消防士採用試験の内容とは?受験の流れ・傾向・対策まで徹底解説

火災や災害など過酷な現場で危険をかえりみず任務を全うする消防士。そんな消防士になりたいと憧れている方は多く、消防士になるために毎年たくさんの人が「消防士採用試験」を受験しています。

今回は、試験内容や受験資格・条件から試験対策などを紹介します。消防士採用試験で「どんな内容の試験が行われているのか?」「誰でも受験できるのか?」などを知りたい方は参考にしてください。

消防士採用試験に合格することで消防官になれる

消防士は、火災や災害などから地域住民の安全を守るために働く公務員です。そのため、各自治体によって実施される消防士採用試験に合格しなければ消防士になれません。採用試験は、東京都の場合ほぼ全域が東京消防庁、政令指定都市では人事委員会、その他市町村では広域消防本部や消防組合ごとに実施されます。

受検資格は各自治体により異なりますが、25歳から30歳程度を受検年齢上限として設けられている場合が多いです。あわせて身体基準が設けられており、視力や色覚、聴力に加え、身長や体重、肺活量などの基準がある場合もあります。各自治体の受検案内などを確認しておきましょう。


消防士採用試験の内容は?

消防士採用試験は、一般的に一次試験と二次試験の二段階で実施されます。主な試験内容は次の通りです。

  • 教養試験
  • 体力試験
  • 小論文
  • 面接試験
  • 適性検査
  • 身体検査

一次試験では教養試験や小論文などの筆記試験がメインとして実施され、二次試験のメインは面接試験となっています。一次試験を突破した人だけが二次試験に進めるため、まずは一次試験突破を目指すための対策をしておくことが大切です。

試験区分/採用区分

消防官採用試験の試験区分は次のようになっています。

区分 対象者
I類 大学卒業か同等の資格を有する人向け
II類 短期大学もしくは専門学校卒業、または同等の資格を有する人向け
III類 高校の卒業者、または同等の資格を有する人向け
専門系 大学卒業または同等の資格を有する人

地域によっては区分がI類とIII類のみになっていたり、区分をせず1つの試験のみを実施したりる場合もあります。専門系の大卒以上の学歴が求められますが、それ以外の区分では、対象者となる人の難易度に合わせた試験が実施されるというだけで、年齢要件を満たせば学歴に関係なく受験できます。

教養試験(一般知能と一般知識)

教養試験は、一般的な地方公務員と同等レベルの内容となっていますが、消防士は採用倍率が高いため、合格点も高くなる傾向にあるようです。例として東京消防庁の場合は次のような分野から出題されています。

教養試験

五肢択一式

45問

一般知能

文章理解、英文理解、判断推理、空間概念、数的処理、資料解釈

一般知識

人文科学(国語、歴史、地理)

社会科学(法学、政治、経済、社会事情)

自然科学(数学、物理、化学、生物)

広範囲から出題されるため、テキストや過去問などを活用して入念に対策しておくことが大切です。

体力試験

消防士は仕事の特性上、ある程度の体力や運動能力が求められるため、体力試験が実施されています。体力試験が実施されるのは次のような項目です。

  • 1km走
  • 反復横とび
  • 上体起こし
  • 立ち幅とび
  • 長座体前屈
  • 握力
  • 腕立て伏せ
  • 懸垂
  • シャトルラン

内容としては特殊な項目はなく、高校などで一般的に実施されているスポーツテストと同等です。自治体によっては試験ではなく検査としている場合もあるため、最低限のラインをクリアできる体力があるかどうかを見るために行われています。

小論文

筆記試験では教養試験だけでなく小論文や作文による試験も実施されています。内容は自治体により異なりますが、東京消防庁の場合だと、1時間30分で課題式により800字以上1,200字程度の論文または作文を作成するとなっています。

課題は、自分自身について問うものや一般常識があれば書けるものがほとんどです。特に、消防士採用試験では「災害・防災」「チームワーク」「自分自身について」といったジャンルが出題されやすい傾向にあるようです。

面接試験

面接試験は、ほとんどの自治体で最終試験として実施されています。面接対策をするためには、相手を知ることが大切。消防士の面接試験とはいえ、一般的な就職試験と同じようなポイントをチェックしているので、しっかりと把握しておきましょう。

  • 態度(身だしなみ、積極性など)
  • 表現力(話し方、適切な言葉で話せるか、声のボリュームなど)
  • 判断力や理解力(的確な受け答えができるか、思考が歪んでいないかなど)
  • 社交性や協調性(ルールや規則を守れるか、世の中の動きに関心があるかなど)

面接では限りある時間の中で、いかに自分の思いを伝えられるのかがポイントになります。消防士になりたいという熱意が伝わるように、シミュレーションを繰り返しておきましょう。

適性検査

適性検査は、消防士としての適性があるかどうかを調べるために実施されます。試験ではなくあくまでも検査なので、合否にはあまり影響はありません。

検査内容としては、性格適正の検査やクレベリン検査が一般的に実施されています。クレペリン検査は、一桁の数字を足し算するだけの単純なものです。1分経過すると次の行に移り同じ作業を繰り返します。これにより、処理能力や職業適性などが判断されるようです。

性格適性検査では、音声に沿って簡単な問いに「はい」「いいえ」で答えていくものです。または、図形の異同を見分けることで、事務適性を検査する場合もあります。

身体検査

身体検査では、消防士の職務を遂行するのに支障のないとされる身体基準を満たしているかを調べます。身長や体重、胸囲や視力などの項目がありますが、体格的に恵まれている方が優位ということではなく、あくまでも基準を満たしているかどうかが重視されているようです。

あわせて、健康度の検査(尿検査、胸部X線、心電図、血液検査)なども実施されます。自治体によって条件は異なるため、自分が受験する自治体の要件をあらかじめ確認しておきましょう。

消防士採用試験の流れは?

消防士採用試験では、自治体によって異なるものの一般的には一次試験(教養試験、小論文)が行われたのちに合格者が二次試験(体力試験、身体検査、適性試験、面接試験)に進み、最後に合否判定されます。消防士といえば体力勝負といったイメージを抱く方も多いでしょうが、まずは教養試験や小論文などの筆記試験を突破しなければ次のステップには進めません。

採用試験の日程についても自治体によって異なりますが、おおよその流れは次のようになっています。

  試験の流れ 日程
1 試験日程の発表 5月から9月上旬
2 申込受付 6月から9月
3 一次試験 6月下旬から10月中旬
4 二次試験 7月から11月
5 合格発表 8月から12月

受験資格や受験条件

消防士採用試験では、年齢要件と身体基準が受験資格として設けられています。自治体によっても若干異なりますが、おおむね次の通りです。

①年齢要件

区分 年齢要件
I類 22歳以上30歳未満
II類 20歳以上30歳未満
III類 18歳以上22歳未満
専門系 22歳以上30歳未満

②身体基準

身長 男性:おおむね160cm以上 女性:おおむね155cm以上
体重 男性:おおむね50kg以上 女性:おおむね45kg以上
胸囲 身長のおおむね2分の1以上
視力 視力(きょう正視力を含む)が両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上。裸眼視力に制限はありません。
色覚 消防官として職務執行に重大な支障がないこと
聴力 正常であること
肺活量 男性:おおむね3,000㏄以上 女性:おおむね2,500㏄以上

消防士採用試験に受験者数と採用倍率

消防士は公務員の中でも人気が高い職種で、さらに欠員も出にくいため、どの自治体でも採用倍率が高めです。例として、令和2年度の東京消防庁の受験数と倍率は次の通りになります。

【令和2年度の東京消防庁における採用試験の受験数と倍率】

区分 一次受験者数 一次合格者数 二次受験者数 二次合格者数 倍率
I類 3,723 1,268 1,056 555 6.7
II類 1,730 651 387 262 6.6
III類 4,005 966 728 522 7.7
専門系 34 25 22 4 8.5
合計 9,492 2,910 2,193 1,343 7.1

消防士採用試験の傾向と対策

受験者数が多い消防士採用試験。狭き門を突破して消防士として採用されるのは簡単なことではありません。合格するためには、出題傾向を分析し対策を練っておく必要があります。ここでは消防士採用試験の傾向と対策について紹介しますので、試験対策にぜひ役立ててください。

スケジュールを管理しながら効率よく学習する

消防士採用試験は広範囲から出題されます。全てを学習するのは難しいため、テーマを絞って効率よく学習を進めるのがポイントです。全体の6~7割程度を確実に取るつもりで勉強を進めていきましょう。特に数的処理や社会科学は配点が大きい傾向があるため、重点を置いて学習しておくと良いです。

ただ何となく勉強するよりも、試験までの期間で学習プランや勉強スケジュールを立てることも大切。月単位、週単位など、項目別にスケジュールを立てて効率よく学習しましょう。

面接も重視される傾向に!シミュレーションを重ねる

二次試験で実施される面接試験も配点が大きくなる傾向にあります。過去の質問例などを参考にしながら、繰り返しシミュレーションを重ねることが効果的です。何の対策もせずに面接に臨んでしまうと、緊張などから自分が思うよりも伝えたいことを伝えられないまま面接が終わってしまうこともあります。

面接の回答は明確な正解が存在するものではありません。だからこそ、自分らしく答えられるかどうかが面接官の心を掴む鍵となるので、自分の言葉で伝えられるよう意識して対策をしておきましょう。

事前準備を徹底すれば自信につながる

消防士は人々の安全を守るために社会から必要とされる職業です。だからこそ、消防士になるには消防士採用試験により、消防士としての素質や体力などが見極められます。人気の職種だからこそ、試験を突破するのは簡単なことではありませんが、毎日コツコツと努力を重ねていくことが大切です。

「消防士採用試験」は、筆記試験や面接試験など事前に対策できる項目ばかりです。過去問やテキストなどをうまく活用し、毎日学習を積み重ねていけば、試験当日の自信につながるので、しっかりと対策をしておきましょう。