国立大学法人等職員は公務員と違う?仕事内容や採用試験の概要を解説

国立大学法人仕事のやりがい 向いてる人の特徴とは?

国立大学法人等の仕事に興味がある方のなかには、どのような機関で、職員はどのような仕事をしているのかよく知らない、という方もいるのではないでしょうか。国立大学法人等は、公務員ではないものの、公的な役割や半民半官のような運営体系がある機関です。今回は、国立大学法人等の概要や特徴、採用試験の内容、仕事内容や向いている人についてご紹介します。

国立大学法人等とは?

ブロックで大学の文字を作る

「国立大学法人等」とは、国立大学、大学共同利用機関、独立行政法人などの機関の総称です。

国立大学は従来、文部科学省の内部組織でした。しかし、行政のルールに従っての運営は縛りが多く、運営の柔軟性に欠ける点が問題視されてきました。そのため、国立大学などの各機関が特色ある研究や教育に柔軟に取り組めるよう、2016年4月に、国立大学の法人化が行われたのです。そうして生まれたのが「国立大学法人」です。

国立大学法人は、財政的な責任は従来のように国が責任を持ちつつ、大学組織による自主的な運営が可能な半民半官のようなスタイルが特徴。大学による裁量が柔軟になったぶん、学術研究の活性化や教育機能やサービスの改善・強化、産学連携や地域貢献活動への注力など、多彩で積極的な取り組みが行われています。

国立大学法人等の等ってどういう意味?

「国立大学等」という場合には、国立大学法人に加えて、「国立大学法人等職員採用試験」を通じて職員の採用を行うすべての機関を含みます。国立大学法人等職員採用試験とは、それまで国立大学の職員採用に用いられていた国家公務員試験に代わって、法人化を期に新設された統一筆記試験です。

国立大学法人等に分類される機関には、次のようなものがあります。

大学共同利用機関

自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構、人間文化研究機構、情報・システム研究機構が設置した、日本を代表する中核的研究拠点。大型の実験観測施設や装置の開発、情報・資料センターの整備、およびこれらを利用した共同研究により、高度な教育や研究者育成に取り組む機関です。

独立行政法人

国が直に行っていた公共事業や事務を計画的・効率的に運営することで、より良い行政サービスを提供することを目的とする機関です。

独立行政法人国立高等専門学校機構(高専)

中学校卒業生を受け入れ、実践的技術者を養成するために5年間の一貫教育を行う高等教育機関です。

特別な学校法人

法律にもとづく特別な学校法人「放送大学学園」による大学です。 国立大学法人等に属する機関は2021年現在、全国に208機関あります。

【公務員試験サクセス】

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国立大学法人の仕事と特徴

使用する文房具セット

上でも触れたように、「国立大学法人等職員採用試験」という統一試験を通して職員の採用を行う点が、国立大学法人等の大きな特徴です。採用試験は「事務系」「技術系」に大別され、さらに専門分野によって次のように分類されます。

【事務系】

  • 事務
  • 図書

【技術系】

  • 電気
  • 機械
  • 土木
  • 建築
  • 化学
  • 物理
  • 電子・情報
  • 資源工学
  • 農学
  • 林学
  • 生物・生命科学

これらの分類によって従事する仕事の内容はおおよそ決まっていますが、所属する機関の事業内容や規模、設置目的などによって、詳細な業務は異なります。

以下で、国立大学法人等職員の主な仕事を、区分別にみていきましょう。

事務系の仕事内容

事務系のなかでも「事務」区分の仕事は、主に各機関の運営や経営に関するものです。仕事内容には、次のようなものがあります。

  • 学生の学業や生活、就職などに関するサポート
  • 研究に関わる助成や産学官連携推進のサポート
  • 知的財産の管理
  • 国際交流の推進や支援
  • 事務業務の総括
  • 人事
  • 組織運営に関わる財務の計画および管理
  • 機関の活動に関する広報や社会連携

「図書」区分の仕事はもう少し専門性が高く、機関に属する図書館や図書室などの管理や運営が主な業務です。資料の選定や管理、利用者のサポートなどを行い、学習・教育・研究活動に寄与します。

技術系の仕事内容

技術系の仕事は大きく「施設系技術職員」と「教育・研究支援系技術職員」に分かれています。

施設系技術職員の仕事は、施設の計画や維持です。計画や設計のほか、工事の発注や監督、維持保全にいたるまでを、一貫して行います。施設系の業務に携わるのは、電気、機械、土木、建築の区分の採用者です。

教育・研究支援系技術職員の仕事は、研究や実験、測定、分析、検査などの技術支援です。技術系のすべての区分の採用者が従事しており、専門分野の知識や技術を活かして、学生や研究者のサポートを行います。

【国立大学法人職員採用試験の詳細はこちら】

国立大学法人等の職員になるために、まずは採用試験の内容を知っておく必要があります。職員の仕事内容なども合わせて、詳細に解説します。

民間企業と国立大学法人等の違い

国立大学等の法人化にともなって、国立大学法人等で働く職員の身分は、公務員から民間の従業員に変化しました。しかし、国立大学法人等の役割には、教育や研究、地域貢献などの取り組みを通じて、社会発展に貢献するという公的な側面があります。また、運営資金の一部は、国からの交付金です。

そのため、100%民間企業と同様の体制ではなく、官民両方の長所を取り合わせた制度のもとで運営が行われている点が、国立大学法人等と民間企業の最大の違いといえるでしょう。


国立大学法人等の採用試験

国立大学法人等職員採用試験は、日本全国を北海道、東北、関東甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州の7地区に分けて、一斉に実施されます。

以下で、試験の内容や受験の条件、試験の日程をみていきましょう。

試験内容

国立大学法人等職員採用試験は、第一次試験の筆記試験と、第二次試験の面接・考査の2段階です。

第一次試験の筆記試験は次の2つに分かれており、合計40問、120分の試験です。

  • 一般知識(20問):社会、人文、自然
  • 一般知能(20問):文章理解、判断推理、数的推理および資料解釈

回答形式は選択式のマークシート。問題の難易度は大卒程度です。

第二次試験は受験先の機関で独自に実施されるため、試験内容もそれぞれ異なります。なお、図書区分の一次試験合格者は別途、図書系専門試験(筆記試験)を受ける必要があります。

試験条件

国立大学法人等職員採用試験の受験資格があるのは、試験翌年の4月1日時点で30歳未満の人です。令和3年度の受験資格があるのは平成3年4月2日以降に生まれた人ということになります。

しかし、年齢要件を満たしていても、以下に当てはまる場合は受験できません。

  • 禁固以上の刑の実行中または執行猶予中である
  • 2年以内に懲戒解雇などの処分を受けたことがある
  • 日本国内での活動に制限がある(外国籍の場合)

試験日程

国立大学法人等職員採用試験の受験受付期間は例年、5月中~下旬です。

第一次試験の実施日は例年、7月第一日曜に実施されます。合格発表は7月下旬で、その後各機関ごとの日程で第二次試験が行われます。

令和3年度の試験日程は以下のとおりです。

第一次試験日時:7月4日(日)10~12時
第一次試験合格発表:7月21日(水)9時30分
図書系専門試験:7月31日(土)

試験内容・判断推理に関しては、当ブログの「判断推理を得点源に!解法パターンの確立が合格率を左右する」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

国立大学法人に向いている人の特徴

テレワークする女性

国立大学法人等は、教育機関の運営や学生のサポートに関わる仕事が多く、職種によっては高い専門性が求められます。そのため、次のような人は国立大学法人等で働くのに向いているといえるでしょう。

  • 教育分野に関心がある
  • 専門知識を活かした仕事がしたい
  • 幅広く経験を積みたい人

以下で詳しくみていきましょう。

教育分野に関心がある人

教育現場の支援やサポートに興味関心がある人は、国立大学法人等の職員に向いているでしょう。

国立大学法人等の役割のひとつに、日本の学術研究と研究者育成の中心であることがあります。大学などの高等教育の現場にさまざまなかたちで携われるため、若い世代の教育を通して、社会の発展に寄与していることを実感できるはずです。

専門知識を活かした仕事がしたい人

国立大学法人等の仕事のうち技術系の分野は、専門的な知識や技術を生かせる業務が中心です。また、事務系のうち図書も、専門知識を活かして働ける職種だといえるでしょう。
国立大学法人等の採用試験には学歴の要件がないため、知識や技術はあるものの、学歴を有していない方にとっても、経験を生かせるチャンスとなる可能性があります。

幅広く経験を積みたい人

国立大学法人等職員のうち事務の仕事は、2~3年程度の周期で部署の異動があるため、学生支援や研究支援、財務、広報、人事、企画など、幅広い分野の業務に携われます。
多様な実務知識を身に付けたい方やさまざまな人と関わりたい方、変化にチャレンジするのが好きな方にとっては、非常にやりがいのある仕事だといえるでしょう。

国立大学法人等の職員はやりがいのある仕事

国立大学法人等は、国立大学をはじめとする、さまざまな高等教育機関や研究機関、行政法人からなっています。仕事内容は働く機関や専門分野によって異なりますが、教育や研究のサポート、機関の運営などに関わるものがほとんどです。業務を通じて研究者の育成や学術の推進、社会発展などに貢献できるため、非常にやりがいを感じられる仕事だといえるでしょう。


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