地方公務員と一口にいっても、市役所や町村役場など、いくつか種類があります。採用される自治体の規模によっては、仕事の内容なども違ってきます。自分の受ける自治体に合わせて情報収集を行う事は、面接や志望理由書で、試験官に真剣さを表して、より確実の合格を掴む大事な対策です。
今回は、規模の小さい「町」や「村」の役場の職員の仕事について解説いたします。町村役場職員の仕事内容や待遇面、仕事面のメリットとデメリットを知ることで、視野を広げ、自分に合った職場との出会いの選択肢を広げてください。
町村役場職員の仕事内容
町村役場の職員の仕事は、地域住民に基礎的な行政サービスを提供することです。例えば、次のような業務があります。
- 役場の窓口業務(住民登録、証明書の発行など)
- 税金、年金などの通知業務
- 公園や緑地などの整備
- 上下水道の整備・維持管理
- 公共施設の管理・運営
- 地域行事、講座などの企画・運営
町村役場職員を含む地方公務員は、一般的に業務内容によって事務職と技術職に分かれています。そのうち事務職は短い期間でさまざまな部署を異動しながら、幅広い業務に携わります。ただし、町や村のように規模が小さい自治体では役場の職員規模も小さい傾向にあり、1人で複数の業務を掛け持ちながら業務を回すことも多いのが特徴です。
町役場と市役所、仕事内容に関する事は、当ブログの「町役場と市役所、仕事内容を徹底比較!どちらが向いているかを確認しよう」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。
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町村役場職員になる待遇面のメリット
町村役場の職員になると、主に民間企業と比較して次のようなメリットがあります。
- リストラや倒産のリスクがほぼない
- 福利厚生がしっかりしている
- 安定して昇給する
- 手当が充実している
それぞれのメリットの詳細を解説します。
1. リストラや倒産のリスクがほぼない
公務員全体にいえることですが、民間企業と異なり、倒産で働き口を失ったりリストラをされたりする心配が基本的にない点は、町役場や村役場で働く大きなメリットです。町村役場職員になれば、民間企業で働く人のように仕事で目に見える業績を残したり、組織の収益を上げることを目的にしたりと、解雇されないために必死になる必要はありません。
ただし、絶対に解雇をされないわけではないことには注意が必要です。分限免職処分といって、業務上著しく問題があると判断された場合などに下される措置があることを、覚えておきましょう。
2. 福利厚生がしっかりしている
地方公務員の福利厚生については、地方公務員法第四十二条に「職員の保健、元気回復その他厚生に関する取り組みをしなければならない」旨が明記されています。そのため、各地方自治体は法律に則って、以下のようにさまざまな福利厚生制度を整備しています。
- 各種健診(定期健康診断、人間ドックなど)
- 子育て支援制度(産前・産後・育児休暇制度、時短勤務、看護休暇など)
- 各種祝い金、見舞金の支給
- レクリエーションの実施
- 住宅、自動車などの取得資金の融資制度
もちろん、健康保険や介護保険、年金、災害補償などの制度も整っているため、安心して就業可能です。
3. 安定して昇給する
地方公務員の給料は職種ごとに設けられた給料表をもとに、職務の難易度などに応じた「級」と経験年数による習熟度などで決まる「号給」の組み合わせで決まります。町村職員の給料もこの方法に則って決まるため、基本的には経験年数を重ねるほど号級が上がり、昇給していく仕組みです。
総務省が公開している「令和2年4月1日地方公務員給与実態調査」をもとに、経験年数別の町村役場職員(事務職)のおおよその平均給料額をみてみましょう。
経験年数 | 一般行政職 (事務職) |
1年未満 | 17万7,000円 |
~2年未満 | 17万8,000円 |
~3年未満 | 18万4,000円 |
~5年未満 | 19万6,000円 |
~7年未満 | 21万1,000円 |
~10年未満 | 23万円 |
~15年未満 | 25万7,000円 |
~20年未満 | 30万2,000円 |
~25年未満 | 34万1,000円 |
~30年未満 | 36万7,000円 |
~35年未満 | 38万4,000円 |
35年以上 | 37万1,000円 |
定年後の再任用者などが増える勤続年数35年以上ではやや平均額が下がるものの、全体の傾向として、順調に昇給することが伺えます。
給料表は地方自治体が定めるため、自治体ごとに給料の金額は違いますが、勤続すれば順調に昇給できるシステムは魅力的でしょう。また、勤続年数が上がれば、役職も上がるのが一般的です。ただし自治体によっては、役職に就くための昇任試験を実施しているところもあります。
4. 手当てが充実している
公務員の給料には、職務内容や勤務地の環境、職責、そのほかの個々の事情に応じて、さまざまな種類の手当てが加算されます。民間企業でも支給されることが多い扶養手当やボーナスにあたる期末手当・勤勉手当のほか、次のような手当の種類があります。
- 寒冷地手当
- 管理職手当
- 通勤手当
- 時間外勤務手当
- 宿日直手当
- 特殊勤務手当
- 住居手当
- 管理職員特別勤務手当
- 児童手当
- 退職手当
細やかに手当について規定されていることで、個々の仕事の内容や事情に見合う報酬が得られます。
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町村役場職員になる仕事面のメリット
町村役場の職員になるメリットは、待遇面だけでなく、仕事面にもあります。具体的なメリットは、次のようなものです。
- 職員数が少なく縦割りが比較的緩やか
- 幅広い仕事を経験できる
- 地域に貢献している実感を持てる
それぞれのメリットを詳しくみてみましょう。
1. 職員数が少ないため縦割りが緩やか
町村役場は、市役所など規模の大きな自治体の役所と比べると、少ない職員数で運営されている場合が多いです。そのため、組織の役職数が少なく、縦割り体制が比較的緩やかなケースがあるようです。
上長やほかの部署の管理者の決裁を仰がなければならないような場合に、間に挟む人数が少なくて済むことは、調整がスムーズであるという利点につながります。
2. 幅広い仕事を経験できる
地方公務員の事務職は、さまざまな部署への転属を繰り返して、幅広い業務に従事するのが一般的です。また、町村役場は市役所などと比べると人数規模が小さいことが多く、複数の業務を兼務することもよくあります。
多様な業務に並行して携わる機会を得られることで、1つのことだけでなく幅広い分野の知識や技能、臨機応変に立ち回れる能力が身に付けられるでしょう。とくに、スペシャリストとして活躍するよりも、ジェネラリストとして成長したい人にとっては、メリットのある仕事環境だといえます。
3. 地域に貢献している実感を持てる
町役場や村役場の職員の仕事は、地域住民の暮らしやすさや地域の再生・発展に関わるものが多く、業務を通じて「地域に貢献している」という実感を得られます。自治体の規模が小さい分地域住民と密接に関わる機会も多く、地域の人からの感謝の言葉でやりがいを感じられる場面も多々あるでしょう。
自分の業務が町づくりや村づくり、地域の人たちの快適な暮らしに直結している環境は、仕事のやりがいにもつながります。
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町村役場職員になるデメリット
町村役場職員には、公務員ゆえのメリットや、規模が小さい自治体の職員ならではのメリットがありますが、反面、デメリットもあります。町村役場職員を目指す際には、メリットも意識してよく検討しましょう。
主なデメリットは、次の2つです。
- 担当しなければならない業務が多い傾向がある
- 給料は地方公務員としては高くない
それぞれのデメリットを詳しくみてみましょう。
1. 担当業務が多い傾向がある
メリットの裏返しですが、町役場や村役場は職員数が少ないことが多く、1人が担当する業務の種類や量が多くなりがちです。市役所では複数人で担当するような業務を、1人がすべてこなすといったケースもあります。
また、予算も規模が大きい自治体ほど潤沢ではないために、市役所では外注するような編集作業なども、内製で済ませなければならない場合もあります。。そのため、職員一人ひとりの負担が、重くなる可能性があります。
2. 給料がそれほど高くない
町村役場の職員は安定した昇給が見込めますが、年収は地方公務員としてはあまり高いとはいえません。
「令和2年4月1日地方公務員給与実態調査」によると、町村役場の事務職にあたる「一般行政職」の平均給与月額は約35万円で、全地方公共団体の一般行政職の平均給与月額約40万円を、大きく下回っています。
また、町村役場職員のボーナスにあたる期末手当、勤勉手当の年間平均額は約147万円なので、平均年収は「35万円×12か月+147万円=567万円」です。これは日本の民間企業に勤める給与所得者の平均年収よりはかなり高いものの、全地方公共団体や都道府県、市の平均額と比べると低い数字です。
町村役場職員には小規模自治体ならではのメリットあり
町村役場は、しっかりした福利厚生、安定した昇給、充実した手当など待遇面のメリットのほか、幅広い仕事を経験できる、地域に貢献している実感を持ちやすいといった仕事のやりがいもありそうです。
規模が小さいからこそ、実現できることもあります。