町村役場で働く地方公務員は、一般的に地元出身者の採用率が高いというイメージがありますが、中には今まで在住したことのない地域の町村に魅力を感じ、町村役場職員として働いてみたいと考える方もいるでしょう。
出身地以外の町村役場への採用を目指す方の中には、縁もゆかりもない地域の自治体で採用試験を受けてもいいのか、地元の受験者が優遇されるのではないか、不安に思う方もいるはずです。今回は、出身地以外の町村役場への採用についてご紹介します。
出身以外の町村役場でも就職できる
町村役場の採用条件には出身地が含まれないため、自分が出身した地域以外の町村役場への就職を目指すことは可能です。一般的に町村役場職員として採用されるには、地方公務員試験に合格する必要があります。
地方公務員の採用試験では、筆記試験に加え面接試験も点数化され、高い点数を獲得した人から合格となります。そのため出身地に関係なく、筆記試験や面接試験でしっかりと結果を出すことにより、町村役場の職員として働くことが可能です。
出身以外は不利にはならないが採用側が心配する点も
町村役場職員は出身地に関係なく、公平な採点により採用が決定されます。しかし、採用する側としてはその土地に馴染みがないという点から、「採用後に辞退しないか」「採用してもすぐに辞めてしまわないか」など心配する点があるのも事実です。
町村役場職員に限らず、一般企業への就職でも同じことがいえますが、採用する側の不安を和らげるために、なぜその土地の町村役場で働きたいのかを、志望動機として熱意を持って伝えることが大切です。
町村役場の福利厚生に関しては、当ブログの「町村役場の福利厚生の内容は?休日や手当など働きやすさを調査」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。
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志望動機に説得力を持たせることが大切
採用試験では必ずといっていいほど志望動機を聞かれます。特に、出身以外の町村役場を受験する場合、「なぜ地元ではなくこの町を選んだのか」について採用する側が気になるポイントです。
縁もゆかりもない地域からの応募は、地方自治体の場合は地元の志願者よりも目立ちやすい傾向にあります。だからこそ、説得力のある志望動機でアピールすることが大切です。
受験する地域への理解を深めることがポイント
説得力のある志望動機を考えるためには、自治体の情報を調べておく必要があります。自治体独自の政策や、人口構成、地理の特徴、特産品など、その自治体ならではの情報を調べることにより、ほかの自治体ではなくこの自治体を選んだ理由を明確に伝えることができるためです。
ホームページなどから情報を調べることも可能ですが、実際に足を運んでみるのも志望動機に説得力を持たせるには有効です。調べた情報を自分の目で確認することで、より具体的で説得力のある志望動機になります。
地元出身ではないからこそ客観的な意見を述べられるのが強みになるため、政策や特色などを事前にしっかりと調べ、地元からの応募者と差別化を図りましょう。
志望動機の例
「なぜこの町を選んだのか」を伝えられる志望動機の例を紹介します。
- 「政策を拝見して、〇〇に力を入れられていると感じました。私は〇〇関係の知識があるため、その知識を活かせると感じ志望しました。」
- 「大学の講義で、この土地の方々にインタビューする機会がありました。そのとき、とても親切に接してもらえたことで、この土地が好きになり、将来はこの土地で貢献できる仕事をしたいと思いました」
このように、地元出身以外でもその自治体に貢献したいという思いをアピールすることが大切です。
町村役場の職員になるには?
町村役場職員になるためには、各自治体が実施する公務員試験の合格が必要になります。基本的には一次試験として筆記試験を行い、二次試験として面接試験が実施されることが多いです。試験に合格するためには、しっかりと対策をしておきましょう。
公務員試験の区分
町村役場の職員といっても、多種多様な業種があるため、採用試験でも業種や学歴により区分がされています。代表的な区分は次のとおりです。
- 一般行政職
- 消防職
- 専門職(保育士、社会福祉士、保健師、水道技術管理者など)
一般行政職ではさらに「上級」「中級」「初級」に分かれており、上級は大卒程度、中級は短大・専門学校卒程度、初級は高卒程度となっています。町村役場では「初級」しか募集を行わないこともあり、その際には大卒と高卒が一緒に採用試験にのぞむことになります。
試験内容について
公務員試験では、職種にかかわらず教養科目の試験が必須となっています。町村役場の採用試験でも次のような科目が一次試験として実施されるので、事前に確認しておきましょう。れます。
受験科目 | 科目詳細 |
数的処理 | 判断推理、数的推理、資料解釈 |
文章理解 | 現代文、英文、古文 |
人文科学 | 日本史、世界史、地理、文芸・芸術、思想 |
自然科学 | 数学、物理、化学、生物、地学 |
社会科学 | 政治、経済、法律、時事(社会) |
一般的には多岐選択型で出題されることが多いです。教養科目に加えて、職場適応性試験も実施される場合が多くあります。
面接対策もしっかりと
二次試験では面接が実施されますが、一般企業の入社試験で実施される面接試験と同様に、当日面接官にしっかりアピールするためには事前の対策が重要です。面接で頻出する質問や回答例などをまとめ、面接対策を入念に行いましょう。
受験者が多い場合は集団面接が実施されることもあります。回答する順番は挙手制や指名制、端から順番になど、さまざまなパターンがありますが、ほかの受験者と答えが被っても慌てることなく、自分のペースで回答できるように心掛けるといいでしょう。
また、面接では、事前に提出したエントリーシートや面接カードをもとに質問されることが多いため、答えに相違がないよう覚えておきましょう。
町村役場が求める人物像は?
多くの町村役場は、次のようなポイントを持った、共通した人材像の受験生を求めています。
1.地域への貢献意識
地域住民の生活を支える役割を果たすため、地域への強い貢献意識を持っていることを重要視しています。地元の課題に対して積極的に取り組む姿勢が求められます。
2.協調性とコミュニケーション能力
町村役場の業務はチームで行うことが多いため、他の職員や住民と良好な関係を築くための協調性とコミュニケーション能力が重視されます。
3.誠実さと責任感
公務員としての誠実さと責任感は非常に重要です。住民の信頼を得るために、日々の業務に対して真摯に取り組む姿勢が求められています。
4.専門知識と技術
技術職や福祉職といった職種の場合では、より高度なサービスを提供するために、専門的な知識や技術が求められています。
これらのポイントを踏まえて、先ほどの面接の受け答えも考えていきましょう。
町村役場の公式サイトで採用試験情報をチェックしよう
採用試験の日程や受験資格、採用情報などは自治体によって情報が異なるため、受験する町村役場の公式サイトなどで採用情報を調べておくことが大切です。
また、町村役場では都道府県庁や市役所とは異なり、採用人数の見通しを立てるのが難しいという実情があります。そのため、採用試験は必ず毎年開催されるとは限らないため、こまめに町村役場の採用情報を確認しておくようにしましょう。
具町役場と市役所、仕事内容に関しては、当ブログの「町役場と市役所、仕事内容を徹底比較!どちらが向いているかを確認しよう」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。
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町村役場職員の仕事は?
町村役場では都市部よりも地域住民に密接した行政サービスを提供しているため、住民と直接的にかかわることが多い仕事です。ここでは多岐にわたる町村役場職員の代表的な仕事内容を紹介します。
町村民の生活に関係する基礎手続
町村民が生活するための住民登録や、結婚や子どもの誕生などの各種届出の受付、戸籍や住民票など証明書の発行などを行います。自治体により基礎手続きの名称は異なりますが、以下のように細かく担当分けされています。
- 戸籍係
- 保険年金係
- 住民生活係
主に窓口業務になるため、住民と直接ふれあう機会が多く、ときには行政について厳しい意見を聞く場合もありますが、やりがいにつながる感謝の言葉を聞けるのも特徴です。
子どもや高齢者の福祉支援
町村民が安心して生活するために、生活福祉に関する次のような業務を行っています。
福祉係名 | 業務の詳細 |
高齢者福祉係 | 介護保険事業、ケアマネジャーの研修、相談会の運営など |
傷がい福祉係 | 傷がい者手帳の申請、生活や就労の支援、各種手当の申請など |
児童福祉係 | 保育士の育成、保育所の運営、母子家庭支援、不妊治療の助成金など |
ボランティアとして活動する民生委員や児童委員とも深く関わりがあります。
政策立案や財政の管理
町村職員はまちづくりの政策立案にもかかわります。住民の声に耳を傾けるために、アンケートや懇談会を行ったり、町村がかかえる事業について住民に説明をしたりするのも役割のひとつです。町村役場の財政管理や予算編成、執行管理も重要な仕事となっています。
広報誌やパンフレットの作成
広報紙や職員採用のパンフレットを作成するなど、町村役場から情報を発信する仕事です。さまざまな部署との関わる機会が豊富なため、コミュニケーション能力が求められます。
イベント時には写真撮影や編集作業なども行うため、画像加工や編集、デザインなどのスキルが求められることもあるようです。
住み続ける覚悟をもって就職を目指そう
町村役場の職員として働くためには、地方公務員として採用試験に合格する必要があります。しかし受験資格には出身地が限定されていないため、縁もゆかりもない土地でも自分が気に入った地域で働けるという選択肢が広がります。
一方で採用されたら、その土地で新しく生活をはじめる必要があるため、住み続ける覚悟を持つことが大切です。地域に貢献したいという気持ちを持って、出身地以外の町村役場職員を目指しましょう。