皆さんは様々な想いをもって、学校の先生になることを決意されたでしょう。
筆者には教員の友人が多くいるのですが、みんな志望動機は違えど、同じ夢に向かって全力で試験対策をする姿が輝いていたのをよく覚えています。教員採用試験は、対策範囲が膨大である上に、難易度や倍率が高く、しっかりとした対策が求められます。試験そのものを対策する前に、一番大事な行程が「情報収集」です。
試験の内容はもちろん、日程や条件、教員になるまでのスケジュールをしっかり把握しておかないと、正しい対策方法をとれず、効率の悪いやり方をしてしまいます。
そこで今回は、「これから教員を目指す」「教員が気になってるけど、どんな試験があるの?」という方に向けて、教員採用試験の試験の特徴や受験の条件、日程、教員になるまでのスケジュールを解説します。
教員採用試験とは?試験の特徴

教員になるための試験
教員採用試験とは、学校の教員になるために実施される試験です。広義では国公私立問わず教員として採用するために実施される試験を指しますが、一般的には公立学校の教員になるための試験を指します。
本記事でも、公立学校の教員になるための教員採用試験について解説します。
各自治体で実施される
公立学校の教員の身分は、各自治体で働く「地方公務員」です。そのため教員採用試験は、各自治体で実施されています。受験した自治体の教員採用試験に合格すれば、自治体の「採用候補者登録名簿」に登録され、公立学校の教員として働くことになります。
教員採用試験は通称で、文部科学省が用いている正式名称は「公立学校教員採用選考試験」です。さらに受験する自治体によって、以下のように名称が異なります。
- 公立学校教員採用候補者選考(東京都など)
- 公立学校教員採用選考テスト(大阪府)
- 公立学校教員採用選考考査(熊本県)
自治体や区分によって倍率が異なる
教員採用試験は、実施する自治体や受験する区分によって倍率が異なるのも特徴のひとつです。以下に文部科学省発表の「令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施状況」より最高・最低・平均倍率をまとめました。
自治体 | 採用倍率 |
神戸市 | 7.1(最高倍率) |
北九州市 | 2.1(最低倍率) |
全体平均 | 4.0 |
難易度が高い
教員採用試験は、以下の理由から難易度も高くなっています。
- 年に1度しかチャンスがない
- 同時に受けられる自治体が少ない
- ライバルが多い
一般企業への就職活動の場合は通年で募集をしている企業もあり、同業他社はもちろん業種を複数選べば、年に何回でも採用試験にチャレンジできます。一方教員採用試験は、臨時を除き、各自治体とも基本的に年1回のみです。
受験日の異なる自治体があれば複数の教員採用試験を受けることも可能ですが、近隣の自治体同士で同じ日程を組んでいることも多くあります。同時に受けられる自治体数は少ないため、おのずとチャンスも少なくなります。
教員採用試験は、受験者数そのものが多いだけでなく強力なライバルが多いのも特徴です。文部科学省発表の「令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施状況」の結果では、全体の受験者数の割合が新卒者31.5%だったのに対して、既卒者は68.5%でした。さらに非常勤を含む教職経験者の割合は、全体の52.0%と半数以上です。
全体的に、複数回教員採用試験に挑戦していたり非常勤から常勤を目指したりしている受験生が多いのも、教員採用試験の難易度が高い理由といえるでしょう。
教員採用試験の受験条件
教員採用試験を受験するには以下の定められた条件を満たさなければいけません。
- 年齢
- 教員免許の取得
- 欠格事項に該当しない
それぞれの条件について解説します。
年齢
教員採用試験は、原則満18歳以上でなければ受験できません。さらに、自治体によっては受験条件として年齢制限を設けている場合もあります。
文部科学省発表の「令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施方法」より、68県市を対象とした教員採用試験に年齢制限を設けている自治体数をまとめました。
年齢制限の上限 | 自治体数 |
年齢制限なし | 41 |
51~58歳 | 1 |
41~50歳 | 23 |
36~40歳 | 3 |
35歳以下 | 0 |
教員免許の取得
国公私立問わず、教員として働くためには学校の種類や教える科目ごとの教員免許が必要です。教員免許は教員になるまでに取得すれば良いわけではなく、教員採用試験の受験概要で定められた期日までに取得しなければいけません。
欠格事項に該当しない
「地方公務員法第16条」「学校教育法第11条」「平成11年改正前の民法」の欠格事項に該当する場合は、教員採用試験の受験資格が失われます。
おおまかな欠格事項に該当する要件を以下にまとめました。
- 禁錮以上の刑執行中、または執行猶予中、または執行終了後10年以内に罰金以上の刑を受ける
- 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受けて、2年を経過していない
- 政府を暴力で破壊すると主張する政党やその他の団体の結成または加入
- 教員免許状の効力を失い、3年を経過していない
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教員採用試験の試験内容

教員採用試験は、第一次選考(または第一次試験)と第二次選考(または第二次試験)に分かれて実施されます。それぞれの試験の内容を解説します。
第一次選考(試験)
第一次選考では、以下の筆記試験が実施されます。
試験科目 | 内容 |
教職教養 | 日本の教育の方向性や教育原理の知識を問う |
一般教養 | 高校まで勉強した内容や時事問題 |
専門教養 | 担当する科目に関する専門的な知識を問う |
論文 | あるテーマに対して論述を行う |
実施される試験の内容や範囲は、自治体によって異なります。
1次試験の結果は2次試験の受験資格を得るための基準となるだけでなく、最終合否の判断にも影響します。
つまり、1次試験での成績が良ければ、2次試験での評価と合わせて最終的な合否が決まる際にも有利になります。そのため、志望自治体の過去問や模試を解いて対策することが、初動でライバルに差をつけるカギとなります。
評価基準は自治体によって異なり、1次試験の点数が2次試験にそのまま加算される場合もあります。試験内容と合わせて、自治体の公式ページなどで確認しておきましょう。
第二次選考(試験)
第一次選考に合格すると、第二次選考に進みます。第二次選考では以下の試験が実施されます。
試験科目 | 試験内容 |
面接 | ・個人面接 ・集団面接 ・討論(グループディスカッション) ・模擬授業 |
実技 | 以下の受験区分に該当する場合、面接官の前で実技を披露する ・小学校教員 ・中学・高校の美術 ・中学・高校の保健体育 ・中学・高校の音楽 ・中学・高校の家庭科 ・中学・高校の英語 |
適性検査 | 教員に求められる特性について、客観的に判定する主な試験 ・SPI試験 ・クレペリン検査 ・性格検査 |
実施される試験の内容や範囲は、自治体によって異なります。
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教員採用試験の試験日程とスケジュール

教員採用試験の試験日程と、合格後実際に教員として教壇に立つまでのスケジュールを以下の表にまとめました。
スケジュール | 実施内容 |
3月中旬~下旬 | 教員採用試験受験要項の発表(教員採用ホームページまたは各自治体の公式サイトにて) |
4月~5月上旬 | 受験申込(電子申請または郵送) |
5月下旬~7月上旬 | 受験票交付(メールまたは郵送) |
6月下旬~7月下旬 | 第一次選考の実施 |
8月~ | 第一次選考の合格発表(郵送またはホームページにて) |
8月下旬~9月上旬 | 第二次選考の実施 |
10月~ | 第二次選考の合格(最終合格者)発表(郵送またはホームページにて) |
10月 | 名簿登載手続書類の送付 |
2月以降順次 | 各区市町村教育委員会や都道府県立学校などへの紹介と面談の実施 |
4月 | 採用 |
「筆記試験対策以外に時間をかけたくない!」という方には以下の記事がおすすめです。具体的に教員採用試験で聞かれる頻出質問を、回答例付きで5つ解説しています。この記事1つで教員採用試験の面接対策をカバーできるので、ぜひ覗いてください。
教員採用試験受験でおさえておくべきポイント

教員採用試験では、筆記試験に合格するための勉強のほか、受験を希望する自治体の日程を踏まえた準備も必要です。教員採用試験受験時に、覚えておくべきポイントを解説します。
大学生の場合は4年生時に受験する
大学新卒で教員として採用されるには、大学4年生の時に教員採用試験を受験しなければいけません。教員採用試験は、募集から合格発表まで3月~10月と半年以上のスケジュールとなっています。
遅くとも、大学3年生ごろから採用試験対策の勉強をはじめておきましょう。
計画的に教員免許取得を進める
教員採用試験の受験条件のひとつに、期日(採用年度の4月1日)までの教員免許取得があります。大学新卒の場合は、教員免許取得見込みでも受験は可能です。ただし、教員免許を取得するには教育実習を含めた所定の単位の取得が求められます。
教員採用試験の受験勉強はもちろん、大学在学時から計画的に教員免許取得に必要な単位を取っていきましょう。
3月ごろから募集要項をチェックする
教員採用試験の募集要項の発表は、例年3月頃です。受験を希望する自治体の公式サイトや教育委員会のサイトなどを確認し、募集要項が出たらすぐにチェックできるようにしましょう。
受験日程が異なれば、複数の自治体で教員採用試験を受験することも可能です。併願を検討するときにも、募集要項を早い時期からチェックしておくことで、複数の自治体への受験申込も期日内に確実に完了できます。
教員採用試験の内容や日程を確認して準備を進めよう
教員採用試験の特徴や試験の内容、試験日程やスケジュールを解説しました。教員採用試験は難易度も高く、受験する自治体の試験内容を把握したうえでの計画的な勉強が必要です。希望自治体の教員採用試験に合格するために、募集要項をしっかりと確認し着実に準備を進めましょう。