公務員試験では、主に一次試験として教養・専門試験、論文、二次試験として面接が実施されます。まずは筆記試験を突破することが必須となり、しっかりとした対策が必要です。
ですがそもそも、筆記試験を突破する前に、しっかり計画立てて、自分の得意・不得意分野を把握して、ボリュームを把握して…。事前準備ができていないことには、突破の道を開きたくても開けず、あらぬ方向に行きかねません。
科目数が多く広範囲から出題されるため、勉強方法に頭を悩ませる皆さんに向けて、今回は公務員試験合格に向けて、実施される試験科目ごとの勉強方法や、職種による勉強法の違いについて解説します。
公務員試験の筆記試験とは
公務員試験では、一次試験で筆記、二次試験で面接が実施されます。二次試験に進むためには、一次試験の突破が必須です。筆記試験では主に「教養科目」「専門科目」「論文試験」が出題されます。勉強のスケジュールを立てるためには、まずどのような種類があるか、どれが苦手か得意そうか、ざっくり把握することが大切です。ここでは、それぞれの試験内容について解説します。
教養科目
教養科目は高校までに学ぶ国・数・社・理・英の5教科を組み合わせた内容で、一般知能と一般知識の2分野あります。
分類 |
出題科目 |
一般知能 |
数的処理(数的推理、判断推理、空間把握、資料解析) |
文章理解(現代文、英文) |
|
一般知識 |
人文科学(世界史、日本史、地理、思想、文芸) |
自然科学(数学、物理、科学、生物、地学) |
|
社会科学(法律、政治、経済、社会) |
大学入試とほぼ同レベルの問題が出題され、ほとんどの職種の試験で実施されます。
教養科目の中でも数的処理は出題数が多く、見慣れない問題も多いため、早めに対策をすることが合格への近道です。
専門科目
専門科目は、大学の専門課程で学ぶ内容が出題されます。次のように採用区分によって出題される科目が異なるため、必要に応じて対策をとることが大切です。
出題分野 | 出題科目 |
行政 | 政治学、行政学、社会政策、国際関係 |
法律 | 憲法、行政法、民法、労働法、刑法 |
経済 | ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学 |
このほかにも、心理や福祉職、技術職などの専門科目が設けられている場合もあります。採用区分の分け方や出題科目は受験先によって異なる場合があるため、事前にリサーチしておきましょう。
論文
論文試験は多くの職種で実施されることが多く「考察力」「論理力」「表現力」などが問われ、人物重視する近年、論文を通してもあなたの考えをしっかり見られます。一般的に、文字数は800〜1,500文字、時間は60〜90分で実施される場合が多いです。出題されるテーマはさまざまありますが、代表的なものとして次のようなテーマがあります。
出題テーマ | 出題内容 |
行政課題型 | 〇〇県の課題や将来像、災害対策、魅力あるまちづくりなど |
自己PR型 | これまで主体的に取り組んできたこと、努力した経験など |
志望動機型 | どのような仕事をしたいか、なぜその職種を志望するのかなど |
国家公務員と地方公務員は「行政課題型」が多く、自治体により「自己PR型」や「志望動機型」といったテーマが出題されることもあります。
なんだか難しそうに皆さん感じると思いますが、当ブログでは、最短10日で「型」に合わせて、「音声」で専門知識の解説を聞きながら説得力ある論文を作成できる力が身に付く「論文最強ワーク」を取り扱っていますので、ぜひご活用ください。
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教養科目の勉強方法
教養科目の試験は、すべてをカバーするには出題範囲が広すぎるため、優先順位をつけて勉強するとよいです。ここでは、科目ごとの学習方法を解説します。効率よく勉強するためにもおさえておきましょう。
文章理解
文章理解は、教養科目の中で数的処理に次いで出題数が多い分野になります。文章理解では、大学入試程度の力があれば解ける問題がほとんどのため、高校の教科書や参考書などを活用して勉強するとよいでしょう。特に、現代文と英文を中心に出題される傾向があるため、苦手な方はある程度時間をかけて復習しておくと安心です。
文章を読むのが苦手な方は、文章を読むことに慣れるためにも、可能な限り過去問を多く解くようにしましょう。
数的処理
数的処理は、教養科目の中でも出題数が多い科目です。地方上級の試験では50問中16問程度の割合で出題されるため、重点を置いて学習するようにしましょう。問題や解き方のパターンを覚えることで応用できるため、過去問を繰り返し解いて解法のパターンをつかむことがポイントです。
また出題数が多い分、スピーディーに問題を解くスキルも必要になります。一通り解き方が身についたら、過去問を数多く解いて素早く解答できるようにしておきましょう。
社会科学
社会科学から出題される「政治」「経済」「法律」の3科目は、専門科目の内容と重複するのが特徴です。専門科目が課せられている場合は、専門科目の勉強をすることで、教養科目の試験でも十分に対応できます。
「時事(社会)」については、国際関係や社会問題など、日本の政策課題を中心に出題されます。過去問を解くだけでは対策できないため新聞やニュースなどこまめに目を通し、最近の時事情報などをインプットしておきましょう。
自然科学
自然科学で出題される「生物」「地学」については、暗記で対応できる科目となります。時間をかけて勉強するよりも、試験直前に時間をつくり必要な知識を暗記するのがポイントです。解き方のコツなどは特になく、理科科目が苦手な人でも比較的点を取りやすい分野になるため、優先的に取り組むのもよいでしょう。
「数学」「物理」「化学」については、高校の学習レベルの問題が出題されるため、基礎的な問題だけでも解けるようにしておくことが大切です。
人文科学
人文科学で出題される「世界史」「日本史」「地理」についても、暗記で対応できる科目です。高校までに学んだ内容が出題されるため、教科書や参考書などを活用して復習しておきましょう。苦手な方でも、試験直前に時間をつくり必要な知識を暗記することで対策できます。
「思想」「文学・芸能」については、それぞれ思想家や著者、芸術家などと関連するワードの組み合わせを解答するパターンの問題が中心となります。過去問を活用して知識をインプットしておきましょう。
教養科目について、より詳しく知りたい方は「地方公務員試験対策に!出題科目の内容や傾向を解説」をご覧ください。
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専門科目の勉強方法
専門科目は、大卒程度の国家公務員や地方公務員などで課されることが多いです。「行政」「法律」「経済」の3分野が一般的ですが、職種により「心理学」「教育学」「英語」など選択科目のバリエーションが豊富にあります。そのため必要に応じて対策を取ることが大切です。ここでは「行政」「法律」「経済」についての勉強方法を解説しますので、教養科目と同様にポイントをおさえておきましょう。
行政
「政治学」や「行政学」は暗記で対応できるため、苦手な方でも比較的取り組みやすいのが特徴です。短期間でもインプットしやすく、まずはこの2科目をしっかりとおさえておくことがポイントになります。「行政学」は時事ネタからの出題もあるため、暗記だけでなく時事問題対策も行っておきましょう。
「社会政策」については、労働政策や社会保障といった日本の政策課題を中心におさえておきましょう。「国際関係」については広範囲にわたるため、なるべく早い段階から計画的に取り組むと安心です。
法律
「法律」は専門科目の中でも出題数が多いため、しっかりと時間を割いて勉強しておくようにしましょう。教養試験の「社会科学」と重複する科目になるので、早い段階から勉強をしておくことが大切です。
特に「憲法」「行政法」については、公務員試験では重要視される科目です。確実に得点できるよう重点的に学習しておくことがポイントになります。「民法」は条文の数が多くすべてを網羅するのが難しい科目ですが、過去問などから頻出分野だけでもしっかりとおさえておきましょう。
経済
「ミクロ経済学」「マクロ経済学」など経済原論にあたる科目は、公務員試験の中でも重要な科目であるため、教養科目にも出題されています。基本的な知識を問う問題に加えて計算問題も出題されるため、過去問を活用し解法をしっかりと理解しておくことが大切です。
「財政学」は、税財政制度や時事データを事前に把握しておくようにしましょう。経済原論とつながる部分もあるので、経済原論の学習に重点をおくと効率よく勉強できます。
専門科目について、より詳しく知りたい方は「地方公務員試験対策に!出題科目の内容や傾向を解説」をご覧ください。
いつから勉強を始める?
公務員試験に向けての勉強は、受験を決意してからなるべく早く対策を始めるのが賢い選択です。一般的に公務員試験の合格に必要な時間は、1,000~1,500時間程度が必要だとされています。公務員試験では、教養科目と専門科目を合わせると、およそ30科目の勉強が必要です。
このように広範囲から出題されるため、効率よく勉強を進めることが大切になります。早めにスタートすることでスケジュールに余裕をもって受験勉強を進められるため、受験の1~2年前から計画的に勉強を進めていきましょう。
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職種ごとの試験の特徴と対策
公務員は、国家公務員と地方公務員の2つに大きく分けられますが、職種によって試験の難易度が異なります。ここでは、職種別の試験種目や勉強方法を解説しますので、効率のよい試験対策のためにしっかりと確認しておきましょう。
国家公務員(総合職)
国家公務員の総合職は、日本の中央官庁に関わる仕事を担当する職種です。一般的に高級官僚やキャリア職とも呼ばれることもあります。公務員試験の中でも最難関とされているため、試験科目と配点比率を考慮しながら、計画的な対策が必要です。
試験 |
試験種目 |
解答題数 |
解答時間 |
配点割合 |
|
一次試験 |
基礎能力試験(多肢選択式) |
40題 |
3時間 |
2/15 |
|
専門試験(多肢選択式) |
40題 |
3時間30分 |
3/15 |
||
二次試験 |
専門試験(記述式) |
政治・国際、法律、政治 |
3題 |
4時間 |
5/15 |
その他の区分 |
2題 |
3時間30分 |
|||
政策論文試験 |
1題 |
2時間 |
2/15 |
||
人物試験 |
ー |
ー |
3/15 |
勉強のポイント
法律、経済、政治、国際などの専門区分の採用試験では、通常の教養試験や政策論文試験に加えて実施される専門試験の配点が高いことが特徴です。
特に専門試験では、多肢選択式と記述式で重複する科目があります。まずは多肢選択式の対策として広範囲の知識をインプットし、過去問を活用して知識をしっかり身につけましょう。そして過去問で身につけた知識を使い、実際に記述問題を解く練習を重ねると効率的に勉強できます。
また国家総合職の試験ではすべての試験で足切りがあるため、教養試験の対策も必須です。上級レベルの参考書を活用し、内容をしっかりと理解しておきましょう。数的処理や文章理解など、短時間で実力をつけるのが難しい科目については、時間をかけて学習する必要があります。
国家一般職・地方公務員
公務員試験の中でも受験者が多い職種で、教養試験は大学入試程度、専門科目は大学専攻程度の問題が出題されるのが特徴です。
試験種目と配点比率は次のようになります。
試験 |
試験種目 |
解答題数 |
解答時間 |
配点割合 |
|||
行政 区分 |
建築 区分 |
行政・建築以外の区分 |
|||||
一次試験 |
基礎能力試 (多肢選択式) |
40題
|
2時間20分 |
2/9 |
2/9 |
2/9 |
|
専門試験 (多肢選択式) |
建築区分 |
33題 |
2時間 |
ー |
2.5/9 |
ー |
|
建築以外の区分 |
40題 |
3時間 |
4/9 |
ー |
4/9 |
||
一般論文試験 |
行政区分 |
1題 |
1時間 |
1/9 |
ー |
ー |
|
専門試験 (記述式) |
建築区分 |
1題 |
2時間 |
ー |
2.5/9 |
ー |
|
行政・建築以外の区分 |
1題 |
1時間 |
ー |
ー |
1/9 |
||
二次試験 |
人物試験 |
ー |
|
2/9 |
2/9 |
2/9 |
勉強のポイント
知能科目(文章理解・数的処理)の出題数が多く、重点的に対策することがポイントです。文章理解は、大学入試レベルの長文の読解、数的処理では、問題文自体が長文となる傾向があります。特に数的処理は、問題文を読みながら数式に変換していく能力が求められるため、さまざまなパターンの過去問を丁寧に繰り返し解くことが必要です。
専門試験に関しては、憲法、行政法、経済原論など高配点の科目から優先的に始めていくとよいでしょう。科目数が多いため、スケジュール立てを工夫することが大切です。
志望自治体・職種に合わせて優先順位をつけながらの勉強が大切
公務員試験は試験科目が多く広範囲から出題されるため、優先順位をつけながらポイントを絞って、学習のスケジュールを立てることが大切です。
また受験する職種によって、課される科目が異なっています。受験を決めたら早目に試験科目を確認し、スケジュールを立てて効率よく勉強に取り組みましょう。
いざ過去問題を解いてみると…「時間が足りない、最後まで解けない」というお悩みを抱える方も多いのではないでしょうか?
合格を目指すためには、早めに解決しておきたいこちらの問題。公務員試験で時間が足りなくなる理由と対処法について、以下の記事で分かりやすくわかりやすく解説しています。