国立大学法人等職員採用試験を受験するにあたって、避けて通れないのが「面接試験」。近年は人物重視する自治体が増えているため、面接試験は合否を大きく左右する重要な試験です。
早速ですが、必勝法はズバリ「面接官の視点に立って回答を考えること」です。自分で見つめた自分と、他者に見えてる自分は異なるので、この必勝法を使えば、自ずと面接官に好印象を与える内容を作成できます。
この記事は、上記の必勝法を頭に浮かべていただきながら読むことをお勧めします。国立大学法人等職員採用試験 二次試験の面接の難易度や面接カードの傾向、面接の質問例、立ち振る舞いのポイントなどを徹底解説します。
国立大学法人等職員採用試験の内容
国立大学法人等職員採用試験は、全国を北海道、東北、関東甲信越、近畿、東海・北陸、中国・四国、九州の7地区に分けて実施される試験です。一次試験では統一筆記試験が行われ、合格すると各地区内の国立大学などの機関で二次試験を受験する資格が得られます。
試験の段階に合わせて、それぞれしっかりと対策して試験に臨むことが大切です。一次試験、二次試験のおおよその内容は、以下のとおりです。
一次試験:教養試験
一次試験は大学卒業程度の多肢選択式筆記試験で、出題内容は全地区共通です。令和4年度試験では、以下のような分野から計40問が出題されました。
- 一般知識(社会7問・人文7問・自然6問
- 一般知能(文章理解7問・判断推理8問・数的推理及び資料解釈5問)
多肢選択式のため、それほど深掘りした勉強は必要ないと考えられます。参考書や過去問題集を繰り返し解いて、出題傾向に合わせて知識や解法を身に付けておきましょう。
二次試験:面接試験など
二次試験は、各国立大学・機関が独自の内容で実施するものです。多くの大学が試験内容として面接を採用しています。
面接の形式(集団面接、個別面接、集団討論など)や実施回数などは機関によって異なるため、受験する機関の試験要項や過去の傾向を確認したうえで対策をとる必要があるでしょう。自身で対策するのが不安な場合は、面接対策を行っている予備校や専門講座などを利用するのもひとつの方法です。
なお、各国立大学・機関ごとにエントリーや試験の日程が異なるため、受験を希望する機関の応募要項をチェックして、エントリーし忘れることがないよう注意しましょう。
面接の合格難易度は高い?
国立大学法人等職員採用試験の面接に挑むにあたって、難易度がどれほどなのかは気になるポイントでしょう。二次試験は各機関ごとに行われるため一概にはいえませんが、一次試験の倍率と比べると、面接を含む二次試験の倍率は非常に高くなる傾向があります。
そのため、国立大学法人等職員採用試験の面接の難易度は、決して易しくないといわざるを得ません。面接こそが試験の本番であるといっても過言ではないでしょう。
例えば、令和4年度の関東甲信越地区国立大学法人等職員採用試験(事務区分)では、一次試験の受験者5,122人、合格者1,981人、倍率2.6倍だったのに対し、二次試験の採用予定数は国立大学法人・特別な学校法人で184名でした。仮に一次試験合格者全員が二次試験を受験したとすると、倍率は10倍以上にもなる計算です。
このような狭き門を無事にくぐるには、念入りな面接対策が不可欠です。受験する機関の質問傾向や最新の業界情報などのポイントを押さえて焦らずに対策すれば、合格できる実力が必ず身に付くはずです。
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事前に面接カードを提出させる大学は多数
実は、国立大学法人等職員採用試験の面接は、エントリー時にはすでに始まっています。なぜなら、「面接カード」「面接調書」などの名称で、あらかじめ質問事項を記載したシートを配布し、記入して提出させる大学が多数あるためです。
面接カードの提出がある機関では、カードの記入内容をもとに面接時の質問が行われると想定されます。記入時に内容を綿密に練り、自分の言葉でしっかりとかみ砕いておかなければ、記入内容と回答に齟齬が生じたり、言葉につまったりする可能性があるため注意が必要です。
各機関の面接カードの内容例
国立大学やその他機関の、実際の面接カードの主な内容を表にまとめました。
国立大学・機関名 | 面接カードの主な内容 |
熊本大学 | ・志望動機 ・専攻について ・課外活動等について ・趣味・特技について ・長所 ・希望部署 ・ほかの就職希望先、受験予定 |
和歌山大学 | ・得意な学科・外国語等 ・趣味・特技 ・好きなスポーツ ・健康状態 ・セールスポイント ・志望動機 ・ボランティア活動歴 ・ほかの機関や公務員試験の受験状況 |
鳴門教育大学 | ・ほかの機関や公務員試験の受験状況 |
岐阜大学・名古屋大学 | ・ほかの機関や公務員試験の受験状況、就職試験の状況 ・各受験先の志望順位 |
大学入試センター | ・志望理由 ・自己PR ・大学で学んだこと ・ほかの機関の受験状況 |
人間文化研究機構 | ・長所・短所 ・得意な学科 ・得意なスポーツ ・趣味・特技 ・外国語会話能力・留学経験 ・志望理由 ・「社会で働く」ということについての考え ・ほかの機関や公務員試験の受験状況 ・希望職種 ・健康状態 |
以上を見て分かる通り、国立大学・機関によって、面接カードの内容や項目の数には差があります。多くの国立大学・機関が志望動機の記入を求めているほか、ほかの機関や公務員試験、民間企業などの受験状況について問うケースが多いのも特徴です。
面接カードの書き方のポイント
「どうせ面接で話すのに」と面接カードの記入を面倒に思われるかもしれません。しかし、面接カードは面接時の質問・回答の土台となるため、しっかり内容を練ることが大切です。各項目から「相手が何を評価しようとしているのか」「どのような質問がなされるのか」を想像して、掘り下げた質問をされても困らないような回答作りをする必要があるでしょう。
嘘を書く必要はありませんが、国立大学法人等職員の職務や各国立大学・機関が求める職員像を理解し、アピールの内容を寄せていくことも必要です。また、次のポイントを押さえると記入内容に説得力が生まれ、好印象を与えられます。
- 具体的なエピソードを交える
- 内容に一貫性をもたせる
- 読みやすい文章を意識する
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面接でよく聞かれる質問4選
国立大学法人等職員採用試験の面接で、面接官は受験者の「人柄」「職場への適正」「職務への熱意」「期待できる働き」などを知りたいと思っています。される可能性がある質問に対して、面接官が知りたいと思っている内容をアピールできる回答を用意しておくことが、面接に成功するための基本です。
ここでは、国立大学法人等職員採用試験の面接で尋ねられることが多い質問をピックアップし、回答のポイントをまとめました。
本学(機関)を志望した理由は何ですか?
志望度を測る意図があり、深掘りされることも多い質問です。ほかの大学や機関と名前を入れ替えても問題ないような、当たり障りのない回答は、アピール度が低いため避けましょう。
大切なのは「ここでなければならない」という意志を具体的に伝えることです。「大学の理念や方針に共感した」などのありきたりに思える回答でも、なぜ共感したのかまでしっかり話すことで、説得力のある受け答えになります。
本学(機関)でどのような仕事をやりたいですか?
就職後のビジョンについて確認する質問です。純粋にやりたいと考える仕事を、理由とともに伝えましょう。前職がある場合は、前職の経験を生かしてどのような貢献ができるのかをアピールすると効果的です。
ただし、一つの仕事を極めたいということを強くアピールしすぎると、配置しにくい人材という印象を与える可能性があります。「さまざまな経験を積んで必要とされる人材になることを目指す」といった内容を加えるとよいでしょう。
あなたの長所・短所を教えてください
自己分析ができているかどうかを見る質問です。長所に関してはその大学・機関が求める人材と重なる部分をアピールできるチャンスです。自分の長所から大学・機関が求める職員像に近いものを選び、裏付けとなるエピソードを添えるとよいでしょう。
短所に関しては、大学・機関が求める人材としてマイナス評価になるような短所は避け、ほかの短所を取り上げるのが無難です。改善のために対策していることを併せて話すとよいでしょう。
何か質問はありますか?
国立大学法人等職員採用試験の面接では、いわゆる逆質問もよくあるパターンです。大学や職務への興味関心、意欲などをアピールできる、次のような質問が好印象を残しやすくなります。
- 今後の経営方針に関する質問
- 希望部署の人員構成、業務内容に関する質問
- 機関が抱える課題に関する質問
特にないと答えたり、給与や待遇など募集要項から分かる内容を質問したりするのは、印象を下げる可能性があるため避けましょう。
面接では第一印象も大切
見た目や立ち振る舞いが面接官に与える印象は、どうしても評価に影響します。次のような点を意識して、印象アップを心がけましょう。
- 口角を上げる
- 明るくはっきりしたトーンで話す
- 清潔感のある身だしなみを心がける
口角を上げると、明るく自信がある顔の印象になります。さらに明るくハキハキと話すことで、面接官は話の内容を聞き取りやすくなるでしょう。
身だしなみに関しては、ボサボサの髪や伸びた爪、シワや汚れの付いた服など、不潔な印象を与えるものはNGです。夏に試験が行われるために、服装はクールビズスタイルを指定されることが多いですが、ラフになりすぎないように注意しましょう。
「いい嘘」ならついても良い?
面接試験で嘘をつくことは、たとえ「いい嘘」であっても、絶対に避けるべきです。
特に公務員試験や職場でのコミュニケーションにおいては、誠実さと信頼性が非常に重要です。嘘をつくことで試験自体は乗り切ることができるかもしれませんが、長期的には信頼を失うリスクがあります。
面接中にもリスクはあります。面接官は、経験やスキルを詳しく尋ねたり、実際のエピソードを掘り下げたりすることがあります。ここで嘘がバレる可能性が高く、逆に不自然な回答や曖昧な説明で評価が下がってしまうことがあります。
自分を良く見せようとして嘘をつくのではなく、過去の経験や自己分析を通して、正直かつ自分の強みをしっかり伝えることが成功への鍵となるでしょう。
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面接は早めに入念な対策を
面接カードの記入時や面接の事前対策時には、受験する国立大学・機関が求める人材を研究したうえで、想定される質問に対してプラスのアピールができる回答をしっかりと用意することが大切です。倍率の高さから不安になってしまうかもしれませんが、適切な対策を重ねて自信を持って挑めば、合格に手が届くでしょう。