国立大学職員になる3つのルートとは?採用試験の種類や特徴、必要資格を解説

知って得する試験対策!大学職員合格3つのルート

安定性ややりがいを求めて職業を選ぶなら、公の教育機関で職務に従事する国立大学職員は、堅実な選択肢の一つです。皆さんもそのように考えて目指すことを決意されたことと思います。

そんな受験生の皆さんに、実はほとんどの方が知らないことをお教えします。それは、国立大学職員を目指すには、皆さんが想像している「採用試験」を含め、3つのルートが存在していること。「私の場合、こっちのルートがもっと楽にいけたのに!遊ぶ時間欲しかった…」と後から嘆きたくないですよね。

そこで今回は、国立大学職員になるための3つルートと特徴、一番ポピュラーな国立大学法人等職員採用試験の概要、国立大学職員の待遇や仕事内容を解説します。

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国立大学職員になる3つのルート

アスファルトに白チョークで矢印が3つ書かれている。右カーブ、まっすぐ、左カーブ。3つの矢印の根元に立つ足元があり、どちらに進もうか思案している様子。

国立大学職員になるには、「国立大学法人等職員採用試験」「大学独自の採用試験」「内部登用試験」という3つの採用試験のうちいずれかを受験して、合格する必要があります。それぞれどのような試験なのか、詳しく解説します。

国立大学法人等職員採用試験を通過する

国立大学職員になるルートとして最も一般的なのは「国立大学法人等職員採用試験」に合格して採用される方法です。国立大学法人等職員採用試験は、国立大学の法人化にともない、従来の国家公務員採用試験に代わって実施されるようになった採用試験です。

国立大学法人等職員採用試験ルートで国立大学職員になるには、国立大学法人等が合同で実施する一次試験を通過したのち、各国立大学が独自に実施する二次試験を通過する必要があります。

各大学が独自に行う採用試験を通過する

国立大学法人等職員採用試験での採用枠のほかに、各国立大学が独自で枠を設けて職員採用試験を実施するケースもあります。試験がいつ実施されるかは大学ごとに異なりますが、タイミングが合えば、こちらのルートも大学職員になるための選択肢になるでしょう。

受験資格や試験内容も大学ごとに異なるため、応募や試験対策に際しては募集要項を十分に確認する必要があります。条件は国立大学法人等職員採用試験と比べると緩やかな傾向にあるようです。

各大学の内部登用試験を通過する

すでに契約社員など非正規職員として国立大学に勤務している人が正規職員を目指す場合は、内部登用試験を受験するルートもあります。すべての大学で実施しているわけではありませんが、勤めている大学で実施される場合は、応募対象者が限られている分、採用を狙いやすいルートだといえるでしょう。

受験資格や試験内容などは大学ごとに異なるため、事前によく確認する必要があります。

ここまでのポイントまとめ①
大学独自の採用試験や内部登用試験もあり、条件は大学ごとに異なる
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国立大学法人等職員採用試験の概要・倍率

マークシートの上に1本、鉛筆が置いてある。芯がしっかり研がれて尖っている

各大学が独自に行う採用試験や内部登用試験は、タイミングや条件、試験内容が合わなければ受験できないため、チャンスをつかむのが難しいと感じる人もいるでしょう。その点、国立大学法人等職員採用試験は毎年1回行われること、全国で受験できること、出題傾向と対策方法がある程度固まっていることから、誰しもが挑戦しやすい採用ルートです。

ここでは、国立大学法人等職員採用試験の例年の実施要項や試験内容、倍率などを解説します。

国立大学法人等職員採用試験の概要

国立大学法人等職員採用試験は以下の7地区で実施されます。

  • 北海道
  • 東北
  • 関東甲信越
  • 東海・北陸
  • 近畿
  • 中国・四国
  • 九州

その他概要は表のとおりです。

受験資格

受験年4月1日時点で30歳未満の人(学歴要件等はなし)

試験日程

一次試験

 

毎年7月第1日曜日(7地区一斉)

二次試験

各国立大学法人等による

試験区分

事務系

事務、図書

技術系

電気、機械、建築、土木、化学、電子・情報、物理、資源工学、生物・生命科学、農学、林学

国立大学法人等職員採用試験の内容

国立大学法人等職員採用試験は、全地区統一の一次試験と各大学などが独自に行う二次試験で構成されています。各試験の内容は表のとおりです。

試験区分

試験の方式

試験内容

一次試験

多肢選択式による筆記試験(120分)

一般知識(20問)

・社会(7問)

・人文(7問)

・自然(6問)

一般知能(20問)

・文章理解(7問)

・判断推理(8問)

・数的推理及び資料解釈(5問)

二次試験

面接考査など

国立大学法人等ごとに独自の内容で実施

※図書区分は図書専門試験(筆記試験)も実施

国立大学法人等職員採用試験の倍率

国立大学法人等職員採用試験の倍率は、地区や年度によってバラつきがあります。令和2年度~令和4年度の関東甲信越、近畿、九州の3地区を例に比較してみましょう。

地区

年度

倍率

関東甲信越地区

令和2年度

3.7倍

令和3年度

3.0倍

令和4年度

2.5倍

近畿地区

令和2年度

3.4倍

令和3年度

2.7倍

令和4年度

2.1倍

九州地区

令和2年度

2.8倍

令和3年度

2.8倍

令和4年度

2.5倍

年度・地区によって差があるものの、おおよそ2倍後半~3倍後半で推移しています。また、人口がほかの地区と比べて集中している関東甲信越地区では、倍率も比較的高い傾向が見られます。

倍率について詳細を知りたい方は「国立大学法人等は受かりやすい?職員採用試験の倍率や試験内容」をご覧ください。

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ここまでのポイントまとめ②
試験は7地区で実施、30歳未満が受験可能
倍率は2.5倍~3.5倍程度で推移関東甲信越地区は比較的高い傾向

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国立大学職員の待遇や仕事内容

キーボード入力する左手

国立大学職員と聞くと「堅実そう」「安定性が高そう」という漠然としたイメージのみがあり、職務内容や待遇について詳細を調べるのはこれからという人もいるでしょう。ここで国立大学職員とはどのような仕事なのかを確認し、職員になれたあとの具体的なイメージをつかみましょう。

国立大学職員は公務員ではない!?

国立大学=国が母体というイメージから、国立大学職員を公務員だと考えている人もいるのではないでしょうか。しかし現在は、国立大学職員は公務員ではありません。国立大学の独立行政法人化にともない、そこで働く人も公務員か国立大学法人等職員に身分が変わりました。

ただし職務の公共性・公益性から「みなし公務員」として扱われ、公務員に準じて待遇が定められる傾向にあります。

国立大学職員の主な業務

国立大学職員の業務は、大きく次の9つに分類されます。

  • 総務・企画・人事
  • 財務・会計
  • 学生支援
  • 研究協力
  • 国際交流
  • 医療支援
  • 図書
  • 施設系技術
  • 教室系技術

それぞれの仕事内容は、表のとおりです。

分野

業務分類

仕事内容

事務系

総務・企画・人事

組織を円滑に運営し職員を支える幅広い業務を行う。

財務・会計

組織運営に必要な財務上の計画・管理全般を行う。

学生支援

学生の学業・生活面のサポートを行う。

研究協力

研究の助成や産官学連携の推進支援を行う。

国際交流

海外との学術交流、留学生交流の推進支援を行う。

医療支援

大学病院で医療現場の業務が円滑に進むようにサポートする。

図書

図書館利用者に図書貸出、情報提供などのサービスを提供する。

技術系

施設系技術

計画から維持保全まで施設に関する全業務を行う。

教室系技術

研究施設で教育・研究の技術的なサポートを行う。

業務範囲は幅広く、図書、医療支援、施設系技術、教室系技術など、専門知識を生かせる分野もあります。

国立大学職員の年収

文部科学省が公開している「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の役職員の給与等の水準(令和3年度)の取りまとめ」によると、令和3年度の国立大学法人等の事務・技術職員の平均年間給与は595万9,000円です。

対国家公務員指数(国家公務員を100とした場合の給与水準)は86.9と、国家公務員の給与水準を下回っています。

しかし、同年の民間企業の平均給与443万円を大きく上回っていることから、一般企業に勤務するよりも高い収入が期待できるといってよいでしょう。

ここまでのポイントまとめ③
国立大学職員は、公務員に準じた待遇があり、業務は9つに分類される
平均年収は、596万円で、国家公務員より低いが民間企業より高い
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自分に合ったルートで試験を突破しよう

学力試験は避けたいと思う人もいるかもしれませんが、見方を変えれば、最も試験の傾向が分かりやすく、対策を取りやすい採用ルートが国立大学法人等職員採用試験です。国立大学職員を目指すなら、まずは国立大学法人等職員採用試験に目標を据えて、対策に取り組むとよいでしょう。


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