町役場と市役所、仕事内容を徹底比較!どちらが向いているかを確認しよう

町役場と市役所向いているのはどっち?

↓ 本記事の内容をざっくり4分で解説しています ↓

地方自治体の職員として住民にサービスを提供する町村役場職員と市役所職員の仕事に、違いがあるのかどうか気になる人は多いのではないでしょうか。今回は、町村役場と市役所職員の仕事内容の共通点と相違点をご紹介するとともに、収入の面での違いも解説します。

地方自治体の職員として住民にサービスを提供する職業の代表的なものが、町村役場や市役所の職員です。地方公務員を志す人のなかには、町村役場職員と市役所職員の仕事の共通点や違いはなにか、気になる人も多いでしょう。

そこで今回は、町村役場、市役所職員の基本的な仕事内容と、両者の仕事上の相違点、収入面の違いをご紹介します。

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町村役場・市役所の仕事内容とは

町村役場と市役所の職員の仕事は、自治体の住人が生活するための基本的なサービスを提供するという点では、基本的に変わりません。職種は事務系と技術系に大きく分かれており、それぞれ次のような業務を担当しています。

所属主な仕事内容
事務系・役所
・役場の窓口業務
・住民票や戸籍に関する業務
・公共施設の管理、運営
・公園や緑地の管理
・一般廃棄物処理やリサイクルに関する業務
・子育て支援
・地域包括ケアシステムの構築 など
技術系・市町村管轄の道路や公園、各種設備の維持管理
・市町村が保有する建築物の設計
・住民が建てる住宅の建築確認申請審査 など

また、町村役場や市役所では、職員が複数の部局や課などに分かれて、それぞれの担当業務を行います。代表的な課と担当する業務内容の一部を、以下にまとめました。※自治体によって名称や担当する業務内容は異なることがあります。

所属主な仕事内容
総務課・職員の人事、給与、福利厚生などに関する業務
・条例、規則など法務事務全般
・公文書の収受
・発送
・男女共同参画に関する業務
・交通安全・防犯に関する業務 など
企画政策課・自治体の予算編成、財政計画、経理などに関する業務
・公共施設の維持管理に関する業務
・施策の計画・調整・推進
・自治体の広報、統計に関する業務
・自治会活動に関する業務 など
税務課・住民税の賦課
・徴収などに関する業務
・課税台帳、土地台帳、家屋台帳などの整備保管
・固定資産の調査、評価に関する業務
・税務証明に関する業務 など
住民福祉課・戸籍、住民票、住民基本台帳などに関する業務
・児童福祉、青少年、女性に関する業務
・生活保護に関する業務
・高齢者福祉に関する業務
・国民健康保険、介護保険に関する業務
・国民年金に関する業務 など
建設課・土木行政の企画、総合調整
・道路、河川、橋梁などの維持管理、整備
・建築工事に関する業務
・上下水道工事に関する業務
・公営住宅に関する業務 など
ここまでのポイントまとめ①
住民の基本的サービス提供を担当し、事務系と技術系に大別される。
職員は複数の課に分かれ、総務、企画政策、税務、住民福祉など。
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町村役場職員と市役所職員の仕事の違い

町村役場と市役所に違いはあるの?

町村役場職員と市役所職員の業務内容は、基本的には同じです。しかし、自治体の規模が異なることから、次のような点で違いが見られます。

  • 職員数、役職の種類・数
  • 1人が担当する業務の範囲
  • 地域住民との距離感

それぞれ詳しく解説します。

職員数や役職の種類・数

町村役場と市役所では、職員数や役職の数が異なります。市役所は町村役場と比べて職員数と役職数が多く、組織が複雑なのが一般的です。例として、東京都奥多摩町と、隣接する自治体である東京都あきる野市の、事務系職員の役職と数を見てみましょう。

奥多摩町の役職および職員数は次の表のとおりです。

役職人数
課長10人
主幹1人
係長25人
課長補佐11人
主任25人
業務主任2人
主事25人
業務主事3人

あきる野市の役職および職員数は次のとおりです。

役職人数役職人数
部長8人監査委員事務局長1人
担当部長2人図書館長1人
会計管理者1人主査40人
議会事務局長1人係長67人
課長32人課長補佐12人
室長2人選挙管理委員会事務局次長1人
所長2人監査委員事務局次長1人
担当課長3人一般事務149人
議会事務局次長1人主任115人
選挙管理委員会事務局長1人  

比較すると、人数も役職数もまったく規模が違うことが分かります。

1人が担当する業務の範囲

職員数の違いは、職員1人あたりの業務の種類や量の差となって現れます。自治体によって異なりますが、職員数が少ない町村役場では、1人の職員が複数の業務を担当するケースも珍しくありません。

また、町役場や村役場は市役所と比べて予算規模も小さい傾向にあります。そのため、市役所では外注するような業務を職員が担当することがあるようです。1人が担当する業務の範囲は多くの場合、町村役場のほうが広いと考えておきましょう。

上長の決済の下りやすさ

市役所は町村役場と比べて一般的に役職の数が多く、必要な役職者全員に決済文書を回覧し承認をもらうのにも時間がかかります。また、たくさんの人の目を通すために指摘を受けやすく、決済が下りるまでのハードルは自然と高くなるでしょう。

そのため、同じような案件であっても、役職が少ない町村役場のほうが、スムーズに決済が下りやすいといえます。

地域住民との距離感

自治体に住む人の数が少ないことや面積が小さい自治体が多いことなどから、町村役場のほうが地域住民との距離感が近い傾向にあります。業務外で地域住民と顔を会わせることや、顔見知りになることがよくあるようです。

一方市役所の場合は、住民数も職員数も多いことから利用者と庁舎外で行き合うようなことは、頻繁にはないと考えてよいでしょう。

ここまでのポイントまとめ②
自治体規模の違いにより職員数や役職の種類・数に差がある。
1人が担当する業務範囲が広く、上長の決裁もスムーズな傾向。
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町村役場職員と市役所職員の給料の違い

3段に積まれている小銭から鮮やかな植物が生えている

町村役場と市役所の職員は、収入の面でも違いがあります。地方公務員給与実態調査による町村職員、市職員のデータをもとに、「給料・給与」「ボーナス・年収」「初任給」「退職金」の4つの観点から、町村役場職員と市役所職員の収入を比較してみましょう。

平均給料・平均給与の差

総務省が公表している「令和2年4月1日地方公務員給与実態調査結果」によると、一般行政職の町村職員と市職員の平均給料月額、平均給与月額は、それぞれ次のとおりです。

役職平均給料月額平均給与月額
町村職員30万2,270円35万876円
市職員31万6,209円39万2,985円

平均基本給月額の計算式は下記のとおりです。

平均基本給月額 = 平均給料月額 + 諸手当月額

いずれも、市職員のほうが高い結果です。また、平均給料月額の差は約1万4,000円なのに対して、平均給与月額の差は約4万2,000円に広がっていることから、市職員のほうが諸手当の額が多いことが分かります。

手当の額を比較すると、市職員のほうが大幅に金額が大きいのが、地域手当と時間外手当です。地域手当は、勤務地の物価や民間企業の賃金水準などにより決まるため、都市部で働くことの多い市職員のほうが、平均額が高いと考えられます。また、時間外手当の差からは、勤務時間の長さに差があることが伺えます。

ボーナス・年収の差

続いて、地方公務員のボーナスにあたる期末手当、勤勉手当の平均額と、給与平均額と期末手当、勤勉手当の平均額から推計した平均年収を比較してみましょう。

同調査によると、一般行政職の町村職員と市職員の期末手当、勤勉手当の合計額の平均と、平均年収の推計額は次のとおりです。

役職期末手当+勤勉手当平均年収
町村職員146万9,517円約568万円
市職員159万7,601円約631万円

平均年収は下記の表で算出した推計値です。

平均年収 = 平均給与額 × 12か月 + (期末手当 + 勤勉手当)

それぞれの金額を比較すると、期末手当+勤勉手当の平均額は約12万円、年収では約60万円以上、市職員のほうが高い計算です。収入を重視するならば、市役所職員のほうがメリットが大きいといえます。

期末手当・勤勉手当、2つの合計平均額

初任給の差

一般行政職の市職員と町村職員の、試験採用者の初任給平均額は、学歴ごとに次のとおりです。

役職大卒短大卒高卒
町村職員18万2,314円16万3,554円15万1,460円
市職員18万4,539円16万5,284円15万2,868円

いずれも、学歴によって初任給には大きな差があります。同じ学歴の場合、町村職員と市職員の初任給平均額に顕著な差は見られません。

初任給に大きな違いがあるのは学歴

退職金の差

一般行政職の市職員と町村職員の、退職事由ごとの退職金の平均額は次のとおりです。

 自己都合退職定年退職(勤続11~25年未満)定年退職(勤続25年以上)
町村職員501万5,000円1,098万5,000円2,107万3,000円
市職員715万6,000円1,165万4,000円2,225万円

いずれの退職事由でも、市職員の平均額のほうが高い結果です。とくに自己都合退職では200万円以上も差がついています。

町村役場の福利厚生の内容に関しては、当ブログの「町村役場の福利厚生の内容は?休日や手当など働きやすさを調査」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

ここまでのポイントまとめ③
給料・給与、ボーナス・年収、退職金のいずれも市職員のほうが高い。
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町村役場と市役所は組織の規模や給与面に違いがある

町村役場職員と市役所職員の仕事は、住民に基本的なサービスを提供し、住み良い地域を作るという点では同じです。しかし、自治体の規模の違いから、町村役場と市役所の職員数や組織の規模が大きく違います。また、組織の規模が違うことにより、仕事の上でも個人の業務範囲や上長からの決済の下りやすさといった違いが見受けられます。

また、収入面では、市役所職員のほうが月額給与や年収、退職金の平均額が高いというデータがあります。町村役場と市役所の職員の仕事や待遇の違いをよく比較して、自分にはどちらのほうが合っているかを検討しましょう。


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