国立大学法人等の採用試験難易度は高い?合格して大学職員を目指す

国立大学で働く大学職員は、人気の職種です。定員が少ないことから倍率が高いとの評判ですが、実際のところはどうなのでしょうか?試験の難易度や公務員になれるのか、気になっている人も多いはずです。

今回は、さまざまな進路の可能性を探っている方のために、国立大学法人等採用試験の内容や採用までの流れ、採用された職員の仕事内容についてご紹介します。

国立大学法人の難易度や倍率

倍率や難易度を理解しやすくするために、国立大学法人とはどのような組織なのかご紹介しましょう。国立大学とはもともと国の行政機関で、人事院が「国家公務員採用試験」を実施し、職員を公務員として採用していました。

しかし平成16年4月に法人化された結果、現在では「国立大学法人等」が合同で、採用試験を7つの地区で実施しています。つまり国立大学で働く職員の多くは「国立大学法人等職員統一採用試験」を合格した人たちです。

この「国立大学法人等」は、国立高等専門学校や独立行政法人などの機関も含む、全国208機関から構成されています。公共的な価値と民間的な手法で経営する、これらの機関で働く職員は「みなし公務員」です。

7地区それぞれの公式サイトで、第1次試験の倍率などを公表しているのでチェックしてみてください。最終倍率は掲載されていませんが、驚くほど高いことは採用予定数をみればすぐにわかります。

ここでは参考までに、65機関ある関東甲信越地区の倍率を採用年度ごとにみていきましょう。

採用年度申込者数受験者数1次合格者数1次倍率
令和2年度8,1735,9721,6113.7
2019年度9,4476,3721,5384.1
平成30年度10,435公表なし1,5166.9
平成29年度11,432公表なし1,5707.3
平成28年度11,774公表なし1,6217.3

受験者数に対する第1次試験を合格した人の割合が「1次倍率」です。

事務系と技術系を合わせた、令和2年度の採用予定数は213でした。なお65機関すべてで毎年採用の予定があるのではなく、ゼロの機関もあります。令和2年度の受験者数は5,972人でしたので、最終倍率は28倍とかなりの高倍率でした。

国立大学法人等職員統一採用試験の難易度は、もともと国家公務員採用試験だったことから導き出せます。難易度順に並べると、次の通りです。

  • 国家総合職試験:政策に携わる職務を遂行する人を採用する
  • 国家一般職試験:定型的な事務を担当する人を採用する

このことから、人事院が実施する試験でもっとも難易度が高い「国家総合職試験」に次ぐ「国家一般職試験」に相当すると想定できるでしょう。ただし公務員試験に慣れている人からは、意外なことに取り組みやすいという声も聞かれます。過去問は基本的に公開されていませんが、例題を公表しているので参考にしてみてください。


国立大学法人の採用までの流れ

ここでは、国立大学法人等職員の採用までの流れを整理しておきましょう。まず注意点をご紹介します。

  • 全国7地区、7採用試験事務室
    • 北海道地区
    • 東北地区
    • 関東甲信越地区
    • 東海北陸地区
    • 近畿地区
    • 中国四国地区
    • 九州地区
  • 採用希望地区の併願はできない

採用までの流れは、次のとおりです。

  1. 情報の収集:それぞれの採用試験事務室が開く説明会へ参加したり、志望する各機関の公式サイトをチェックしたりして情報収集
  2. 会員登録:「国立大学法人等グループ採用ホームページ会員サービス」に会員登録・マイページを準備(説明会や受験の申込手続きのために必須)
  3. 試験案内の一読(3月上旬):国立大学法人等職員統一採用試験案内を確認
  4. 受験の申込手続き:マイページから申し込み(インターネットのみの取り扱い)
  5. 第1次試験:全国統一試験を受験する
  6. 第1次試験合格発表:合格通知をEメールで受信(ホームページ上で受験番号の確認可)
  7. 第2次試験の申込手続き:各自で希望機関へ直接手続き(希望機関ごとに日程・内容が異なる)
  8. 第2次試験:採用予定機関で実施される面接などを受験
  9. 第2次試験合格発表:受験した機関から第2次試験合格の通知がきたら、応じるか否かを必ず回答
  10. 最終合格(内定):第2次試験合格を応諾する場合は、採用試験事務室に「第2次試験合格届」を提出
  11. 採用:次年度の4月1日予定

中途採用の場合は、内定すると即採用される場合もあります。

国立大学法人の採用試験

ここでは国立大学法人等の採用試験について、その内容や日程、合格の目安を解説します。

なお令和3年度より採用を希望する地区によらず、受験に便利な地区を選んで第1次試験(統一試験)を受験できるようになりました。採用希望地区が関東甲信越地区であっても、九州地区で第1次試験を受験可能です。

このように受験年度によって、少しずつ変更が出ることもありますので、希望する地区の公式サイトで更新がないかチェックすることが大切です。

試験科目や内容

試験区分は、事務系2区分と技術系11区分です。ただし第1次試験は、一般教養の統一試験となるため、内容は試験区分や希望地区にかかわらず同じとなります。

試験の内容は、大学卒業程度の知識レベルです。多肢選択式による筆記試験となり、120分で40題全問を回答してください。教養試験の科目は次のとおりです。

  • 社会科学
  • 人文科学
  • 自然科学
  • 文章理解
  • 判断推理
  • 数的推理
  • 資料解釈

試験日程

令和3年の試験日程は次のとおりです。次年度以降は多少異なる日程になるかもしれませんが、目安として役立ててください。

  • 申込期間:令和3年5月12日(水)10時00分~5月26日(水)17時00分(受信有効)
  • 第1次試験日:令和3年7月4日(日)10時00分~12時00分
  • 第1次試験合格発表日:令和3年7月21日(水)9時30分

なお第2次試験は、第1次試験合格者が志望機関へ個別に申込手続きする必要があります。日程が重複しない限り複数の機関に併願できますが、複数合格した場合には応諾できるのは1つの機関だけですので注意してください。

合格のボーダーラインは?

国立大学法人等職員の合格ボーダーラインは8割を目指しましょう。6割ではかなり厳しいといえます。最終的に第2次試験を通過するためにも、8割正解できる能力は必要でしょう。

国立大学法人の職員の仕事内容

ひとくちで国立大学法人等職員と言っても、いわゆる総務系から、採用される機関ならではの仕事まで幅広い業務に携わります。全国208の機関には、国立大学だけでなく博物館、研究所なども含まれているからです。

これらの機関は教育や研究、社会・国際貢献などの役割を担っています。そのため毎日の業務も、機関の社会的な役割に関連した仕事となります。

国立大学法人等職員の仕事は、事務系と技術系の2種類です。ここでは、代表的な仕事についてみていきましょう。

事務系と技術系がある

国立大学法人等職員の仕事は、大きく事務系と技術系の2種類です。事務系の仕事の中には、教育・研究図書にまつわる業務に携わる図書系の仕事もあります。図書系の仕事には司書の資格は必要ないものの、第2次試験で専門試験を受けるため準備しておきましょう。

ここでは、図書以外の事務系と技術系の仕事にはどのようなものがあるのかご紹介します。

(事務系)

  • 学生支援
  • 研究支援
  • 国際交流
  • 総務・人事
  • 財務
  • 広報・社会連携
  • 企画・評価
  • 医療支援

(技術系)

  • 施設系技術職員
  • 教育・研究支援系技術職員

事務系の代表的な仕事

事務系の職員は、イメージしやすい総務・財務・広報・企画のほかに、どのような仕事をしているのでしょうか?

国立大学で働く事務系職員の代表的な仕事は、次のとおりです。

  • 学籍や成績の管理や就職活動のサポートまで学業面・生活面から学生を支援
  • 産学官連携の外部資金受け入れや知的財産の管理など研究の支援
  • 海外大学・研究機関との学術交流や学生交流事業を支援
  • 大学附属病院の管理運営業務ほか地域連携医療・災害医療の支援

創造的で公共性が高く、社会貢献など充実感を感じられる仕事に就きたい人にぴったりといえるでしょう。

技術系の代表的な仕事

技術系職員は、専門知識を活かしながら機関の運営だけでなく教育・研究を陰ながら支える存在です。ここでは、国立大学で働く技術系職員の代表的な仕事をみていきましょう。

施設系技術職員の仕事は、建築・土木・電気・機械の専門性を活かし、キャンパスを企画・設計し維持管理まで担います。

同じく国立大学で働く教育・研究支援系は、学生たちの実験・実習に深く関わる仕事です。建築・土木・電気・機械以外に活かせる専門分野は、次のとおりです。

  • 化学
  • 物理
  • 電子・情報
  • 資源工学
  • 農学
  • 林学
  • 生物・生命科学

学生への助言や指導のほか、実験のデータ処理や分析も担います。研究・実験機器などについても設計開発するだけでなく、維持管理まで手がけるエンジニア集団です。

国立大学法人等職員は誰にでもチャンスがある!

国立大学法人等職員の採用予定数は3月上旬には発表されるため、すぐにチェックして来年度の採用試験受験に向けて準備を始めましょう。なお採用のない試験区分は、試験が実施されない可能性があるので注意してください。

近年は第1次試験の倍率も下降傾向にあります。そのため倍率、難易度やボーダーが高すぎる、と気にしてあきらめないことが大切です。志望機関での第2次試験受験対策も含めてしっかり準備すれば、誰にでも合格のチャンスがあります。