2024年4月から、公務員試験においてBEST(Business Executive Skills Test)と呼ばれる試験が、新たに設けられることが、日本人事試験研究センターより発表されました。
「今までずっと勉強してきたのに、傾向が変わるなんてショック!」と焦りを覚えたり、「勉強不要って言っても、本当かな」と不安を感じる受験生の皆さんのお声が、少しずつ増えてきました。
BESTがどんな傾向なのか、分からないとは言っていられません。試験の日は着々と近づいてきます。今回は、まだ情報の少ないBESTについて、出題例や4つの対策ポイント、試験内容をいち早く徹底解説します。記事の後半には、今年度BESTを実施する見込みの自治体対策に合わせた予想問題集を紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
BESTは本当に勉強不要?
公務員試験ニュースの記事によると、以下の試験区分でBESTが実施されることが推測されています。
- 岡山県―大卒程度(環境、衛生、農業、土木、農業土木、畜産、林業、建築、電気)
- 岡山県―社会人経験者等対象
- 徳島県―大学卒業程度(建設、綜合土木、林業)
- 徳島県―民間企業等職務経験者
- 徳島県―就職氷河期世代
※2024年2月末時点の例
日本人事試験研究センターによると、BESTは特別な勉強を必要としない試験とされています。あまりに美味しすぎるワードに、本当に勉強が不要なのか疑ってしまいますよね。ここでは、そもそもなぜBESTが新設されたのか、背景と共に、勉強不要かどうか検証していきます。
BESTの導入の背景
近年、企業は採用がどんどん早期化され、6月までに内々定を出すところも出てきています。公務員試験は早くて4月から行われる職種や自治体もありますが、企業の採用早期化によって、優秀な人材が企業に流れている懸念があります。
また、公務員採用試験最大の壁は、筆記試験です。その難易度の高さや膨大な試験範囲から、対策する時間が取れないなどで、企業に流れる人が増えており、実際受験者は減少傾向にあります。
それを食い止めるために、SPIやSCOAなど、民間企業で使われている試験を公務員採用試験でも導入されました。また、社会人経験者が転職しやすいよう試験区分も新たに設けられました。
しかし社会人基礎試験とLightタイプの試験が令和5年度に廃止となり、更に試験の準備負担を減らし、人物重視で、より能力のある人材を採用するためにBESTが新設されました。
難易度、形式はLightタイプに近い
BESTの難易度は、従来のLightタイプに近いことが分かっています。Lightタイプは、Standard、Logicalに続いて易しい試験となっており、問題数60問で解答時間は75分、形式は四肢択一式となっています。また、出題内容は「社会への関心と理解(24問)」「言語的な能力(18問)」「論理的な思考力(18問)」の3分野です。
BESTの場合、詳細は後半で説明しますが、問題数60問、解答時間60分、四肢択一式と、Lightタイプをベースとした形式となっており、「論理的な思考力」「言語的な能力」「資料分析力」「 国内外の社会情勢への理解等」を見られます。
勉強しないのは危険
Lightタイプをベースとして、更に易しくなるのであれば、確かに対策の必要は無いようにも思えます。しかし、筆記試験は1点が合否を左右する世界です。難易度が下がったのであれば、それだけ周りもみんな、高得点を取りやすくなるため、競争率はおのずと高くなります。
また、BESTは年間通して複数回実施できます。例えば1回目は受験しなかったけど、民間をやめて公務員を考え始めた人など、より幅広く・取りこぼしなく受験生を募る可能性があり、そうすると倍率が高くなります。
従来の教養試験に近い難易度のものであれば、虫食いで対策するだけでも点差は埋めやすいです。一方でBESTのように出題範囲が狭まり、難易度が下がるということは、対策をしたか・していないかで点差は大きくなります。逆に対策をしっかりすれば、効果的に点数アップできるのがBESTの魅力と言えるでしょう。
勉強せずに受験に挑むのは危険と言えます。1点でも多く点数を取って、簡単だからこそ確実に合格を掴めるよう、油断せず対策しましょう。
BESTの出題例
実際BESTでは、どのような出題がなされるのでしょうか。以下の出題例を見てみましょう。
最短で志望自治体合格を目指すには、BESTならではの傾向・難易度に特化した問題集に取り組むことが一番です。自治体別に出題傾向を徹底分析して作成している「合格レベル問題集」なら、「似た問題」ではなく、上記のように「BESTの予想問題」を対策できます。
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BESTの試験内容
正確には「職務基礎力試験(BEST)」と呼ばれるこの試験は、以下の特徴が挙げられます。
- 出題数は多く、解答時間はLightタイプより短い
- 問題文が短く、基礎的な内容が出題されるため受験のハードルが低い
- 性格検査とセットになることが多い
また、①職務能力試験(BEST-A)、②職務適応性検査(BEST-P)の2種類の試験に分かれています。それぞれ詳しく見ていきましょう。
①職務能力試験(BEST-A)
問題数は60問、試験時間は60分なので、1問1分以内に解いてギリギリとなります。
出題分野は、以下の5分野です。分野ごとの出題数は公表されていませんが、まんべんなく対策をしましょう。
分野 | 問題の特徴・例 |
地方行政への関心と理解 | 法律の正誤を問う問題 正しい項目の組合せ 法文の空欄補充 |
文章を正確に理解し、事務を円滑に遂行する能力 | 漢字の読み方 接続詞の使い方 与えられた文章の正しい要旨選び 英文の内容把握 |
論理的に思考し、判断する能力 | 判断推理、数的推理がベース (従来の教養試験より試行の数が少なく解きやすい) |
現状や統計等の資料を分析し、課題を発見する能力 | 資料解釈 |
国内外の社会情勢への理解と新たな課題に対応するための基礎知識 | 時事問題 社会情勢が主だが、内容によっては理科の分野が問われることも |
どの問題も、問題文は2~3行と短いです。
日本人事試験研究センターがBESTの例題を公表していますので、参考にしてください。
②職務適応性検査(BEST-P)
職務適応性検査は、これまでの社会人基礎試験の職務適応性検査を改訂し、開発したものだと発表されています。こちらは「部活や習い事を我慢強く続けられる方だ」などの性格に関する質問150項目を20分で答えていく形式です。1問にじっくり時間をかけている余裕はありませんので、質問を見た瞬間、直感で答えていく必要があります。
スピードが求められますが、対策の必要はありません。自治体別問題集には、性格診断ができる上に願書・面接対策ができるワークもセットで付いてきますので、そちらを活用すればBESTを網羅的に対策できます。
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BESTの対策4つのポイント
BESTタイプを攻略し、先ほど紹介した問題集で傾向は掴めるとしても、勉強法を間違えると効率が悪くなってしまいます。問題集を最大限活用して、公務員試験の合格を勝ち取るポイントは次の4つです。
合格ライン7~8割を目指そう
BESTを実施する狙いの一つは、より人物重視の試験にして、面接などを通して、優秀な人材を確保することです。しかし、まず一次試験に受からないことには元も子もありません。そのためBESTの対策は必須です。
一般的に公務員試験の筆記試験は、合格ライン6割程度と言われています。しかしBESTの場合、難易度が低く設定されており、平均点を高く設定されていますので、6割程度では合格は厳しいでしょう。
そのため、7~8割を目標として対策を行いましょう。問題文が短いこともあって、難問は無いと言って良いでしょう。その分確実に点数を取れるよう、数をこなすことが重要です。
公務員試験の受験生悩みあるあるの1つは「市販の問題集は問題量をこなすしかなく、何冊取り組めばいいか終わりが見えない」「全国版だから志望自治体の対策ができず時間がかかる」ことです。自治体別問題集なら、12回分の模試のみ、繰り返し解くことで傾向を掴めますし、試験本番のような対策ができます。
短い制限時間に慣れる
BESTは勉強不要、簡単だと思いそうになりますが、60問を60分で解くとなると、油断はできません。1問にちょっと悩む時間を持ってしまうと、一気に時間が押してしまい、後半慌てて解答して、ミスに繋がる恐れがあります。そのため1問当たり30秒~1分以内に解き進める必要があります。
まずは予想問題集で時間を計って、何問目まで解けるか実力をチェックして、自分の状況を俯瞰することが、合格の近道です。繰り返し問題を解いて、体に1分という時間の感覚を叩き込みましょう。
「解答する時間が足りない!」と時間配分が苦手な方はこちら『公務員試験の「時間が足りない」問題の解決法は?ミス予防の3つのコツ』も併せて参考にしてください。
10秒悩んで分からなければ飛ばす
もし問題を読んで10秒程度経っても、「ちょっと時間取って考えたいな」と思ったら、迷わず問題番号に〇など印を付けて、飛ばして次の問題に行きましょう。
受験生の失敗あるあるとして「後半で解ける問題があったはずなのに、前半に時間を使いすぎて問題文すら読めなかった」というのがあります。悩む時間は命取りになるので、最後まで通ってから、印を付けた問題に戻って、効率よく解きましょう。
人物試験対策をしっかり行う
自治体側は、筆記試験を準備する負担が減るため、その分人物試験でいかに良い人材を発掘するか、その準備を重視するところが増えてくることが予想されます。そのため、面接や小論文、集団討論など、あなた自身の事を問われる試験の対策をしっかり行いましょう。
当ブログで扱っている問題集は筆記試験のみならず、人物試験も徹底カバーしておりますので、ぜひご活用ください。
特に技術職を目指している方、社会経験がある方は、ならではの強みがあるはずですので、しっかり要点をまとめて、ライバルに差をつけていきましょう。BESTは試験が簡単な分、受験者も増える、つまり実力者も集いやすくなってきますので、専門分野の強みに限らず、公務員になるにあたって「この人の能力が欲しい」と面接官に思ってもらえるPRポイントを考えておきましょう。
自治体別の予想問題集で合格を勝ち取ろう
公務員試験の新傾向であるBESTは、多くの方が受験しやすい試験となっています。またその分今後、公務員試験は一層人物重視の傾向が強まっていくことが考えられます。
しかし人物試験の前に、筆記試験を突破しないことには合格は掴めません。合格を確実なものとするには、BESTならではの勉強法、問題集に取り組むことが必須です。簡単そうだと油断せず、点数を取れるよう対策を行いましょう。
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