国立大学法人等は受かりやすい?職員採用試験の倍率や試験内容

卒業後の就職先や転職先として「国立大学法人等」を検討している方は多いでしょう。採用試験の受かりやすさの指標として、志願倍率や試験の難易度が気になる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、国立大学法人等職員の採用試験の倍率や試験内容、難易度についてご紹介します。

この記事を読めば、国立大学法人等の採用試験の難易度や合格率に関する不安が解消されるはずです。

国立大学法人等の特徴

国立大学のほか、大学共同利用機関、国立高等専門学校、放送大学学園、独立行政法人などの機関が「国立大学法人等」です。令和3年時点で全国208の機関が国立大学法人等に属しています。

平成16年4月の国立大学法人化に伴い、それまで文部科学省の行政機関であった国立大学が国から独立し、各機関が主体となって運営する法人となりました。あわせて、国立大学法人等で働く職員の身分も、国家公務員から法人職員へと移行されています。

ただし、完全に一般的な民間企業と同列になったわけではなく、民間企業と公務員の長所を兼ね備えた制度のもとで、運営が行われている点が特徴です。

国立大学法人等の役割は、教育や研究、地域貢献などの取り組みを通じて社会発展に貢献するという、公的な意味合いをもつものです。しかし、法人化され主体性を持って運営できるようになったことで、各機関がそれぞれ個性や特色のある多様な取り組みを行っています。


国立大学法人の採用試験の志願倍率は?

国立大学法人等の職員採用は、国立大学法人等が合同で実施する「国立大学法人等職員統一採用試験」を通じて行われています。

参考として、関東甲信越地区および九州地区の、令和2年度国立大学法人等職員統一採用試験の受験者数と倍率を表にまとめました。

国立大学法人等職員統一採用試験は大きく事務系と技術系に区分されています。傾向として事務系の応募者が多く、技術計と比べて採用数も多いものの、倍率は高めです。技術系は全体的に応募者が少なく、倍率も1.5倍前後と事務系に比べると低い区分が目立ちます。

【令和2年度の関東甲信越地区の国立大学法人の受験者数と倍率】

試験区分申込者数受験者数第一次試験合格者数倍率
(事務系)事務7,8215,7481,5053.8
(事務系)図書168125353.6
(技術系)電気2614111.3
(技術系)機械3016121.3
(技術系)土木12761.2
(技術系)建築141081.3
(技術系)化学341782.1
(技術系)物理9321.5
(技術系)電子・情報17971.3
(技術系)資源工学000
(技術系)農学2012101.2
(技術系)林学3212.0
(技術系)生物・生命科学19961.5
8,1735,9721,6113.7

【令和2年度の九州地区の国立大学法人の申込者数と倍率】

試験区分申込者数第一次試験合格者数倍率
(事務系)事務4,2901,4902.9
(事務系)図書55202.8
(技術系)電気1782.1
(技術系)機械20131.5
(技術系)土木2092.2
(技術系)建築18101.8
(技術系)化学2793.0
(技術系)物理20
(技術系)電子・情報1381.6
(技術系)資源工学
(技術系)林学414.0
(技術系)生物・生命科学20111.8
4,4861,5792.8

志願倍率は高くても実は難易度はそれほどでもない

国立大学法人等職員統一採用試験の志願倍率は、もっとも高倍率の「事務」の区分だと、関東甲信越地区で3.8倍、九州地区では2.9倍と高めです。しかし、実は倍率から想像するほど試験の難易度自体は高くないため、あまり不安にならなくても大丈夫です。

それではなぜ志願倍率が高くなるかというと、試験の実施時期に原因があります。国立大学法人等職員統一採用試験の実施時期は、例年7月ごろです。7月は民間採用試験や公務員採用試験が一段落する時期で、新卒者は日程に余裕ができます。また、既卒者にとっても繁忙期にはあたらないケースが多いのです。そのため、新卒者・既卒者ともに応募しやすく、受験人数が増える結果、高倍率につながります。

また、試験内容が教養試験のみで気軽に挑戦しやすいという点も、応募者が多くなる理由の1つかもしれません。

国立大学法人等の職員の主な仕事

国立大学法人の職員は、教育や研究支援業務のほか、地域や産業、社会との連携、国際交流・留学生支援、大学の運営・管理などさまざまな業務に携わります。

職種は大きく「事務系」と「技術系」の2つに分かれており、詳細な業務の内容は、さらに細分化された専門区分や働く機関の規模、事業内容などによって異なります。

以下で、国立大学法人の職員の区分ごとに、主な仕事内容をみていきましょう。

事務系の仕事内容

事務系の仕事には、次の2つの区分があります。

  • 事務
  • 図書

「事務」の仕事は、機関の運営の事務的なサポートです。主に次の8分野の業務があります。

役割役割の詳細
学生支援学生の学業面・生活面のサポート
研究支援研究の助成・産学官連携推進のサポート
国際交流海外との学術・学生の交流推進のサポート
総務・人事事務全般の総括、機関運営・教職員の業務のサポート、人事
財務組織運営にかかわる財務の計画・管理
広報・社会連携社会に向けた機関の教育研究活動の内容・成果の発信
企画・評価機関発展のための企画・立案
医療支援機関に附属する病院の管理運営

一方の「図書」は、大学などの図書館や図書室といった施設の管理・運営が主な業務です。資料や情報、環境を提供し、学習・教育・研究活動を支援する役割を担っています。

 技術系

専門技術や知識を活かして、機関のハード面の計画や維持管理、教育・研究のサポートなどを行うのが、技術系の仕事です。専門分野によって次の11の区分に分かれています。

  • 電気
  • 機械
  • 土木
  • 建築
  • 化学
  • 物理
  • 電子・情報
  • 資源工学
  • 農学
  • 林学
  • 生物・生命科学

仕事内容は「施設系技術職員」と「教育・研究支援系技術職員」の2種類に大きく分かれています。

施設系技術職員

キャンパスの構想作成や新築・改修の計画・調査・設計・積算・検査、工事の発注・監督など、キャンパスの計画・維持を行います。

教育・研究支援系技術職員

学生の実験・実習の指導や助言、研究・実験機器などの設計・開発や維持管理、実験のデータ処理・分析など、教育・研究を技術面で支援する業務です。


実は既卒者(社会人)のほうが採用されやすい

国立大学法人等は、既卒者(社会人)のほうが採用されやすい試験だといわれています。大きな理由のひとつは、採用人数が非常に少ないことです。

国立大学法人は予算が潤沢とはいえず、少子化の影響もあって職員を大幅に増員することはほぼありません。したがって、採用試験の主な目的は、欠員が出た際の穴埋めにあります。そのため、新卒を採用して育成することよりも、社会人経験がある人を即戦力として雇う方が都合がよいわけです。

また、欠員を速やかに補充するために、10月採用枠が多くなる傾向にあることも既卒者の採用が多くなる理由です。新卒者は通常3月ないし4月の入社を前提としています。そのため、10月から働ける既卒者に有利な場合が多いのです。

国立大学法人の受験には年齢制限がある

国立大学法人等職員統一採用試験では、長期勤続によってキャリア形成を図りたいという意図から、受験資格のひとつに年齢を掲げています。

受験資格があるのは、受験年度時点で30歳未満の人および、年度中に30歳になる4月2日以降生まれの人です。例えば令和3年度の試験を受けられるのは、平成3年(1991年)4月2日以降に生まれた人ということになります。

また、刑の執行中や執行猶予中の人、2年以内に懲戒解雇などの処分歴がある人、日本国内の活動に制限がある外国人は、年齢条件を満たしていても受験できません。

国立大学法人の採用試験の試験内容

国立大学法人等職員統一採用試験は、第一次試験と第二次試験の2段階で実施されます。

第一次試験では、120分の教養試験が行われます。試験はマークシート式の選択問題で、難易度は大学卒業程度です。試験内容は「一般知識」と「一般知能」に分かれており、20問ずつ、計40問出題されます。

試験科目試験内容
一般知識社会、人文、自然
一般知能文章理解、判断推理、数的推理及び資料解釈

第二次試験は面接選考です。面接は、各国立大学法人等が個別で実施します。個人面接、集団面接、集団討論など、形式や内容は受験する機関で異なります。

なお、図書区分の一次試験合格者は、筆記による図書専門試験を受ける必要があります。

国立大学法人等の採用試験はイメージほど難しくない

国立大学法人等の職員は、公務員ではないものの、国立大学等の運営サポートや教・研究支援など、育公的な側面を持つ仕事です。事務業務に携わる「事務系」と専門技術を活かした業務に就く「技術系」があり、事務系は採用試験の倍率が非常に高い傾向にあります。

とはいえ、倍率の高さからイメージするほど試験の難易度は高くないため、過剰に心配する必要はありません。倍率を気にしすぎず、試験内容に応じて十分に準備をして、落ち着いて試験に臨むことが重要です。