↓ 本記事の内容をざっくり4分で解説しています ↓
2018年度より、公務員採用試験において実施されていた教養試験が「新教養試験」として生まれ変わりました。
新教養試験は3つの区分に分けられており、従来の教養試験よりも幅広い層の人が柔軟に受験できる特徴を有しています。
本記事では、新教養試験変更の目的とメリットや具体的な出題傾向について、詳しく解説いたします。これから公務員を目指す方や公務員試験の受験を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
※新教養試験のうち、Lightタイプは令和5年度に廃止され、現在は新たにBESTが導入されています。詳細は「4月から導入「BEST」対策ならこの問題集!「試験範囲が分からない」を解決!公務員試験新傾向BESTを解説」をご覧ください。
新教養試験とは
従来の教養試験は、地方公共団体に勤める公務員を対象に、職務遂行能力を測るものとしておこなわれていました。
しかし昨今の社会変容の中、公務員は地域住民のさまざまなニーズに幅広く対応するため、より高い能力を持った人材が求められるようになってきています。
地域住民のニーズを満たすため、教養試験は「新教養試験」として生まれ変わりました。教養試験と新教養試験の一番大きな変更点として挙げられるのは、区分(難易度)による受験資格の変更です。
教養試験は、受験できる区分が学歴で画一的に分けられていました。そのため、学歴が受験資格を満たさない場合、能力があっても適した区分を受験できなかったのです。同時に、人材を求める地方公共団体側は、学歴が受験資格を満たさないものの能力がある人材に気付きにくく、採用に至らなかったという一面がありました。
新教養試験では、学歴による区分を撤廃し受験資格の幅を広げました。その結果、以下のようなメリットが生まれています。
- 学歴による区分を撤廃したため、より多くの人々が受験しやすくなっている
- 公務員試験に向けた準備をしていない民間企業志望者も、併願で受験しやすくなった
- 標準タイプの「StandardⅠ・Ⅱ」、知能重視の「Logical・Ⅱ」、基礎力重視の「Light(2024年度廃止)」の3区分にカテゴリ分けすることにより、受験者や採用側の各団体の選択幅を増やした
学歴ではなく出題内容によって分けられたため、受験者は各自の能力に応じた区分での受験が可能になりました。これは、多くの受験希望者にとってメリットだといえるでしょう。
また、各自治体の事情や求める能力に適した人材を確保しやすくなったことも、大きなメリットです。
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新教養試験の区分と出題範囲
新教養試験は、区分ごとに出題傾向や範囲が異なっています。
StandardⅠ・Ⅱ(標準タイプ)
3つの区分の中、従来の教養試験ともっとも類似性のある区分です。
StandardⅠの難易度は、従来の教養試験の「大学卒業程度」です。一方、StandardⅡは「高校・高専卒業~短大・大学卒業程度」と同程度にあたります。
出題傾向としては、Ⅰ・Ⅱともに時事問題が重視されている点に特徴があります。非常に幅広い範囲からの出題となっており、知識分野が20題、知能分野が20題の全40題で構成されています。
知識分野は、「時事・社会・人文・自然に関する一般知識」、知能分野は「文章理解・資料解釈・数的推理および判断推理」が出題されます。
StandardⅠ・Ⅱでは、時事問題が重要なポイントになってきます。
ICT、環境問題、社会保障など、広いジャンルでの知識が必要であることは間違いないでしょう。参考書だけではなく、普段から新聞やテレビ・ネットニュースを活用して積極的に情報収集することを意識してください。
また、従来の教養試験では出題されていた古文・哲学・文学・芸術・国語(漢字の読みやことわざ)は撤廃されました。
日本史・世界史・地理は、各分野で1問ずつ出題されます。
LogicalⅠ・Ⅱ(知能重視タイプ)
知識よりも、論理的思考能力を重視する区分です。出題は知能分野が27題、知識分野が13題となっており、幅広い範囲からの出題です。
LogicalⅠの難易度は従来の教養試験の「大学卒業程度」、LogicalⅡは「高校・高専卒業~短大・大学卒業程度」にあたります。
知能分野の出題においては、Standardよりも「文章理解・資料解釈・数的推理および判断推理」が多く出題されています。一方、知識分野における「時事・社会・人文」は、Standardよりも少ない出題数となっており、知能分野を重視した区分であることが分かる一面です。
特筆すべきは、「自然に関する一般知識」の出題がない点です。さらに、Standardと同じく、古文・哲学・文学・芸術・国語(漢字の読みやことわざ)も出題されません。
Standardと共通する部分が多いLogicalですが、対策を立てるときにはこの点を注意しておきましょう。
Light(基礎力タイプ)
※Lightタイプは令和5年度に廃止され、現在は新たにBESTが導入されています。詳細は「4月から導入「BEST」対策ならこの問題集!「試験範囲が分からない」を解決!公務員試験新傾向BESTを解説」をご覧ください。
Standard、Logicalと異なり、LightはⅠ・Ⅱなどに分かれていない区分です。こちらはその他の2区分と比較すると、より幅広い人が受験しやすい性質を持っています。
従来の教養試験からすると、基礎的な能力・常識が重視されており、公務員試験に照準を絞った勉強をしていない、併願として民間企業への就職も考えている人が受けやすい区分といえるでしょう。
試験では「社会への関心(24題)」「言語的な能力(18題)」「論理的な思考力(18題)」の合計60問に臨みます。職種にかかわらず人物面を重視し、知的能力の基礎を確認しておきたいと考える自治体で注目される試験内容です。また、Light単独での試験だけではなく、専門試験や検査、面接試験と組み合わせておこなわれるケースもあります。
Lightは他の2つの区分よりは難易度が低いのですが、出題数が60題とやや多めです。試験時間は75分ですので、正確かつスピーディーな回答が求められます。
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合格点の基準は?
試験を受ける上で気になるのが、合格するためには何点取ればいいのかという点です。点数については明確な指標がないため、確実なボーダーラインは分かりませんが、ある程度の目安をおさえておくだけでも目標が分かりやすくなります。
目安は6~7割
自治体や受験者のレベルにも左右されますが、StandardやLogicalの試験だと合格点の目安は全体の6~7割とされています。
過去問や対策問題集で7割以上の点数を取れているのであれば、筆記試験で合格になる可能性が高いと言えるでしょう。
ただし、問題によって得意不得意があるため、1つの問題で7割を取れたからと言って安心できるわけではありません。様々な問題で安定して点数を取れることが重要です。
また、StandardやLogicalよりも難易度が低いLightだと、やや合格ラインが上がり、7割前後がボーダーラインとなることが考えられます。Lightの場合は試験時間もネックになり、問題を解ききれずに残りのすべてが不正答となった場合、合格はかなり厳しくなるでしょう。事前に問題を解いてスピード感に慣れておく必要があります。
合格点を取れたら安心?
筆記試験にはある程度の合格点の目安がありますが、これをクリアすれば安心と言えるのでしょうか。
結論から言うと、安心することは全くできません。少し話したように、あくまで合格点は目安であり、他の受験者との相対評価になります。実際の試験では合格点が通常より高くなる場合も当然あり得ます。
また、対策をおろそかにしたあまり、当日の緊張で力を出せないという可能性もあります。筆記試験の対策では油断が大敵ですので、合格点を取れたから勉強をやめることはないようにしましょう。
自分の受ける自治体ではどの試験が出る?
新教養試験では、大別するとStandard、Logical、Lightの3種類があります。それに加えて、StandardとLogicalではⅠとⅡがあり、合計で5種類があることになります。
実際に受験する自治体を決めるときに、それぞれの自治体でどの試験が出題されるかは当然気になると思います。
新教養試験のどの試験が出題されるかは、自治体から公表されません。ただし、過去の出題からどの問題になるかを予想することはできます。その年から変更になる可能性もありますが、大きく変更することはないでしょう。
【公務員試験の独学での勉強法はこちら】
公務員試験に独学で合格を目指すためには、効率の良い勉強法が必須と言えます。勉強法のコツや独学のメリットについて、詳しく解説します。
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傾向を掴み的確な対策を
従来の教養試験から新教養試験となったのは、2018年度です。そのため、過去の問題傾向や情報、取り扱っている参考書などが少なく、自力だけでは対策が難しい一面を持っています。
しかし、新教養試験は従来の教養試験と共通する部分も多く、的確な対策を立てれば良い結果に繋げられる可能性は高いでしょう。自分が目標とする区分の過去問から傾向を踏まえ、的確な対策を立てて試験に挑んでください。