスに変えるような答えを考えておきましょう。
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3分間スピーチで差をつけるテクニック
県庁の面接試験では、「3分間スピーチ」として、面接試験の冒頭部分で自己アピールをする機会がある場合があります。冒頭で一気に印象を与えて、ライバルに差をつける大きなチャンスの場ですので、以下のポイントを押さえて対策しましょう。
プレゼンすべき3つの要素
時間内でプレゼンテーションを行うには、話すべき要素を絞ることが大事です。①志望動機②自身の強み③挑戦したい仕事、以上3点を軸として回答を考えましょう。
時間配分に注意
3分1人で話し続けるのは、そんなに話せるかなと思いがちですが、いざ話し始めると、とても短いことに気づく方が多いでしょう。
3分間スピーチの場合、900字以内に収めることを心がけましょう。1分で300字読むのが相手が聞き取りやすい量で、アナウンサー界でも意識されているようです。
面接官を飽きさせないコツ
3分間ダラダラと似たようなことを話したり、複雑な言い回しを続けていると、面接官は続きを聴く気力が消えていきます。
そのため例えば「志望動機、強み、挑戦したい仕事の3点についてお話しします。まず1つ目、志望動機について…以上です。次に私の強みについて…。最後に、今までの2点を踏まえて私がこれから挑戦したいこと…」というように、いくつ、なんの話をするのか、先に伝えましょう。
こうすることで、あなた自身も、今どこを話してるのか、次は何を話せばいいのかを思い出しやすく、緊張したとしても話しやすくなります。
面接でよく出る質問例4選
では、面接試験で投げかけられる質問について、カテゴリ別に具体的な事例を見ていきましょう。
これまでの経験に関する質問
「学生時代に最も力を入れたことは?」という質問に対しては、サークルや大学の研究、アルバイトなどの回答例が挙げられます。ここでは前述のとおり何に力を入れたかが重要ではなく、なぜそれに力を入れたのか、それによってどのような経験を得たのかなど、深掘りする質問が続きます。
明らかに作ったような回答ではなく、自分の言葉で実際に経験したことに基づいた回答に練ることが重要です。
「挫折した経験はあるか?」という質問に対しては、具体的に自分がどのような経験をして、どのように克服してきたかを率直に語りましょう。その際、自分の力だけで解決することも大事ですが、コミュニケーション能力を示すため、どのように周りの協力を得て対応したのか説明することも大事です。
「リーダーを担った経験はあるか?集団での役割は?」という質問では、ゼミ長やサークルのリーダーなどの経験を語りましょう。もし、ある組織でリーダーを担った経験がない場合は、リーダーをどのようにサポートしてきたか、組織の中でどのような役割を担い貢献したかを説明しましょう。
民間企業等経験枠での質問
社会人経験枠ならではの質問として「これまでの業務の中で工夫・意識したことは?」ということがよく聞かれます。行政でも効率化が求められており、民間企業ならではの経験を生かすことが期待されています。
志望理由や意欲を図る質問
「市役所ではなく、県庁を志望する理由は?」という質問に対し、同じ自治体であっても、意外と県と市での管轄の違いが理解できていない答えを返すことがあります。このような質問によって、志望度が高いかどうか測ることがあります。
住民の役に立ちたいといっても、「それなら市役所職員のほうが良いのでは?」と言い返されてしまいますので、県が担う仕事を正確に把握しておきましょう。
パーソナリティーに関する質問
「嫌いな人とはどのように接するか?」という質問は、一見、仕事と関係がないように見えます。社会に出ると、相性の良い人ばかりと仕事するわけではありませんし、組織の上に立つポジションになれば、嫌いな部下とも円滑に業務を遂行しなければなりません。
そこで「嫌いな人を避けてきました」というスタンスでは、課題を解決しようとしない人と判断されてしまいます。だからといって「嫌いな人はいません」というのも、正直に答えていない印象を与える可能性があります。逃げずに応対し、どのように接していくのかについて説明しましょう。
「短所をどのようにカバーしているか?」は、短所というマイナス面に焦点を当てた質問です。人間誰しも短所がありますが、それを克服するための努力を行っているのか、また、自分を客観的に評価できているのかという視点で質問されます。
「ストレスを抱えるタイプか?ストレスの発散方法は?」という質問もあります。行政はストレスを抱える仕事が多いため、ストレスを溜め込みやすいタイプなのか、また、ストレスに対する耐性があるのか、公務員の特性を見るために質問されます。
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質問の意図を理解して答えよう
面接では何を聞かれるのかわからず、うまく話そうとして焦ってしまいがちです。しかし、あらかじめ想定される質問やその目的を押さえておくことで、焦りを減らすことはできます。今回の記事を参考に、面接試験に向けた対策をしっかりと立ててください。