社会人・民間経験者枠の試験は独特!?公務員採用対策はどうすればいい?

民間経験者枠とは?ならではの試験に要注意!

公務員試験では新卒者などを対象にした一般枠の採用試験以外に、社会人経験のある人に対して民間経験者枠の採用試験があります。すべての自治体で実施されているわけではありませんが、民間経験者枠の試験は年々広がっています。同時に、安定した職を求める社会人も増えてきています。

そんな社会人の皆さんに向けて、今回は、民間経験者枠採用試験の合格に向けた勉強のコツや注意すべきポイントを解説します。一般枠とは違う、民間経験者枠採用試験ならではの試験内容もあるので、正しい対策を行うためにも、ぜひ最後までご覧ください。

民間経験者枠の採用試験とは?

黒板に白チョークでTESTと書かれている

公務員採用試験の民間経験者枠とは、民間企業などで一定期間職務経験のある人向けに採用枠を確保した採用試験です。福祉や多様化する行政サービスを提供するため、公的機関以外で働いたという経験や多角的な視点を持った人材を確保する目的で実施されています。

試験の名称は「社会人採用試験」「民間企業等職務経験者採用試験」とも呼ばれます。

採用にあたっての条件

民間経験者枠の公務員採用試験では、受験できる要件として、年齢制限や経験年数などが設けられています。

国家公務員の経験者採用試験では、「大学等(短期大学を除く)を卒業した日または大学院の課程等を修了した日のうち、最も古い日から起算して2年を経過した者」で、「大学卒業後、民間企業・官公庁・国際機関等において、正社員・正職員として従事した職務経験が通算2年以上」という規定があります。

他の自治体では、さらに細かく規定されているケースもあります。例えば令和4年度民間企業等職務経験者向け京都市職員採用試験の受験資格は、以下のとおりです。

条件項目受験資格の内容
年齢要件昭和38年4月2日から平成8年4月1日までに生まれた方
職務経験年数令和5年3月31日現在で、平成28年4月1日から令和5年3月31日までの間に民間企業等における職務経験が5年以上ある方
職歴の内容「民間企業等における職務経験」は、会社員や団体職員、公務員、自営業者などの職歴を指します。また「職務経験」とは雇用形態にかかわらず、1つの事業に1週間あたり30時間以上従事したものを指します。
職務経験の年数職務経験が複数ある場合には、1年以上継続して就業した職務経験に限り、期間を通算できますが、同一期間内に複数職務に従事した場合は、いずれか一方のみの職歴に限ります。
職務経験・休職等の扱い5年以上の職務経験に育児休業期間はすべて含みますが、そのうち育児休業期間を除いた勤務期間が3年以上あることが必要となります。休暇等で休んでいた期間は、職務経験に含みません。

自治体によって条件は異なりますが、勤務時間や転職、休職などの状況によって、条件を満たさない可能性がありますので、受験の要項はよく確認しましょう。

採用試験の倍率はどれぐらい?

民間経験者枠は、大卒程度の一般枠と比べて採用人数は多くないため、競争倍率が高くなる傾向にあります。「​​2021年度国家公務員採用試験実施状況」によると、経験者採用試験の倍率は5.53倍と、大卒程度一般職と比べるとほぼ2倍となり、極端に高い倍率というわけではありません。

試験の種類

申込者数

第1次試験

第2次試験

第3次試験受験者数

最終合格者数

倍率

受験者数

合格者数

受験者数

合格者数

経験者採用試験(8種類)

1,982

1,095

400

384

195

189

198

10.0倍

大卒程度一般職

27,317

20,718

11,056

9,045

7,553

3.62倍

また一般枠とは異なり、専門的な勉強が必要となる専門試験が課されるケースは少なく論文試験や面接試験がメインであるため、現在の仕事を続けながら受験対策ができます。

採用試験の一般的な流れ

黒板に白チョークでTestと書かれている

 

民間経験者枠の採用試験について、出願から合格発表までの一般的な流れは、以下のとおりです。

出願

民間経験者枠の採用試験は自治体によって日程はまちまちのため、複数の自治体で受験が可能です。

ただし同じ自治体で一般枠の大卒程度試験と民間経験者枠、両方の受験資格を持っていたとしても、併願を禁止しているケースがありますので、注意してください。

1次試験(筆記試験)

筆記試験では、公務員試験全職種共通の一般知能分野と、中学・高校の学習内容が中心となる一般知識分野(歴史・生物・化学など)が出題されます。民間経験者枠の合否判定では、筆記試験の比率が低めに設定されています。

出題レベルや難易度は各自治体の一般枠の大卒程度試験と同等ですが、高卒程度に設定している自治体もあります。

2次試験(論文試験)

与えられた課題に対し、論文を通じて自分の考えを述べる試験です。民間経験者枠の採用試験では、一般的に職務経験論文と一般課題式論文のいずれか、または両方が出題されます。

2次試験(個別面接・集団討論)

筆記試験のあと、面接試験が行われます。面接試験は個別形式や集団討論などの形式があります。

採用候補者名簿登載・採用内定

1次試験と2次試験の評価が採点され合計点によって最終合格者が決定し、成績の順番に採用候補者名簿に登載されます。

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試験対策

左手でファイルを開いて、右手に鉛筆を持っている

ここでは民間経験者枠採用試験について、勉強方法や合格に向けたポイントについて解説します。

各試験における対策のポイント

民間経験者枠の採用試験は、基本的には大卒程度一般枠の採用試験と大差ありませんが、当然、社会人経験の内容を問うものもあります。

教養択一試験

筆記試験の対策は一般枠の大卒程度試験の対策と同じで、多くの参考書が販売されていますので、十分対策を取ることができます。

職務経験論文

職務経験論文は、自分が民間企業などで働いてきた経験を踏まえて、自分の考えを論文としてまとめる形式の試験です。以下は特別区で過去に出題された職務経験論文のテーマです。

令和3年度のテーマは「仕事における目標設定と振り返りについて、あなたのこれまでの 職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。」でした。

また、令和4年度のテーマは「職場の活性化について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分における立場として論じて ください。」でした。

試験の形式は以下のとおりです。

文字数

1,200~1,500字程度

解答時間

90分

採用区分

1級職

係員の業務を行う職

2級職(主任)

係長職への 昇任を前提とした係長職を補佐する職

3級職(係長級)

係長、担当係長、 主査又はこれに相当する職

課題式論文

課題式論文は必ずしも自分の経験に関連する内容である必要はなく、課題に対しての基礎知識が必要となります。しかし、社会人としての経験を踏まえた考えを表すと、説得力を増すことができます。以下は特別区で出題された課題式論文のテーマです。

令和3年度のテーマは「インターネットを活用した誰もが利用できる行政手続に向けた取組について」「持続可能な財政運営と区民サービスについて」でした。また、令和4年度のテーマは「シティプロモーションについて」「複雑化・多様化する区民ニーズへの対応について」でした。いずれも2題のうちから1題を選択します。

論文は1,200~1,500字程度で記述します。解答時間は1時間30分です。

論文の練習をする際、簡単に構成の組み替えや推敲がしやすいという理由で、パソコンを使うケースがあります。しかし実際の試験では、制限時間内に手書きで文章を書かなければなりません。そのため文章を考える練習の際はパソコンでもよいですが、本番前には手書きで書く練習をして、時間切れにならないように注意しましょう。

職務経験面接

職務経験論文でも問われましたが、これまで仕事を通じて得た経験やスキルがどのようなものであるかを明確に伝える必要があります。さらに、そのスキルを公務員の仕事に対してどのように活かそうとしているのか、整合性を持った回答をしなければなりません。

志望理由については新卒の面接と同様に仕事への積極性を持った回答をし、転職内容はあまりネガティブな内容にならないように気をつけましょう。そして、採用された場合に配属先でスキルを活かし働く将来像を面接官がイメージでき、一緒に仕事をしたいと思ってもらえるようにしましょう。

また的外れな回答にならないよう、自治体の抱える課題や力を入れている施策が何かをしっかりと押さえておきましょう。

面接にあまり慣れていないという方は、まずは自分の意見をまとめたうえで、実際に声を出してみて回答する練習を繰り返すだけでもかなり効果的です。自分で慣れてきたら、さらに家族や友人相手に練習するのも効果的です。

合格するために重要なこと

民間経験者枠の公務員試験に合格するためには、自治体ごとによって異なる試験内容などを把握できているかが大きなポイントです。特に論文や面接でどのような答えが求められるのか、考えておきましょう。

採用側となる国や自治体からすれば、新卒ではなく社会人の経験を積んだ人材を募集する理由は、その経験をどれだけ自分たちの組織に生かしてくれるのか、期待しているためです。つまり社会人採用枠の試験を突破するには、自分の経験を棚卸しして正確に分析することが求められます。

これまでの経歴と、これからしたい仕事の内容について整合性を取る必要がありますので、自分の考えはきちんとまとめておきましょう。

民間経験者枠の受験を検討しよう

民間経験者枠は、一般枠と比べて競争率が高く受験しづらいかもしれません。しかし試験の準備をしっかりと行い、面接試験で自らの経験を組織に役立てたいという意志をきちんと説明できれば、必ずしも合格が不可能な試験ではありません。現在、社会人で公務員に転職したいという人は、ぜひ民間経験者枠で採用試験の受験を検討しましょう。

公務員試験に独学で挑む方には、以下の記事をまず読むことをおすすめします。先生など、周りに勉強を教えてくれる人がいない中では、難しい戦いもあるでしょう。最小投資で合格を目指すためには、効率の良い勉強法を獲得することが必須です。勉強法のコツや独学のメリットについて、詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。


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