公務員採用試験を受ける時、皆さん気にするのは「倍率」とか「合格率」ですよね。もちろんいくら倍率が低いからと言って受かる保証はないですし、試験対策はしっかりするけれど、難しい試験を越えるためにはライバルが少ない方が、なんとなく気持ちが違いますよね。
つい「どの程度の実力があれば合格できるのか?」「難関大学出身でないと合格できないのでは?」など難易度が気になって、そればかりネットで調べて試験対策が疎かに…なんてことは避けたいところですよね。
この記事では、公務員試験の難易度をランク分けしたり、その上で対策方法を3つ解説していますので、今皆さんが持っているモヤモヤは全部解決します。公務員試験は決して難しいとひとくくりで片付くものではありませんので、ぜひ最後までご覧ください。
公務員試験の難易度とは?
公務員といってもさまざまな職種があります。職種により試験科目や配点、面接内容、募集人数などの条件が異なるため、一概に難易度を示すのは難しいです。例えば、採用人数が少ない職種に受験者が殺到した場合は必然的に高倍率になるため、難易度が高いといえます。
また試験問題がハイレベルな職種についても、合格基準に達するのが難しいという点で難易度が高いといえるでしょう。このように、ひとくちに難易度といってもあらゆる側面から判断する必要があります。
合格の可能性を測る指標として次の3つの要素に絞ることで、試験の難易度の目安を測ることができます。
- 倍率の高さ
- 筆記試験の科目の多さ
- 筆記試験の出題レベル
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難易度ランク
公務員試験では、教養試験に加えて専門的な知識の理解度を計るために専門試験を実施する職種があります。一般的に、専門試験を課する職種は科目の多さや出題レベルなどの点からも難易度が高い傾向です。
ここでは難易度が高い順に難易度5、難易度4、難易度3、難易度2とランク分けしたので、皆さんの状況と照らし合わせて、どのランクに挑戦するか、目安として参考にしてください。
難易度5
難易度5の職種は次の通りです。
- 国家公務員(総合職)
- 外務省専門職
- 国会職員
いわゆるキャリア官僚と呼ばれる国家総合職は、人事院においてハイレベルな筆記試験や面接試験に加え、官庁訪問とも呼ばれる各中央省庁の採用面接をクリアする必要があります。
外務省専門職は、国際的な舞台での仕事になるため、抜群の語学力や専門知識が必須となるうえ、採用数が少なく倍率が高いです。国会職員は、衆参議院職員や国立国会図書館職員として専門性が求められるため、高難度の試験をクリアする必要があります。また、採用枠も少ないため高倍率である点も、難易度が高いとされる理由となっています。
難易度4
難易度4の職種は次の通りです。
- 労働基準監督官
- 航空管制官
- 東京都庁I類
- 都庁圏県庁(上級)
- 政令指定都市職員(上級)
- 東京23区職員
大都市圏や政令市は、地方でありながらも予算規模が大きいため、国家にも匹敵する規模感の業務に魅力を感じる志願者が多いため、人気が高い職種となっています。
労働基準監督官や航空管制官などの国家専門職は、高い専門性を持つ職種です。採用試験でも特殊な仕事に対応した専門性の高い問題が出題されるため、試験レベルが高度なことに加え、採用枠が少ないため難関試験といわれています。
難易度3
難易度3の職種は次の通りです。
- 国家公務員(一般職)
- 地方公務員(上級)
- 国税専門官
- 裁判所事務菅(一般職)
- 国立大学法人など職員
国家公務員(一般職)は国、地方公務員(上級)は県において一般的な事務を担う職種です。どちらも公務員の中で採用人数、志願者ともに多く、試験内容についても典型的なものになっています。
国税専門官や裁判所事務官は、それぞれ専門的な知識が求められますが、採用数が多い傾向にあるのが特徴です。また、国立大学法人職員は、筆記試験が教養科目のみと難易度が低めですが、合格ラインが高く採用枠が少ないため高倍率になる場合があります。
難易度2
難易度2の職種は次の通りです。
- 市役所職員
- 消防官
- 警察官
一般的に市役所職員の筆記試験では、教養試験と論文試験のみとなっています。他の職種よりも学習範囲が狭く難易度もさほど高くないため、公務員の中でも受験しやすいのが特徴です。近年は、教養試験の代わりにSPIなどを課す自治体もあり、受験しやすくなっています。
消防官や警察官も同じく、筆記試験は教養試験と論文試験のみです。しかし別途体力試験も課されるため、肉体的なトレーニングも並行して行う必要があります。
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倍率と合格率はどのくらい?
人事院が発表しているデータを参考に、国家公務員の受験者数と最終合格者数から合格率と倍率を算出すると以下のようになります。
職種 | 受験者数 | 最終合格者数 | 合格率 | 倍率 |
国家総合職 | 13,674人 (5,821人) | 1,255 (397人) | 9.1% (6.8%) | 10.8倍 |
国家一般職(行政職) | 23,711人 (10,365人) | 6,099人 (2,691人) | 25.7% (25.9%) | 3.8倍 |
国家一般職(行政職以外) | 4,392人 (1,247人) | 2,057人 (580人) | 46.8% (46.5%) | 2.1倍 |
※()内は大卒程度試験
合格率(倍率)をみると、国家総合職は9.1%(3.8倍)、国家一般職(行政職)は25.7%(3.8倍)となり、総合職の合格率が低く、倍率が高いことがわかります。国家一般職(行政職以外)は、行政職よりも合格率が高く倍率も低い傾向にありますが、専門知識が求められるため試験の難易度としては高く、注意が必要です。
また総務省が発表しているデータを参考に、地方公務員の受験者数と最終合格者数から合格率と倍率を算出すると次のようになります。
職種 | 受験者数 | 最終合格者数 | 合格率 | 倍率 |
地方公務員(都道府県) | 78,438人 | 13,158人 | 16.7% | 5.9倍 |
地方公務員(市区) | 171,563人 | 18,274人 | 10.6% | 9.3倍 |
地方公務員(町村) | 9,656人 | 1,425人 | 14.7% | 6.7倍 |
地方公務員の中では、都道府県の合格率が16.6%(5.9倍)、市区が10.6%(9.3倍)、町村は14.7%(6.7倍)で、市区の合格率が低く倍率が高くなっています。
公務員試験に独学で挑もうとされている方は、当ブログの「公務員試験に独学で挑む方法とは?メリット・デメリットと成功のコツ」をご活用ください。倍率・合格率という目の前の数字に心折れずに自力で挑むための極意が詰まっています。
公務員試験が難しいのはなぜ?
公務員試験に合格するのが難しいといわれる理由を以下の3つにまとめました。
- 広範囲から出題される
- 面接試験の難易度が高い
- 採用人数が限られる
ここではそれぞれについて詳しく解説していきます。
広範囲から出題される
公務員試験の一次試験は、筆記試験です。教養科目と専門科目に分かれており、全部で30近くの科目があります。
筆記試験 |
分類 |
試験科目 |
教養科目 |
一般知能 |
数的処理、文章理解(現代文、英文) |
一般知識 |
人文科学(世界史、日本史、地理、思想・文芸)、自然科学(数学、物理、化学、生物、地学)、社会科学(法律、経済、政治、社会)、時事など |
|
専門科目 |
法律系 |
憲法、民法、行政法、労働法、刑法など |
経済径 |
ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学など |
|
行政系 |
政治学、行政学、社会学など |
専門科目まで課される職種は学習の分量が多くなることから、難易度が高いといわれる傾向にあります。
面接試験の難易度が高い
公務員試験では、一次試験を突破すると二次試験に進むことができます。一般的に二次試験では主に面接試験が実施されるため、短時間で面接官に対しいかに自己アピールできるかがポイントです。近年は、人物重視の自治体が増えているため、面接においてもしっかりとした対策が必要になります。
面接試験は、筆記試験とは異なり不透明な部分があるため、合格するための対策が明確ではない点が難易度が高いといわれる理由です。
面接対策を効率よく進めたい方は、当ブログの「市役所面接で定番の質問内容とは?公務員採用試験を突破しよう」をご活用ください。市役所に限らず、公務員採用試験の面接対策をするにあたって外せない情報が詰まっています。
採用人数が限られる
公務員は採用人数に上限があるため、採用の予定人数よりも多くの受験者が集まるほど競争率が高まります。公務員試験は採用試験なので、合格点のボーダーラインが決まっていない点も難易度が高いといわれる理由です。満点に近い点数になるほど有利になるため、試験を突破するためにも常に高得点を狙わなければなりません。
また、人口の減少に伴い、全体的に採用人数を減らす傾向にあるものの、職種によっては採用人数が増加する場合もあるため、興味がある職種の採用人数はしっかりとおさえておきましょう。
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合格に向けての対策3つ
公務員は採用人数が限られているうえ、試験の出題範囲も広く合格を目指すためには、しっかりと対策を練る必要があります。公務員を目指そうと決めたらなるべく早い段階で合格に向けて行動を起こすことが合格への近道です。
職種や試験内容などの情報収集
ひとくちに公務員といってもさまざまな職種があります。職種により試験内容が異なるため次のようなポイントについて情報を収集しましょう。
- どんな職種があるか(国家公務員か地方公務員か、一般職か専門職かなど)
- 筆記試験の内容(専門科目の有無、択一試験かSPIかなど)
- 一次試験の日程
公務員試験は一次試験の日程が重ならなければ、原則として併願も可能です。情報を集めることで、どの職種を受験するのか、併願できるか、筆記試験の対策すべきポイントなどが見えてきます。
スケジュールは逆算して立てよう
受験する職種が決まったら、試験日から逆算して学習計画を立てましょう。特に専門科目が課される場合は、試験範囲が広くなるため計画的に学習することが必須となります。筆記試験の対策として有効なのが、問題集を活用した学習です。
まずは、問題集を試しに解いて、試験日までに必要な情報をインプットしましょう。出題傾向や頻出する分野、科目ごとにどの程度まで勉強すればよいかなどがわかります。
面接対策を行う
一次の筆記試験を突破すると、二次で面接試験が実施されます。公務員試験の面接は、一般企業への就職面接と同様にしっかりとした対策を行うことが大切です。特に近年は人物重視の傾向があるため、面接試験が重要視されています。
願書とともにエントリーシートの提出が求められるケースもあるため、一夜漬けではなく事前の対策が合格へのカギです。自己分析や希望する職種に合わせた志望動機の作成など、短時間でしっかりと自己アピールするためにも対策を行いましょう。
自分が目指したい職種を受験しよう
公務員試験の難易度はさまざまな捉え方ができるため、重視しすぎて憧れていた職種を諦めてしまうのは残念なことです。しっかりと対策をすれば誰にでも合格の可能性はあるため、まずは自分がどのような仕事をしたいのかを第一に考えましょう。
難易度はあくまでも目安として捉え、効率のよい試験対策をするために役立ててください。
いざ過去問題を解いてみると…「時間が足りない、最後まで解けない」というお悩みを抱える方も多いのではないでしょうか?
合格を目指すためには、早めに解決しておきたいこちらの問題。公務員試験で時間が足りなくなる理由と対処法について、以下の記事で分かりやすくわかりやすく解説しています。